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『幸せの始まりは』(How Do You Know) | |||||
監督 ジェームズ・L・ブルックス | |||||
ヤマのMixi日記 2011年02月13日00:37 当世風に女性仕様の恋愛物語の本線を行っているように感じられるのに、思いのほか居心地悪くむず痒いところが一切ない作品なのが新鮮だった。 なぜかと思うに、本作のキーワードとなっていた“正直”の表出がいずれの人物においても率直で気持ちが良かったからのような気がする。しかもその率直な気持ちに邪心の影がないのが心地よい。 現実の人間関係において、あのような距離感と表出を相互に保つことは、とてもじゃないけど、ありそうには思えないけれども、あの率直さと節度のバランス感が僕には大いにフィットした。 リサ(リース・ウィザースプーン)の選択への納得感を観客の女性たちが持つ際に、その鍵となっているものは何なのだろう。教えてもらいたい気がする。自分の見解として幾つかのものを想起したのだが、まぁ、こういうことなんだろうなぁと思いつつ、得心に至っていない。 *コメント 2011年02月13日 07:17 (TAOさん) 選択の鍵は贈り物のセンスじゃないですか。 「これでどうだ!」とばかりに自分の優位性を誇示する贈り物は、いまどきの自立した女の気持ちを醒めさせるんですよ。彼も一生懸命変わろうとしていたところはチャーミングでしたけどね。 2011年02月13日 15:37 ヤマ(管理人) マティ(オーウェン・ウィルソン)の優位性誇示のラグジュアリー時計と、ジョージ(ポール・ラッド)の物語性を付加した粘土か、なるほどね〜。 マーケッティングの世界でもこの十年来やたらと強調されてる“物語性”ですよねー。体験型観光なんてのがジョージセンスで、トレンドなんですしね。でも、ジョージセンスが勝ったというよりも、優位性誇示のマティセンスがどうしても許容できなかったってのは、“いまどきの自立した女の気持ち”として納得感あります(礼)。 でも、考えてみればそこんとこは、最初から何ら包み隠さないマティなんだから、それなら、リサはどうして彼を恋人にしたんだろ? そのへんは、どう御覧になりますか? んでもって、女性の目からは、マティとジョージはどうしてリサにあれほど執心することになったと御覧になってます? 2011年02月15日 13:45 (TAOさん) マティの包み隠さない素直さは魅力的だし、ソフトボールチームを解雇されてこれからどうしよう、という時に憎からぬ男性から一緒に住もうと本気で誘われたら、それもありかも、と、あまり後先考えずに乗っちゃったんじゃないかしら。 マティのリサへの執心についてですが、彼は女の子に野球と私とどっちが大事なの?なんて聞かれるのはごめんだと思うんです。リサならそんなアスリートの心理は言わなくても自明だし、自制心が強く、感情で物を言わない。マティとしては、初めて替えの効かない理想の女性が現れたと思ったのでは。 ジョージはあの初めてのデートで、泣き言を言うのはやめて黙って食べましょうというリサの提案を受け入れて、自分に欠けているものがわかったんでしたね。 マティにしろジョージにしろ、リサのリーダーシップや克己心や冷静さ、率直さなど、普通の女の子らしからぬところに惹かれているんですが、マティにはリサが感じている喪失感など思いも寄らず、ジョージはそこにも共感しているところが大きな違いですね。 2011年02月15日 20:53 ヤマ(管理人) なるほど。“包み隠さない素直さ”ってのは、彼の最大の美点でしたね。だからして、優位性誇示にも屈託がなくてつい許容しちゃうんですよ。そういう意味では必ずしも“誇示”とは言えないくらいだったもんなー。その点には、大いに納得というか僕もまさにそのように観てました。彼は愛嬌もたっぷりだったしね。 あまり後先考えずにってとこでは、そうでもなかった気がします。なにせ年収1400万ドルだし、アメイジング・セックスだし(笑)。んで、ベストパートナーを見つけたと思いつつ、ちょっと気掛かりなのが彼の発展家ぶり。