『アイス・ロード』(The Ice Drive)
監督 ジョナサン・ヘンズリー

 渋い声のジョニー・キャッシュが「5時で家に帰る奴らとは別世界」と歌う、昔懐かしいAll I Do Is Driveで始まり、その「ドライブ、ドライブ、ドライブ…」と呼応するような「トラック、トラック、トラック」で締められた、いかにもカントリー&ウエスタン風味に彩られた極寒カナダのアクション映画だった。こういう洒落っ気というのは、観ていてとても愉しい。

 イラク戦争の傷痍帰還兵である弟ガーディ(マーカス・トーマス)が遺し、チームリーダーの亡きジム・ゴールデンロッド(ローレン・フィッシュバーン)が気に入っていた符号を「TRK TRK TRK」というナンバープレートにしていたエンディングが、なかなか効いていたように思う。

 マッキャン兄弟の憧れだったケンワースの新車トラックを、共に生き残ったタントゥ(アンバー・ミッドサンダー)に見せに来ていたマイク・マッキャンを演じていたリーアム・ニーソンは、『96時間』['08]以降、すっかり高年アクションスターになった感があるが、もう高年をも通り越し老年アクションスターになって尚、意気軒昂だから大したものだ。

 ただ今どきの映画らしく、取って付けたように些か過剰に盛り込まれた見せ場が少々くどくて、これらを厳選して90分以内に収めていれば、もっとスマートで引き締まった快作になっただろうに、との遺憾が湧かないでもなかった。
by ヤマ

'21.12. 1. TOHOシネマズ5



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