『遥かなる勝利へ』(Burnt By The Sun 3:The Citadel)
監督 ニキータ・ミハルコフ

ヤマのMixi日記 2014年07月09日00:00

 数千本の映画をそれなりに幅広く観てきて、自分では多少なりともリテラシーを身に付けているつもりだったのだが、何だかさっぱり訳の分からない作品で、動揺してしまった(苦笑)。

 無謀な突撃作戦のなか待機状態から命令もなく飛び出して行って戦闘を開始させた懲罰部隊の兵士コトフ(ニキータ・ミハルコフ)と、中将としてスターリンから直接受けたミッションにより1万5千人を率いて、丸棒を携えて突撃していたコトフが、同じ人物で同じ戦場だったのは、いったい何だったんだろう? でもって何故、武器を捨てて同じ要塞に向かって出ていたのだろう?

 また、互いに死んだと思っていたコトフとマルーシャ(ヴィクトリア・トルストガノヴァ)が再会して家族を階下に二階でベッドインした直後に、まどろみのなかにいるコトフを置き去りにして一家で立ち去ったのは何だったのだろう? んで、このエピソードは、先の戦場の場面と時制的にはどういう関係にあったのだろうか?

 コトフと妻のマルーシャ、ドミートリ大佐(オレグ・メンシコフ)の関係と人物像に全く現実感がなくて、面食らってしまった。ミハルコフ監督は、いったい何がしたかったんだろう???

 第1作『太陽に灼かれて』は、18年前に観ているが、もうろくに覚えていないし、第2作『戦火のナージャ』は、観てないけれど、そういう問題ではないレベルでの不可解さだった。

 あまりのことに呆然としてしまった(笑)。それでも150分、飽かせず見せるとこは凄いけど。


コメント

2014年07月09日 14:05
(TAOさん)
 私は三作目をパスしてますが、2作目は見てます~。
 マルーシャが立ち去ったのは、今はドミートリーの妻だからでしょうか。
 参考までにこちらを。2作目でもかなり面食らってます(笑)
 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1713707703&owner_id=3700229


2014年07月09日 19:28
ヤマ(管理人)
 ◎ようこそ、TAOさん、

 第3作を観てないTAOさんと、第2作を観てない僕ですが、TAOさんが『戦火のナージャ』についてお書きの
 >地位も名声も築き上げたジイサンが好き放題にやっている気持ちよさがあり、昨今のリアルで臨場感のある戦争映画とは違う、マジックリアリズムによるスペクタクル
 を更に発展したような作品だと僕には思えました(笑)。
 冒頭の蚊、始めと終わりに出てくる二十日鼠、意味深なんです。 秘密警察ばりに探索飛行しているような蚊のショットの長さ!無駄に凄いです(笑)。

 第3作では、マルーシャはドミートリーの妻でもなくなり、別の男との間に子供をもうけてますが、相変わらずドミートリーの庇護は受けている模様という何かヘンな状況になってました。で、ドミートリーが見つけ出して連れて来たコトフと、階下で彼の弾くピアノの調べのなかでベッドインしているところに夫が帰宅、みたいなのがあってから、一家で立ち去るわけです。いやまぁ、いいんですけど(笑)。
 なんか凄い三角どころか四角関係になってました、しれっと。
 マルーシャもかなり不可解なんですが、最も謎なのがドミートリーです。何を考えているのやら、さっぱり得体がしれません。再度の大いなる謀略が潜んでいるのかと思いきやそうでもなく、それどころか今度は彼のほうが収監され尋問を受ける羽目になってました。
なんで?(笑)

 しかし、最大の謎は、それらの紆余曲折を経て、中将となってコトフが舞い戻った戦場が、なぜか懲罰部隊の兵士として思わず塹壕から飛び出したときと同じ戦場で、同じ独軍兵士がレコード盤の側に二十日鼠を放し飼いにしながら、銃座からソ連軍の塹壕を窺っているわけです。
 あの突撃はいつの、何だったの?って卒倒しました(笑)。
 ふたつの突撃のどちらかは、コトフの妄想なの? え?まさか? みたいな(笑)。

 ミハルコフの頭の中では、ちゃんと脈絡が繋がっているんでしょうが、あの極めてバランスを欠いた説明不足と冗長の交錯した編集では、何がどうなっているのか、よく分りませんでした。編集もミハルコフ自身なんじゃないでしょうか。
 でもって、作品として対象化できなくなっているのに、TAOさんがお書きになっているように、誰も「地位も名声も築き上げたジイサンが好き放題にやっている」のを咎められなかったんじゃないでしょうか(笑)。

僕にとっては、そのような作品でした(とほほ)。


2014年07月10日 08:39
(TAOさん)
 ヤマさんの困惑、よくわかります!(笑)
 前作も相当へんでしたもん。

 >あの突撃はいつの、何だったの?
 無限ループ! 人生はすべて一炊の夢なんですよ(笑)。

 しかし、どうしたんでしょうねー。『12人の怒れる男』まではちゃんとしてたのに!
 しかも今調べたら、まだ65歳なんですけど。
 本作はデヴィッド・リンチの『インランド・エンパイア』なのかも(笑)。


2014年07月10日 19:56
ヤマ(管理人)
 ミハルコフの『インランド・エンパイア』 か!
 成程。うまいですね、それ。 さすがTAOさん。 やっぱ是非ご覧くだされ(笑)。

 普通に、短期間のうちに名誉回復して囚人兵から将軍になって同じ戦場に戻ったとご覧になっている方もいるようで、劇場で映写してた知人からそう教わりました。そうなると一炊の夢ではなくなり、“マジックリアリズムによるスペクタクル”ということになってくるんですけどね。だから、TAOさんがご覧になると後者かも。

編集採録 by ヤマ

'14. 7. 8. あたご劇場



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