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『昼下りの情事』(Love In The Afternoon)['57] 『シャレード』(Charade)['63] | |||||
監督 ビリー・ワイルダー 監督 スタンリー・ドーネン | |||||
オードリーの好きな先輩に「マリリンは好きだけど、オードリーは…」などと言っていたら、「キミは女がわかってない!」と渡された『昼下がりの情事』['57]と『シャレード』['63]。確かに、きちんと観ているのが『ローマの休日』['53]のみでオードリーをとやかく言う資格はないわけで、観てみて思わぬその肉食系ぶりに意表を突かれた。 『昼下りの情事』で親子ほどに年の差のある富豪フラナガン(ゲイリー・クーパー)を手玉に取っていた際には、アプローチの積極さのなかに、むしろ実年齢からするとカマトト感のある“経験の浅い若い女性の背伸び感ないし健気さ”のほうが印象深かったが、三十路半ばの『シャレード』に至ると、有閑マダムだった人妻という役どころだから、幾つもの名を使う謎の男(ケイリー・グラント)を挑発するさまにも艶やかな年増感があって驚いた。感心するのは、さようでありながら、いささかも下品にならないところで、さすがはオードリー・ヘプバーンだ。役のなかで実際に食欲旺盛な様が演出されていて、よく食べよく舐めていたのが可笑しかった。 無論この時代に“肉食系”などという用語法はなかったと思うから、元祖肉食系と名付けてやりたいくらいの積極さで、謎の男が幾度目かの嘘の正体を明かすなかで、25万ドルのためには食い付くわけにいかなくて我慢するのが辛かったというようなことを男が船上で漏らしていたのも無理ない感じだった。 両作ともパリを舞台にしたハリウッド映画だったわけだが、街中に溢れ返っているキスシーンを連続してスナップするオープニングの『昼下りの情事』でも性欲を食欲になぞらえたかのようなナレーションがあったし、雪山リゾートから始まる『シャレード』に繰り返し登場するさまざまなバリエーションでの飲食シーンにしても、そこに洗練された隠喩があるのは間違いない。また、当時アメリカから見て、パリがいかに粋でお洒落な恋の街としての憧れを集めていたのかということが偲ばれるようにも感じた。 *『昼下りの情事』 推薦テクスト:「映画通信」より http://www.enpitu.ne.jp/usr1/bin/day?id=10442&pg=20120706 | |||||
by ヤマ '12.11.17. DVD観賞 '12.11.23. DVD観賞 | |||||
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