『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(Jurassic World:Fallen Kingdom)
監督 J・A・バヨナ

 元々は『ミッション・インポッシブル:フォールアウト』を観に行こうかとしていたら、仕事に出る妻が珍しく「それなら私も行きたい」というので、やにわに変更して観てきた作品だ。もう見送ることにしていたのだが、ほかにはめぼしいものが見当たらないのが今のTOHOシネマズ高知の惨状だ。

 それなりの絵作りはしながらも、ストーリー運びがあまりにも場当たり的で、いくら後先を考えられない人間なるものの愚を示すにしても、特別出演的な位置づけで登場するイアン・マルコム博士(ジェフ・ゴールドブラム)を除く全ての登場人物皆人の“後先考えない思考と行動”ばかりを見せられると少々辟易としてくる。そして、その最たるものが、恐竜保護団体を率いるクレア(ブライス・ダラス・ハワード)が終盤で選択しようとした行動のように思えたのだが、そこからの一捻りが思いのほか利いていた気がする。

 そうしなければ次作も見せ場も作れなくなるという製作上の事情もあるのだろうが、ロックウッド財団設立者ベンジャミン(ジェームズ・クロムウェル)の孫娘メイジー(イザベラ・サーモン)の設定と言葉が利いていたように思う。自然の摂理を無視した科学技術による大厄災に繋がりかねない扉というのは、もはや既に開かれてしまっているじゃないかということなのだろう。

 共生する気など更々ない人間と、共生の名のもとに人命を危機に晒しても庇護したい人間、とにかくカネがすべての人間、確かに今の社会の写し絵になっている。恐竜に限った話ではない。貧富や宗教、人種その他、さまざまな違いを抱えながら同じ地球に暮らす人間同士でさえ、今世紀に入ってから、共生よりも分断のほうに向かう政治勢力が顕在化するようになっている。ベンジャミンの屋敷ロックウッド・エステートの地下施設で開かれる闇オークションの異常性は、やはり圧巻だったように思う。かようなことが成立しかねないのが人間社会なのだ。そういう意味で本作は、恐竜そっちのけで恐竜愛に欠ける映画だったようにも思えるから、『ジュラシック・パーク』を愛好する恐竜マニアからは不興を買う側面があるのだろう。

 また、そういった人間同士の共生問題以上に、クジラとか犬猫にまつわる今ある動物愛護団体を直截的に思わせる部分のあったところが実に興味深かった。元ジュラシック・ワールド管理責任者のクレアの本作での立ち位置がなかなか微妙で、観る側からの共感がすんなりとは得られにくいキャラクター造形にしてある点が大いに気に入った。しかし、富への執着と同様に、それをも含めて人間なのだろう。実際のところ「遠くの親戚より近くの他人」どころか「近所の他人よりうちの猫」だと思っている人が少なからずいるからこそ、被災時の避難所で起こる問題や平時の避難訓練がうまく片付けられないでいるような気がする。

 
by ヤマ

'18. 8.11. TOHOシネマズ4



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