『OVER DRIVE』
監督 羽住英一郎

 かねてよりモータースポーツに関心はないのだが、ちはやふるで目を惹いた新田真剣佑が気になり、観ようかどうしようか迷っていたら、意見を聞きたいとの声掛けをもらい、観ることにした。

 呆れるほどに幼稚というか図式的なキャラ造形とストーリー展開、魅力を欠いた脇役ヒロインに半ば唖然としながらもさほど気に障らずに見られたことが面白かった。やはり映画と車は相性がいいということなのだろうか。わりと気に入っている『ワイルド・スピード』シリーズで、そんなバカなの荒唐無稽に親しんでいるからかもしれない。

 それにしても、日本では若者の車離れが進んでいると思っていたから、一般公道を使ったラリーが国内で行われているとは思いがけず、その光景の珍しさが最も目を惹いた部分だったように思う。

 宇宙開発などでは典型的なのだが、脚光を浴びるのはいつも宇宙飛行士だという気がする。おそらくはレーシングカー以上に、タフな整備とハード開発を要するであろう裏方が陽の目を浴びることは、ないように思う。カーレースもの以上に作品本数があると思われる宇宙もので、そのような裏方に光を当てた作品を直ちに思い出すことができない。だから、本作がドライバーと同等に、いやそれ以上にメカニックに目を向けていた点も気に入った。

 しかし、面白いことに競馬だと、騎手以上に馬のほうが脚光を浴びているように感じる。それでも、モータースポーツでのメカニックに相当すると思われる調教師は、やはり両者の後塵を拝している気がしてならない。だが、本作でも言っていたように「新しいシステム、新しいパーツ、それらをテストするためにラリーはある」というようなことが本来なのだ。サスペンションだったり、ターボチャージャーだったり、燃料システムだったり、それらをどのタイミングでマシンに試みるかが勝敗のカギを握っていたような本作のポイントレースの展開は、僕のような素人には、成程そうだったのかとけっこう新鮮だった。
 
by ヤマ

'18. 7. 2. TOHOシネマズ1



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