『セックス・アンド・ザ・シティ』(Sex And The City)
監督 マイケル・パトリック・キング


ヤマのMixi日記 2008年09月21日02:28

 日本でも中年女性の間で一大ブームとなって、昨今流行のアラフォー潮流を生み出す契機になったらしい人気TVシリーズを僕は観てないが、今の四十代世代の女性の二十代の頃からの人生テーマがずっと“Label&Love(字幕では「ブランドと恋愛」)”だったというフレーズで始まった物語は、この作品のサマンサ(キム・キャトラル)と同い年になる僕の眼には、人並み以上の学歴やキャリアを得、恋愛経験も豊富で、社会的成功も果たしている者たちがほとんどの物語なのに、あまりにも人物像が幼稚に見えて、何だか二十代のスーザンが一番大人じゃんってなトホホさだった。

 ビッグだか何だか知らないけど、二度も結婚式を経験しているはずの四十男があんなドタキャンの仕方をするのか?って呆れ、露見もしてない一度きりの浮気を良心の呵責から自ら妻に打ち明けて肩の荷を降ろそうとする四十男とかってのが何とも解しがたかったけど、男たちをそこまで幼稚にしてなければ、この物語は始まらないわけだし、彼女たち四人の幼稚さともバランスが取れないってことなんだろうか。

 キャリー(サラ・ジェシカ・パーカー)は初婚なのかもしれないけど、あの歳でも結婚以上に結婚式に舞い上がって何も見えなくなるのが“大方の女性の本音の姿”なんだろうか。

 ミランダ(シンシア・ニクソン)は敏腕弁護士なんだそうだけど、半年余りも夫をセックスから遠ざけておいて久しぶりにいたすときに、着衣のままで慌しく翌朝の仕事を気にして早く済ませてなどと口にすることが、夫の一度きりの浮気と比べてどうなのかも念頭に浮かぶことなく、怒りの激情に駆られるばかりか、見境なくも友人の新郎に向かって「結婚なんて最悪」などと式の前夜祭で口走ってしまうのが“大方の女性の本音の姿”なんだろうか。

 サマンサがセックス好きなのはいいんだけど、バレンタインの夜に年若い同居人の恋人の帰宅を待つ際に、自宅のテーブルに自らを女体盛りにして出迎えると喜ぶのが男だと思っているのが“大方の女性の本音の姿”なんだろうか。

 シャーロット(クリスティン・デイヴィス)の漏便ネタにしてもそうだけど、いずれにおいても、「コミカル」のセンスがなんか貧相というか、僕が女性だったら、ちょっと馬鹿にされてるんじゃないかって些か気分を害しそうなところなんだけど、女性たちは随分と寛容で鷹揚としてるんだなぁと少々驚いた。

 結局のところ、そういうところを全部大目に見てしまえるほどに、女性たちは女性同士の人生のバディムービーともいうべきところに、ファンタジーとしての夢と憧れを見ているんだろうなという気がした。


*コメント

2008年09月21日 18:17
(ムーマさん)
 私も、TVシリーズは見てませんが、たまたま原作(最初の1冊でしょうね)を読んでたので、アメコミを観るようなつもりで観に行きました。(アメコミと思うと、これはこれでとても面白かった!
 印象的だったのは、結婚に破綻?して閉じこもったキャリーの(歳相応?の)素顔と、指輪を前に「自分で買いたかったのよ!」というサマンサの言葉です。(どちらも、胸に迫る?ものがありました。

 私も長年にわたる付き合いの女友達(遠く離れてるから、この映画とは比べられないけど)がいますが、基本的にどの人とも1対1の関係なので、こういう「わ〜、キャ〜!」な関係っていうのは、学生時代に終わってしまった感じ。
 でも、この映画を観て、改めて、女性は同性の群れ(悪い意味ではなくて)の「バックアップ」があって初めて、「元気」でいられるのかなあ・・・って思いました。どこかで使い尽くした(或いは、思いがけない所で消えてしまった)精神的エネルギー補充が出来るか・・・というのが、男性とは違うのかもしれないと。

