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『フランケンシュタイン:ベネディクト as 博士版』(National Theatre Live:Frankenstein)['11] | |||||
舞台演出 ダニー・ボイル
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フランケンシュタイン博士(ベネディクト・カンバーバッチ)から名前も与えられなかった怪物フランケン(ジョニー・リー・ミラー)が、よもやあれほど喋りまくるとは思い掛けなかった。直立歩行ができるようになるまで這いまわっていたオープニングに意表を突かれつつ、これはもしかして庵野秀明が総監督をした『シン・ゴジラ』をダニー・ボイルが観たのかも、と思ったが、どうやらこちらのほうが先らしく2014年に日本公演を果たしていたようだ。だとすると、逆に庵野秀明がこのナショナル・シアター・ライブを観ていたのかもしれない。 ジョニー・リー・ミラーの身体表現の細かな動きがなかなか見事で感心したが、ベネディクト・カンバーバッチが怪物を演じたほうでは、どうだったのだろう。怪物フランケンのキャラクター造形に新味があって、フランケンらしいある種のピュアさを湛えつつも、少女と花に心を動かすのではなく、異性を渇望し裏切りへの報復に執着する“大人なフランケン”だったことが目を惹いた。少女と花ではなく、博士の新妻とその肉体に心動かし報復の強姦致死を犯すのに、悪行としては、彼よりも博士のほうに罪がある形になっていたところがミソだと思う。探求心と全能感に囚われた思い上がった人間たる天才のほうが怪物よりも余程おそろしいのは、原作者のメアリー・シェリーが小説を著した200年前と何ら変わることのない人間の罪深さだと思わずにいられない。ただ、怪物も博士もずっと叫びっぱなしで少々一本調子に感じられたのが残念だった。 それはともかく、映像作品は、舞台客席からは到底観ることのできないアングルを多用したものだったことに驚いた。映画監督でもあるダニー・ボイルが映像作品も監督したのだろうか。そうではなくて、舞台演出のみ担ったのであれば、この撮り方はどうだったのだろう。それにしても、舞台で雨は降らすは、火は使うはで、日本だと消防が許可しはしないだろうと恐れ入った。 | |||||
by ヤマ '18. 4.27. 県民文化ホール・グリーン | |||||
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