『スタンド・バイ・ミー』(Stand By Me)['86]
監督 ロブ・ライナー

 '87年5月に高知名画座で観て以来、33年ぶりの再見だ。驚くほど、どの場面にも覚えがあったのは、映画日誌を綴ってはいないけれども、当時けっこう気に入っていた作品だからだろうが、それ以上に大きいのは、観たのがまだ若い29歳の時分だったからのような気もする。

 僕もこの歳になれば、長らく会っていない友人の思わぬ消息を新聞記事などで知り、ある種の感慨を呼び起こされたことが何度かあるが、それはエピローグで大人になったゴーディ(リチャード・ドレイファス)が書いていたように12歳に限局するものではなくても、やはり十代における友人に限られているように思う。どうということのないエピソードが妙に心に残っている友人たちであって、たぶんゴーディ(ウィル・ウィートン)たちにとっても「死体探し」という特殊性が重要ではない気がした。

 その12歳のときにクリス(リヴァー・フェニックス)が言ったとおり作家になったゴーディがオープニングとエンディングに登場する構成が、原作どおりかどうかは知らないが、恵まれない家庭環境を抜け出して弁護士にまでなった、もう十年余り会っていない友人の不慮の死を報じる記事にうなだれるプロローグと、彼と過ごした日々を想うグリーフワークを終えるエピローグ、そしてBen E. Kingによるオールディーズを主題歌に選び、作品タイトルにしたことこそが、本作に秀作の名を与えたのだろう。

 要請に応じてボランティアの駐車場係を務めた、せっかくのドライブインシアターが雨に祟られたのは勿体なかったが、50台程度の客に対する出店の割合としては、けっこう充実していて、いい感じだった。駐車場係の用務は、始まる前に車を誘導することと終わってから排車の誘導をすることだったから、上映中は自分の車で待機しながら端っこから観ていた。高知新聞によれば、県内では1980~90年代に行われたことがあるらしいドライブインシアターを、僕が体験するのは初めてで、なかなか興味深かった。カーナビでオーディオ・ヴィジュアル・ソフトの楽しめる時代に、ドライブインシアターなる前世紀で既に終わったように思われる娯楽コンテンツが支持されるのか、かなり心許なかったが、新型コロナウィルス禍の影響もあってか、五〇台限定三日間限りとしたチケットは完売だったようだ。

 かつてデートムービーを楽しむ場だったドライブインシアターも、むしろファミリーイベントとして提供されることが求められているらしい。「県文シネマ月あかり」と銘打った今回の企画は、月明かりなど望めない空模様のなか、字幕が読めなかったとの声もあったようだ。僕が観たのは、最後列(4列目)よりも少し後ろの横に外れた位置ながら、一応読めたけれども、しばしばワイパーを作動させる必要もあり、読みにくいのは間違いなかった。そういう面からもドライブインシアターには、吹替え版が向いているように思う。ロケーションという点では、通常の野外上映以上に開放感があるので、天気に恵まれて、月あかりとともに楽しむことができていれば、と返す返すも残念だった。
by ヤマ

'20. 7. 5. 日高村総合運動公園 野球場



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