『愛のえじき 女教師ハルカの告白』
監督 筒井勝彦

 AV女優として人気を博していたらしい範田紗々演じる女教師の名前がハルカなのはそれなのかというような『おっぱいバレー』もじりのネタで始まり、おっぱいを見せた挙句にレイプされた場面の後で出たタイトルにあった女教師の告白が何だったのか今ひとつ判らぬままに、『キラーコンドーム』ばりに男性器を食いちぎる『エイリアン』もどきの異形の姿を股間に備えた下半身に変身してしまう、もうホラーだかサイコだかカルトだか訳の判らないトンデモ作品ぶりが愉快だった。折々に酒井法子の笑みのような口元を見せる範田紗々をフォトジェニックに捉えていたり、シンボリックな川面が映し出されたりもする怪作だった。そして、最後の終わり方は、何だかベルトルッチが『リトル・ブッダ』で煙に巻いていた覚えのあるCG涅槃のようでもあった。

 単に僕が知らないだけかもしれないけれども、こういう特撮ホラーピンクのような作品は、あまりないように思う。せっかくなのだから、河崎実のようにお馬鹿に笑える造りに徹すれば、もっともっと面白くなった気がするのだけれども、一度だけながら高知で一緒に飲んだこともある地元出身の筒井監督は、根が真面目で、また観念的なものが好きなのだろう。ハルカを慕う教え子シンジローとの間で朝の食卓を挟んだシリアスドラマを用意して芝居をさせたり、ギャグにはしていない形での聖書からの引用を散りばめたりするものだから、却って収まりが悪くなっていたような気がしなくもなかった。その一方で、シンジローの父親の精神科医のサイコがかった気持ちの悪さには迫力があって、けっこう感心させられた。

 それにしても、僕はこういうお馬鹿映画がけっこう好きだから楽しんだけれども、ターゲットにしている層はどのあたりだったのだろう。いかにも低予算ぶりが漂う作品ながら、妙にCGには力が入っていて驚かされたのだが、上映後のプロデューサーの話では、CGの部分は監督の郷里高知に在住しているとの岡村武男だそうで、ビジネス抜きの友達加担というところだったのかもしれない。

◎公式サイト:http://www.oveneyes.com/haruka/
by ヤマ

'10.12.19. シネ・ヌーヴォX



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