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『Jam Films』['02] | |||||
監督 北村龍平/篠原哲雄/飯田譲治/望月六郎/堤幸彦/行定勲/岩井俊二 | |||||
先ごろ腰の重い僕を奥熊野の湯の峰温泉に連れ出した高校の文芸部の二年先輩が四半世紀ぶりの再会における歓談のなかで、是非とも観てほしい短編映画だと言っていた『JUSTICE』という作品がYouTubeにあると言っていたので視聴することにしたら、思い掛けなくも二十二年前に当地で上映されながら観逃していた『Jam Films』のなかの一篇だった。そこで、これも巡り合わせと七篇とも観ることにした。 最初に観た『JUSTICE~敗戦國日本ノ正義~』(監督 行定勲)は、胡散臭い正義を謳うポツダム宣言と、後背位による性技を描いたパラパラ漫画と、授業中に重ねる「正」の字による戯れを並行して描いていた作品だった。十代時分の脱力した他愛無さを懐かしみつつも、先輩が絶賛するツボが何なのか今一つ響いて来ず、不思議な気がした。そして、実年齢と同じと思しき高校二年生の星を演じていた綾瀬はるかが、体操服でハードルを飛び越えていく姿を横から捉えたショットで揺れていた胸の量感に改めて驚きはしたものの、ブルマの端をパチンと引き伸ばす彼女の仕草に鼻血を流す東条(おそらく東條英機から取っている名だろう)を演じた妻夫木聡の若さや、もうすっかり見なくなった新井浩文の姿が目を惹いたことのほかに然程の感興はなかった。十六分ほどの短編の助監督についていたのが白石和彌だったことが目を惹いた。 続いて観た『ARITA』(監督 岩井俊二)は、公開当時のチラシに、オムニバスではなく、“コンピレーション・ムービー”と記されていた短編集の最終話で、これまた実年齢と同じと思しき二十二歳の夢想女性を演じていた広末涼子のあどけなさが目に留まった。次に観た、映画では第一話だったらしい『the messenger -弔いは夜の果てで-』(監督 北村龍平)は、スタイリッシュな画面と、地下室に隠れていたと思しきギャングを演じた北村一輝の若々しさが印象深かった。 続く『けん玉』(監督 篠原哲雄)で若夫婦と思しき二人を演じていた山崎まさよしと篠原涼子の登場に驚き、『コールドスリープ』(監督 飯田譲治)のバカ精子を娘に送り込む父親(筒井康隆)のバカさに呆れ、フジオを演じた大沢たかおの若さに驚く。 最も面白かったのは、次に観た『Pandora -Hong Kong Leg-』(監督 望月六郎)で、『皆月』['99]でソープ嬢の由美を演じていた吉本多香美がやはり好く、“私の秘密の場所と秘密の時間”のオフビート感をフェティッシュに描いた趣向に笑った。水虫に冒された足の指を“口に苦い良薬を含んだ舌”で舐められて陶然としていた眉子(吉本多香美)が、五回の治療で治ってしまうことに怯んでいたのが可笑しく、すかさず周(麿赤児)が水虫になる秘薬もあると商売上手を見せていた。七篇のなかで最もピンと来なかったのが、最後に観た、佐々木蔵之介が出演していた『HIJIKI』(監督 堤幸彦)だった。 | |||||
by ヤマ '25. 7.11. YouTube観賞 | |||||
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