「北朝鮮への“帰国事業”」前後編
 https://www.nhk.jp/p/bs1sp/ts/YMKV7LM62W/episode/te/YZY6QV97Z8/
デジタル・アイ「北朝鮮 独裁国家の隠された“リアル”」
 https://www.nhk.jp/p/bs1sp/ts/YMKV7LM62W/episode/te/X82V3Z9VWJ/
BS1スペシャル

 北朝鮮に材を得たドキュメンタリー番組を続けて観る機会を得た。先に観た「北朝鮮への“帰国事業”」で2019年6月放送とクレジットされていた部分はETV特集での放映で、前後編を合わせたBS1スペシャルでの初回放送となると、2020年8月ということなのだろう。前編の「知られざる外交戦」、後編の「60年後の告白」、どちらとも観応えがあった。

 日本生まれの北鮮への帰国事業者で、脱北して現在は大阪に住む夫婦が最初に登場していた。'59年から'84年にまで及んだ帰国事業によって、さまざまな形で国際政治や各国の国策に翻弄された人々の貴重な証言が記録されていた。同じく脱北して現在は韓国に住み、友人の一人もいなくて、北朝鮮では読めなかった本を日本語で読む日々を過ごしているとの独居老人の人生と言えるものが、僕にはないという悲痛な声が沁みた。差別と貧困に晒されていた人たちに強力に作用した“地上の楽園”キャンペーンの発端が、在日朝鮮人の生活保護の受給率の高さによるものだったという棄民政策なのが遣る瀬無い。

 それにしても、集団帰国に最初は乗り気でなかった北朝鮮の狡猾な事業利用には唖然とさせられる。帰国者や人道など一顧だにしていない冷酷な捕食体質が凄まじい。だが、それを言うなら、日朝のみならず、韓国・アメリカ・ソ連にしても、この事業に関与したいずこの国も人道主義など何ら念頭にない酷薄さだったように思う。

 十年前に観たかぞくのくにを撮ったヤン・ヨンヒ監督も登場していた。同作にも描かれていたように、最も厄災を被ったのは紛れもなく朝鮮人だったわけだが、帰国事業に応じた大半の朝鮮人の出身地は南鮮という、現在の韓国であることがいっそう遣る瀬無い。祖国とはいったい何なのだろうと改めて思う。

 続けて観た「北朝鮮 独裁国家の隠された“リアル”」では、“OSINT”すなわちオープン・ソース・インテリジェンスの凄さを目の当たりにするとともに、北朝鮮ウォッチャーとされる人々が世界中にいることに驚いた。マニアックな特殊技能を生かしてフォロワーを獲得することで収入を得たり、ビジネス機会を得ているのだろうか。それとも、映画ドリーム・ホースに描かれていた“ホウィル(胸の高鳴り)”によって行っているのだろうか。生半可なエネルギーの投入量ではないことに恐れ入った。

 初回の「ウクライナ・OSINTで迫る“戦場の霧”」を観逃したのが残念だ。
by ヤマ

'23.10. 8. NHK BS1録画



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