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『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(Spider-Man: No Way Home) | |||||
監督 ジョン・ワッツ
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週末に先輩映友と久しぶりにZoomで映画談義をすることになり、「それまでに何か観てきておいたらいい作品とか、ありますか? ちなみに『アンチャーテッド』も『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』も未見です。」と送っていたら、「『アンチャーテッド』はどうでもかまいませんが、『スパイダーマン』は映画の作り方のアイディアに感心しました。さすが、マーベルでした。」と返ってきたので、上映最終日に休みを取って観てきたら、思いのほか面白くて感心した。 五年前に『:ホームカミング』を観て「設定も物語も小ネタも配役も何だかこね回した感じが妙にめんどくさかった。ある意味、念入りに練られているとも言えなくはないのだけど、さしてアベンジャーズ・ファンでもない僕には、逆効果だった。」などと書いていた僕は、その後、アニメーション作品の『:スパイダーバース』しか観ておらず、『:ファー・フロム・ホーム』も知らないままに観たから、なんか大仰なアベンジャーズ的に盛沢山な画面に少々食傷していたのだが、メイ叔母(マリサ・トメイ)が亡くなった辺りから俄然面白くなった。“ジキル”ノーマン(ウィレム・デフォー)が変転して“ハイド”グリーン・ゴブリンになって現れ、やはりキャラクター的に最強ともいうべき存在だと改めて思った。 まさかサム・ライミ版【3は未見】シリーズのピーター(トビー・マグワイア)とマーク・ウェブ版【本編未見】のピーター(アンドリュー・ガーフィールド)が揃って出てくるとは思い掛けなく、三人のスパイダーマンを観ながら、ウルトラ戦士か仮面ライダーかという気分になった。懐かしの「大いなる力には、大いなる責任が伴う」もきちんと登場したし、悪を成敗して御仕舞では決してない「正しい道」というものを、断罪風潮に流され、各所で分断の進む今の時期に大真面目に提示して見せていたことに感心した。 悪でも殺さずに治療を施そうとする“正しい道”を叔母の遺した最後の言葉として貫いたピーター・パーカー(トム・ホランド)なればこそ、ある意味、肉体の死よりも過酷とも言える“存在の抹殺”を意味する「総ての人から忘れ去られること」をドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)に自分から申し出る覚悟が利いてくる展開になっていた。世界の秩序を回復する唯一の方法として魔術師ドクター・ストレンジが唱えていた呪文の最中に除外者の注文を出して失敗させ、より事態を悪化させたピーターが自身を抹殺させることで決着をつける覚悟を示したわけだ。ウクライナに侵攻して恐らくは彼自身の想定を超えた事態の悪化を引き起こしているプーチン大統領に、このピーターの示した「大いなる力には、大いなる責任が伴う」ケジメのつけ方を望んでも詮無きことだろうが、何ともタイムリーな観賞になったような気がした。 すっかり見送り気分だった映画だが、先輩映友の助言によって何だか得をした気分になった。メイの存在が利いていて、彼女を演じたマリサ・トメイがとても好かった。また、橋の上で大暴れをしたオクタビアスと更生して自由の女神の元で活躍したオクタビアスの対照を演じたアルフレッド・モリーナがよかった。ピーターとネッド(ジェイコブ・バタロン)の関係の描出も、『:ホームカミング』同様に気に入った。 | |||||
by ヤマ '22. 3.10. TOHOシネマズ1 | |||||
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