でも、それさえファンサービスの一環とさして変わらぬ意識で屈託のない彼に呆れつつも、自分への執着を露わにし始めたあたりでは手懐けられる自信も得てたのでは? だからこそ、ジョージとの間での線引きにこだわってもいたのだと思いました。 マティからリサへの執心については、おっしゃる通りですね。とりわけ「野球と私とどっちが大事なの?」などとは決して言わないっていう指摘はお見事ですね(笑)。それは確かに無茶苦茶大きい! ですが、マティにおいても、やはりアメイジング・セックスのインパクトがとても大きいように描かれていた気がします。百戦錬磨の猛者ゆえに重みもまた(笑)。 でもって、この作品、実は僕、ずいぶん前から女性たちの間で常識のように語られることも多くなった、パートナー適性における“からだの相性”なるもの重視路線への異議申し立てを当世風の女性仕様ラブストーリーとして仕込んだ作品だと観ました。 そういう意味では、上に書いた「ジョージセンスが勝ったというよりも優位性誇示のマティセンスがどうしても許容できなかった」のではなく、やはりジョージの掛け替えのなさがリサのなかで自覚されたのだと思いました。 その掛け替えのなさとは、やはりオープンハートなんでしょうね。あれだけ裏のないマティと互いに率直に自己表出を交わすことができても得られない“オープンハート”が自然にできてリラクゼイションが得られるんですよね。言わば、“こころの相性”とでも申しましょうか。 この映画では、まさに“からだの相性”より“こころの相性”として、これからのトレンドはセックスよりも“オープンハート”という先祖返りを謳いあげているように感じたわけですが、果たして当の女性たちの支持やいかに? と心許ないところもあって、「得心に至っていない」と記しました。 「マティよりジョージですって? そんなわけないじゃーん(一笑)」ってね。「ムリムリ、こんな話ありえなーい」という気もするじゃないですか(笑)。だから「教えてもらいたい気がする」と書き込んだのですが、お応えくださり、とても嬉しかったです(礼×3)。 おかげさまで「マティにはリサが感じている喪失感など思いも寄らず、ジョージはそこにも共感しているところが大きな違い」という、ご指摘されれば、まさにその通りなのですが、うっかりしていたことに気づきました。リサの魅力がお書きのように「リーダーシップや克己心や冷静さ、率直さなど、普通の女の子らしからぬところ」にあるというのは、全く同感です。そんな彼女における喪失感なればこそ、ご指摘の違いの大きさには重みがありますね。 なんか得心できたように思います。ありがとうございました。 2011年02月17日 16:09 (TAOさん) “アメイジング・セックス”に感激していたのはマティで、リサのほうはそうでもないと思うんですよ。「やっぱりアスリートの女は最高」と褒められたときに「アスリートなら誰でも同じ?」と返してますし、むしろ終わった後に電気をすぐ付けたりすることのほうが気になるわけで。 ただセレブリティな暮らしはたしかに魅力だったかも。ソフトボールを失って何者でもないただの女の子になって途方に暮れているわけだから、せめてそういう形でも華やかな場所にいたいという気持ちはどこかにあったでしょうね。 2011年02月17日 19:17 ヤマ(管理人) リサとのセックスに感激し、こんなの初めてだとはしゃいでいたのは確かにマティでしたが、“アメイジング・セックス”という言葉を使ったのはリサだったような気がしてるんだけど、自信なし(たは)。電気の件は、確かにありましたね。 また、うえに書いた“オープンハート”なる言葉も僕の印象ではリサが使った言葉だったように思ってます。あれ?オープンマインドじゃなくてオープンハートとも言うのかって思ったような気がするんですが、これも自信なし(たは)。 そちらのmixi日記も拝読しましたが、「恋愛経験の乏しいヒロインはどちらに自分が惹かれているのかわからない」ってことだったんですねー。確かに疎かったとは自分でも言ってたような(笑)。 でも、二つの選択肢のなかで迷っているというよりは、マティのはずなのに、なんか気になる冴えないジョージ、どーして? ってな心境だったような気がしました。 