2011ホーム カミング デー講演会
『私を支えてくれたもの-郵便不正事件の経験を通じて-』
内閣府政策統括官(共生社会政策担当) 村木厚子


ヤマのMixi日記 2011年08月14日01:22

 高校の2学年先輩の村木さんの講演は、満席立ち見の出る盛況ぶりだったが、録音録画禁止との事前説明のあった母校での話には、おそらく他では見せないと思われる親しみが宿っていて、生々しい話も多く、その肉声で語られる言葉とユーモアの随所に重みと人柄が窺えて大いに感銘を受けた。

 ちょうど特捜部による捜査の是非が問われ、大きく揺れていた頃、最高検には村木さんの2年後輩となる僕らの同窓生が検事として職務に就いていたりもして、今回の事件は非常に身近に感じてもいた。だから、大いに関心を寄せていた講演だったが、予想以上のものがあって、貴重な機会を得られて良かったと改めて思った。

 村木さんが、どうして折れずに持ちこたえることができたのか、と問われるなかで、振り返ってみて感じた5つのこととして挙げた第一が“好奇心の強さ”だったことにとても感心させられたことが印象深い。以下、
 2番目:支えてくれる人々の存在
 (とりわけ両親の残っている郷里にて支援の声をあげてくれた同窓生。本当にありがたかったそうだ。)
 3番目:好きなものがあること推理小説。寸暇を惜しんで読み耽ったそうだ。)、
 4番目:子ども達のためにも折れるわけにはいかないとの思い
 5番目:きちんと食べて寝ることができたこと、だったのだが、
最初に挙げた好奇心とは即ち、能動性であり、逮捕による取調べに対し、受身一方に身を置かずに済んだことを指していたように思う。
 2番目の要点は、やはり「一人じゃないと思える心強さ」であり、逆に言えば、孤独に追いやられると持ちこたえられないということなのだろう。3番目の要点は、気持ちの切り替えが出来ることの大きさで、4番目は、我が事に留まらない目的意識を持てることの強みだろうと思った。ご本人自ら、最後に挙げたけれども実は一番の基礎になる部分だと思うと話していた5番目のことは、精神力を形成する根幹なのだと改めて感じた。

 たぶん皆さんは、検察の取調べを受けることは概ねなかろうから、それに持ちこたえる術など身につける必要もないだろうけど、検察の取調べに対してということに限らない要点だと思えるし、こういうことは普通、改まって考えたりもしないことだからとの前振りの元で話してくれた5つの要点は、成程の納得感と含蓄に富んでいた。

 もう一つ話してくれた、弁護団から教わったとの“無実を勝ち取る5条件”というのも、なかなか面白く、1.タマがいいこと、2.スジがいいこと、3.検事がバカであること、4.弁護士が利口であること、そして、5.裁判官が利口であること、なのだそうだ。この5つが揃うことはなかなかないらしいのだが、それよりも問題なのは、この5つが揃っていても、運に恵まれなければ、無実は勝ち取れない現実だそうだ。それを聞いて、いくらなんでもそんな現行制度のままであってはならないと思ったと話していた。

参照テクスト:『それでもボクはやってない』拙日誌


*コメント

2011年08月14日 08:04
(とめさん)
 私も近くならぜひとも参加させていただきたかった講演ですね。
 この事件も元にしたドラマを見て、初めてこの事件のとんでもなさと
 村木さんの精神力に感銘を受けたのですが、
 第一の「好奇心の強さ」には納得ですね。正義感なんていうのは
 案外脆いものなのかもしれません。
 貴重なお話をアップ下さりありがとうございました。
 最後の無罪を勝ち取る条件は、本当にそれはどうなんだ?って感じですね。


2011年08月14日 23:44
ヤマ(管理人)
 ドラマ、僕も途中からでしたが、気がついて観ましたよ。
 田中美佐子が村木さんを演じてたやつですよねー。

 彼女のユーモアセンスは、ドラマのもの以上でしたが、
 お話を聞いてみて、あのドラマは、なかなか巧みに
 御本人のパーソナリティを捉えていたんだなと感心しました。

 なにせ初めての経験だったから、いろいろな事が物珍しかったそうで、
 それを最大限増幅させることで心を前向きに立て直せたようです。
 ホントに大した先輩だと思いました。

 検事との遣り取りもいくつか話してくださいましたが、
 泣いて抗議したこともあったそうで、折れずに済んだのは、
 自分が幸か不幸か女であり、殊に土佐の女であったことが
 作用していたかも、なんてことも言ってましたね。

 また、逮捕されるとまでは思っていない状態で大阪に任意で出向いて
 事情聴取のなかで全面否認したら、いきなり逮捕という展開になって
 誰も今日、帰京もできないとは思ってないだろうから、マズイ、
 なんとか連絡しなければと、僅かな隙にケータイでご主人に「たいほ」
 とだけ平仮名で送信することができたら、なんかホッとして取りあえず
 今日やるべきことは全て済ませた気分になれたとも言ってましたね。
 とにかく夫に連絡できたので、一安心できたって、
 なんかホント、凄いというか、大物感ありましたよ(笑)。


2011年08月15日 10:42
(TAOさん)
 好奇心=能動性、ってストレスをかなり軽減しますねえ。
 実感あります。

 5番目のことは、精神力を形成する根幹なのだと改めて感じた。
 これも、とっても納得ですねー。

 『西の魔女が死んだ』の主人公は、学校でいじめられて不登校になり、
 山で一人暮らしをしている祖母のところで”魔女修行”をするんですが、
 その修行の第一歩というのが、
 早寝早起きしてごはんをきちんと食べることなんです。
 ほほほ、私ってば魔女になれるわと喜んでしまいました(笑)。


2011年08月15日 15:36
ヤマ(管理人)
 ストレスに縁がなさそうに見えるなどと僕がよく言われる所以も
 その“好奇心=能動性”にあるようです。
 変に面白がる傾向が僕の中にあるのは間違いないですね(笑)。

 『西の魔女が死んだ』は、こちらのTOHOシネマズでも上映されたのに
 観逃してしまっている、悔いの残っている作品ですよ(とほ)。
 早寝早起きは昔から余り自信なかったんですが、
 ごはんをきちんと食べるというのは、高熱が出ても欠かさない位なので
 自信大アリですよん。でも、収監されるのはヤですが(笑)。




参照テクスト:『あきらめない 働くあなたに贈る真実のメッセージ』を読んで
編集採録 by ヤマ

'11. 8.13. 土佐中・高等学校 筆山ホール



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