 でも、まあ、この映画を「普遍的な、女性の本音の姿」と思われるのは・・・・・私なんかとしては「ちょっと困るなあ・・・」な感じです。
 もともと私は同性の言うことするコトが不思議でたまらないようなヒトなので、「女性の普遍的な本音」なんて、実は存在しないんじゃないかとも思ってます。(男性もそうでしょうけど、女性も結構多様性に富んでるように、少なくとも私には見えるので。

 とにかく、ヤマさんが思われたようなコトは(「アメコミ」の「お約束」というような意味で)大前提として私は観ていたんだな〜って、今頃気がつきました。もしもこれが本当に、今の日本でも「普遍的な女性の本音」なのだとしたら・・・・・自分の浮世離れをさらに実感しそうです。まあ、それもいいけど(笑)。


2008年09月21日 20:35
ヤマ(管理人)
 基本的にどの人とも1対1の関係なので、
 こういう「わ〜、キャ〜!」な関係っていうのは、
 学生時代に終わってしまった感じ。
 僕は、学生時分から既に終えていたような気がします(たは)。“女性の普遍的な本音の姿”というのは、ちょっと強すぎましたね。「普遍的な」は止めて「大方の」に変えておきます(笑)。


2008年09月21日 22:58
(ケイケイさん)
 とっても面白く拝読しました。
 これね、感想にも書きましたが中年女性向けの「ガールズムービー」なんですよ。
 私もテレビ版は未見なんですが、ずっと観ていた方たちには、一見さんでは不可解な行動も、この人たちならやりそうだという納得感があったみたいですよ。本音というより、彼女たちの見せる思いがけない恥さらし的な部分が、あぁこんなにキャリアもあって、美貌もお金もあって、男にも困らない人が、私と同じ悩みや後悔や恥を抱えているんだという部分に、多くの同年代の女性が共感したんじゃないでしょうか? 強さだけ見せている人とは、仲良くなれないでしょう?

 私はワーキャーが楽しかったですよ〜。特に服の取捨選択場面のファッションショーが良かったなぁ。親友と呼べる人は57歳と43歳ですが、会えばキャリーたちとは違うベクトルで、ワーキャーしています(笑)。


2008年09月24日 15:35
ヤマ(管理人)
 ケイケイさんの映画日記、拝見しましたよ。仕事にも成功、美貌にも恵まれファッションはブランド品に囲まれて、男も不自由せずの女性たちなんて、鼻もちならないはずなのに、あぁ私たちシモジモの女と同じ悩みを抱えているなんて、やっぱり女同士よねぇ・・・と、とても共感できるというとこは、やはり僕には叶わない話で、“ガールズ・ムービー”の証明でもありますね。
 オフんときにTAOさんがおっしゃってた『ブリジット・ジョーンズの日記』ってのは、とっても納得感ありでした。あれは、拙日誌を綴っているのですが、世間の好評にもかかわらず、僕は、なんだかな〜って思いが湧いた覚えがありますよ。物事が表面的にしか見えないお馬鹿で、取り柄はただひとつ一所懸命さ、内心では毒づきながらも表に出せず、調子のいい言葉や状況に引きずられ、ドジばかり繰り返しているブリジットのキャラクターが、レニーのこれ以上は望めないほどの体当たりの熱演ぶりにもかかわらず、愛すべきものとしては映ってこず、情けなさが募って笑えなかった。なるほど、このブリジットの姿であれば、観客としての独身女性の多くが我が身を脅かされる部分がほとんどないだろう。などと皮肉っぽく綴ってます(笑)。
 多くの同世代の女性が共感したとお書きの『SEX AND THE CITY』にも、この作品と相通じるテイストがあるような気がしますね。

 ケイケイさんがお書きのファッションショーの場面は、僕も気に入りました。観ている三人の票の入れ方の違いも面白かったし、何より楽しそうでしたね。あそこには、別に幼稚さは漂っていなかったように思いますよ。


編集採録 by ヤマ

'08. 9.20. TOHOシネマズ1



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