| |||||
『ローズマリーの赤ちゃん』(Rosemary's Baby)['68] | |||||
監督・脚本 ロマン・ポランスキー
| |||||
これが『ローズマリーの赤ちゃん』か。十代の時分に土電で予告編を観ただけで、本編未視聴だった著名作だが、成程この不穏な運びは達者なものだと感心した。悪魔の子が事実なのか、ローズマリー(ミア・ファーロー)の妄想なのか、確かにどちらにも解せるような作り方をしていたように思う。 ホームページに掲示板を設けていた時分に来訪者のどなたかが、マタニティブルーなどという言葉がまだなかった時分に初めてそれを描いた映画だと思うというようなことを言っていたが、産前から妄想に囚われていたとなれば、産後、死産と告げられてかような幻覚を見るに至ったとしても何ら不思議はない気がする。 アナグラムの件は少々手が込み過ぎているというか、持って回った感じだったが、悪魔信仰に囚われていたハッチ(モーリス・エヴァンス)の及ぼした悪影響と言えなくもないようにも思う。 カスタベット老夫妻を演じた二人(シドニー・ブラックマー&ルース・ゴードン)の穏やかな不気味さを讃える人がたくさんいそうだが、それもさることながら、ローズマリーの夫ガイ・ウッドハウス(ジョン・カサヴェテス)の得も言われぬ胡散臭さというのが、なかなか効いていたように思う。 これが1965-66年を舞台にした'68年作品で、前日に観た『喜劇 団体列車』の翌年の映画かと思うと、そのことが何だか滑稽に思えて可笑しかった。 すると「これ、アイラ・レヴィンの原作も面白かったです。橋本忍は本作を観て「日本でもこんな映画が作れないか」と思い、野村芳太郎と組んで『影の車』を作ったのだとか。ジャンルは全然違うけれど、心理スリラーとして見ると、なんだかわかる気はしますね。」とのコメントが寄せられた。『影の車』は四十七年前に観たっきりなのだが、そう聞くと矢庭に再見して観たくなった。1970年頃のキネ旬で橋本忍が語っていたのを読んだことがあるそうだ。 また「ミア・ファローの断髪はポランスキーのナチス収容所体験が投影されているみたいですね🤔」とのコメントも貰った。そう言えば、『愛の嵐』のシャーロット・ランプリングのような髪型だった気がしなくもない。 | |||||
by ヤマ '24.10.21. BS松竹東急よる8銀座シネマ録画 | |||||
ご意見ご感想お待ちしています。 ― ヤマ ―
|