TAOさんが「実際、どちらも魅力的に描かれているので、私も迷った!」と迷いを表明されるのはごもっともで、なんせ第三者の立ち位置ですもんね。そこで軍配を上げる決め手の一つに「バンビみたいな眼」を挙げておいでなのに感心。でも、そんなにつぶらでしたっけね〜(笑)。 それはともかく最も大事なのは、御指摘のように「実際、どちらも魅力的に描かれている」ことでしたよねー。マティが馬脚を現してってなヤスイ展開にしてたりしないところに、品位を感じました。ジョージの困った父親なども含め、人物造形とセリフの数々になかなか味のある小品でしたよ。 2011年02月18日 06:58 (TAOさん) >“アメイジング・セックス”という言葉を使ったのはリサだったような気がしてるんだけど、自信なし(たは)。 そうでしたっけね。私も自信なしです(笑) >マティのはずなのに、なんか気になる冴えないジョージ、どーして? 順番的にはそうです。迷っているという意識もないと思いますよ。リサは同棲するのが初めてなので、マティとのことは絶対で、他の男性が入る隙などないと思っているんですけど、本当はジョージが気になって仕方ないんです。 2011年02月18日 16:17 ヤマ(管理人) 順番的にねぇ、なるほど。それを伺って改めてリサがチームリーダーをも務めたアスリートだったことを思いました。ひたすら遵守に向かうということとは別ですが、少なくともルールというものを常に意識する感覚を持ち合わせることにおいて、アスリートというのは、その傾向が強くなるはずですよね。同棲自体は初めてだったとしても、ステディ・ルールというのは、けっこう強くリサを縛っていたろうなと思い当たりました(礼)。 キーワードは、やっぱオトコマエなんでしょうな。日本の女優では竹内結子がよく演じて見せてくれますよね。『サイドカーに犬』とか『なくもんか』でもそうでしたが。 2011年02月19日 07:08 (TAOさん) >少なくともルールというものを常に意識する感覚 そうですそうです。だから、リサは、ジョージにも私はボーイフレンドがいるのよ、とうるさいくらいに念を押すし、ルールを守る意識に欠けるマティにあきれるんですね。 2011年02月19日 08:00 ヤマ(管理人) スポーツでも人生でもそうなんですが、完璧にルールを守り通すことはできないし、また、味気ないですよね。 ルールは守ること以上に、破り方が難しくセンスが問われます。なんでもかんでもルール無視というのは、がさつでだらしなく、ここ一番のところでルールに囚われるのは卑小な意気地なしですが、ルールを破る際に最も大事なことは、やはり覚悟のほどでしょうかね。 十代までの幼い時分にルール漬けにされるのは、本当は、その至難とも言うべき破り方を学ぶ機会を得るためだと僕は思ってますが、管理教育の場では、本気でひたすら守らせようとしたんで、却ってルールというものに対するセンスを損なった気がしています。 2011年02月19日 08:19 (TAOさん) >ルールは守ること以上に、破り方が難しくセンスが問われます。なんでもかんでもルール無視というのは、がさつでだらしなく、ここ一番のところでルールに囚われるのは卑小な意気地なしですが、ルールを破る際に最も大事なことは、やはり覚悟のほどでしょうかね。 これ、ファッションにもそのまま当てはまりますよ。ルールを守りすぎると堅苦しく古臭いけど、ルールをわかってないとがさつでだらしない。ルールをわきまえて外すのでないと、センスのいい着こなしはできないんですよねえ。 2011年02月19日 08:38 ヤマ(管理人) う〜、ファッションって、とっても苦手ですが、実は意外にファッションセンスがあるのかもしれませんね、僕(笑)。 ただ怠惰にして、肝心のルールに対して無知そのものだから、外すセンスの発揮の仕様がない!…ってことにしときます(あは)。 | |||||
編集採録 by ヤマ '11. 2.13. TOHOシネマズ3 | |||||
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