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『ワイルドバンチ』(The Wild Bunch)['69] | |||||
監督 サム・ペキンパー
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映画のホームページに西部劇の目次頁を構えたことに目を留めてくれた先輩映友から、「西部劇も手あたり次第に鑑賞しているようで、さすがです。 ただ、西部劇名簿のワ行に「ワイルドバンチ」がない。 7月に衛星放送で放映されるらしいので、是非ご覧ください。」とのメールを貰い、三十七年ぶりに再見した。やたら土埃が舞っていたような記憶にある映像に比べ、実に色鮮やかで大いに驚いた。オープニングに現れる“夥しい蟻どもに襲られる蠍”のような話なのだが、蟻蠍もろとも焼いていた炎が、容赦のない時代の流れということなのだろう。 非情な鉄道会社に象徴される新時代の到来により、行き場所も生き場所も失くした無法者たちがバタバタ倒れていっていた。後れを取っていたソーントン(ロバート・ライアン)にしたところで、早晩サイクス(エドモンド・オブライエン)ともども命を落としているに違いない。 南テキサス鉄道の保安主任ハリガン(アルバート・デッカー)の仕掛けた罠に嵌ってわずか5人組になって逃走するオープニングの銃撃戦からして派手派手しかったが、記憶にあった橋の爆破シーンやクライマックスの機銃掃射による銃撃戦以上に、再見して感慨深かったのが、大義なんぞより仲間という、昨今の映画のスタンダード(とりわけアニメーション作品を中心とする日本映画における)とも言うべき“内向き映画”の先駆けである点だった。パイク(ウィリアム・ホールデン)率いる“ワイルドバンチ”が、已む無くメキシコ政府軍に引き渡した仲間のエンジェルへの余りの仕打ちに憤慨したにしても、マパッチ将軍から取り戻しに行くのに、ダッチ(アーネスト・ボーグナイン)はともかく、ゴーチ兄弟も乗ることに対しては、少々不自然な気がしなくもなかった。 また、前夜に買った娼婦に赤ん坊がいるのを観止めて、カネをはずんだようだったパイクが、マパッチ将軍たちとの銃撃戦になって逃げ込んだ部屋で、その彼女に後ろから撃たれていたように見えたことが妙に気に掛った。あれは何だったのだろう。パイク一味がメキシコのアグアベルデを訪れたときは何やらパレードめいた歓迎を受けている風情すらあったような気がするのに、そもそもが嫌われていたということだろうか。 それにしても、アーネスト・ボーグナインには列車がよく似合う。武器を輸送する軍用列車襲撃場面では、実に活き活きとしているように感じた。また、ゴーチ兄弟は、幾人もの女性とともに酒と同色の液体の入った大樽に浸って御満悦だったが、むこうにも「酒池肉林」という言葉が伝播しているのだろうかなどとも思った。 | |||||
by ヤマ '21. 7.11. BSプレミアム録画 | |||||
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