『恋愛アパート』(Love Nest)['51]
監督 ジョセフ・M・ニューマン

 いくら七十年以上も前の映画とはいえ、少々緩すぎるんじゃないかという気もするが、ベテラン結婚詐欺師チャーリー・パターソン(フランク・フェイ)の人物造形が面白く、愉しく観ながら、最後はどうなるのかと思ったら、魂消たエンディングだった。チャーリーが女性たちをいい気持にさせる弁舌と所作の本気感がなかなか見事で、ただの口の上手さに映ってこないことに、大いに感心した。

 流石に歳を重ね、これを最後にとの1万2千ドルをせしめて、本気で住処を定め、金銭抜きに心寄せたイーディ(レアトリス・ジョイ)と、スコット夫妻が大家のアパートで静かに暮そうとしている運びが気に入った。長年の結婚詐欺で稼いだカネと要した費用を出納簿に記録している几帳面さと、世間では詐欺と言われる生業とはいえ、自身では金持女性に夢を売るサービス業として営んでいるつもりの職業的自負を形にするものとしてであろう納税をきちんと行なっている彼の流儀というのも好い。

 ただ三年の結婚期間中、二年半を出征していたという復員兵ジム・スコット(ウィリアム・ランディガン)の役立たずの朴念仁ぶりが、チャーリーとの対照であったにしても、少々目に余り、夫婦喧嘩の挙句なら尚のこと、ロバータ(マリリン・モンロー)の留守宅のソファーで眠る有様にげんなりした。

 その御目当てのマリリンは、セカンドクレジットのトップだったが、あまり大した見せ場がなく、少々残念に思った。もう少しジムの妻コニー(ジューン・ヘイヴァー)との絡みが欲しかった気がする。

 映画作品のほうも、結婚詐欺師の半生を綴った『我が人生、そして愛(MY LIFE and LOVES)』によるチャーリー・プライスの物語にしたほうが好かったように思ったほどだ。もっともそれにしても、還暦くらいの風情だったチャーリーはともかく、どう観ても五十路にはなっていると思われるイーディーに最後の場面は、いささか無理があるような気がした。
by ヤマ

'23. 7.15. DVD観賞



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