『ジャーヘッド』をめぐって
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ヤマ(管理人)


  No.6292から(2006/03/25 12:18)

(人魚さん)
 お久しぶりです。

ヤマ(管理人)
 ようこそ、人魚さん、お久しぶりです〜。

(人魚さん)
 今、往復書簡を拝見しました。

ヤマ(管理人)
 ありがとうございます。今回は日誌を綴らないままでの往復書簡談義でした。

(人魚さん)
 前に私も公開されてすぐくらいに観ました。
 『アメリカン・ビューティ』がかなり好きなので、普段見ない戦争物でも見た次第です。
 で、先日友人と話しても疑問が残ったのですが、ピーター・サースガードは戦死なのか?
 友人も私も彼の精神状態から自殺では…と話したのですが、

(ケイケイさん)
 ヤマさん、こんにちは。人魚さん、初めまして。
 私もトロイの死については、自殺だと思いました。

(人魚さん)
 そうですか。同じく自殺だと。ネットでこの映画の感想を読んでいても、どなたも書いてなかったので参考になりました。この映画で一番気になっていたラストの死でした。彼の心境があの死で出たとしたら、自殺かなと? でも、すぐに、「戦死よ」と言った友人もいました。
 2つに受けとれますから、監督は見る人におまかせという意図だったのかな?
 『アメリカン・ビューティ』もそういうとこある映画かなとも感じます。

(ケイケイさん)
 最初はまた元のワルの連中とつるんだあげく、抗争にでも巻き込まれたのかと思ったんですが、それなら海兵隊の象徴の、丸刈りのままはおかしいと思いました。

ヤマ(管理人)
 そうですか? それもアリなんじゃないかしらん。ワルの連中とつるむのに、丸刈りが御法度ってことはないでしょうし(笑)。

(ケイケイさん)
 そういわれれば、そうですね(笑)。他の戦友たちが、みんな長髪に戻していたでしょう?

ヤマ(管理人)
 そうでしたね。

(ケイケイさん)
 だから、未だに丸刈りのトロイは、海兵隊に執着してたかなと思ったんです。

ヤマ(管理人)
 それはそうかもしれませんね〜。

(ケイケイさん)
 だから、元のワルの道には戻っていないだろうとの、希望的観測ですね(笑)。

ヤマ(管理人)
 それはともかく、サイトアップした往復書簡談義でも記していたように、自殺というのは、僕には思いがけない受け止めでしたが、そのように解すると一段と彼らの悲劇というか哀れが際立つし、彼らをそこに向かわせた社会システムへの憤りがいや増してくるような気がしますね。

(人魚さん)
 それにしては柩で軍服姿だったから、その後、どこかでの戦死なのか? 殺したくてまた兵になり、戦死なのか…、ラストがイマイチ不明のままでした。どう思われますか?

(ケイケイさん)
 サイクスと同じように、海兵隊でしか「自分なりの真っ当な人生」を送れないと思っていた彼なので、はかなんでの自殺かと。あの軍服姿は、海兵隊で同じ釜の飯を食った戦友たちが、死装束として着せたかなぁと思いました。

ヤマ(管理人)
 死因が何であれ、棺のなかの軍服姿についてはこれに違いないと僕も思ってました。軍服姿で棺に入れられていたからって直ちに戦死というものでもないように思います。アメリカの慣習がどうなっているのかは知りませんが、まぁ、言わば、ちんぴらというかはぐれ者だったトロイの短い生涯で、少しだけ華のあるキャリアと言えば、海兵隊時代だけってことであれば、どのような死の迎え方をしたとしても、友人たちが手向けに軍服を着せてやるというのは、ありえないことではないように思いますから、ね。軍服は着てましたが、棺に星条旗が掛かってなかったように思いますから、戦死ということでもないんではないでしょうか?
 まぁ、あのシーンで言えば、僕はトロイの死因そのものは明らかにされてもいないし、さして重要なことではないように受け止めています(あは)。それよりも、かつての灼熱の砂漠仲間のトロイが早々と命をなくしたことで彼らが受け止めている無念とか仲間意識みたいなことのほうに、ウェイトが置かれていたような気がしています。
 病死ではなさそうなのですが、自殺なのか、戦死なのか、はたまた前科者社会で死に追い遣られるような無茶をしでかさずにはいられないような帰国後の心境だったゆえなのか、いずれにせよ、生を全うできなかった若者でしたね。そこんとこに意味があったのだろうという気がしてます。

(ケイケイさん)
 「殺したくてまた兵になり、戦死なのか…」というのは、外人部隊とかですか? トロイは人が殺したかったわけではなく、海兵隊に自分が在籍した証として、あの場面で標的を仕留めたかったと思うんですよ。

ヤマ(管理人)
 同感です。その政治的是非はともかく、自分の生涯で、初めて大義に即した任務を得たことに喜びを感じていたのですから、戦時における狙撃兵の役割というものを実際に果たすことでの手応えがほしくて仕方がなかったろうと思いますね。

(ケイケイさん)
 この辺、サイクスが海兵隊に留まる理由とも、被ると思いました。

ヤマ(管理人)
 確かに。サイクスに巡らせた想いは、ケイケイさんの『ジャーヘッド』映画日記でも、いちばん光ってるところでしたね。

(ケイケイさん)
 それで、私は、トロイはあくまでアメリカの海兵隊にこだわっていたと思うので、他の軍隊に入ることは、ないと思いました。

ヤマ(管理人)
 これは、僕はそうとも思えなくて、はみ出し者の彼を一人前に受け入れてくれるところが海兵隊以外にもあれば、彼は、そこに向かったように思いますね。彼がこだわったのは海兵隊だからではなく、過酷な条件においてではあっても、海兵隊というところが、同じ兵卒間においては平等なとこで尚かつ意義ある任務に就いていると思わせてくれるとこだったから、なんだと僕は思ってます。だから、そういう場が他にも得られれば、別に海兵隊にはこだわらなかったのではないかという気がしてますね〜。

(ケイケイさん)
 何故そう感じたかというと、トロイがこの出征限りで除隊すると知った仲間が、手荒く彼らなりの思いやりで、海兵隊の焼印をトロイの足に刻印したでしょう? あれが体にある限り、他の軍隊は考えないのでは? と思いました。

ヤマ(管理人)
 なるほどね。あの刻印の顛末を僕が肯定的に受け取ることは、とてもできませんが、彼にとっては、そういう作用を果たした可能性はあるかもしれませんね。

(ケイケイさん)
 人魚さんが仰るように、観る人により幾通りも解釈できる作品ですね。

ヤマ(管理人)
 解釈というよりは、想起ないし想像の部分だと思いますが、そういうものを多々触発してくれる作品は、やはり優れた作品だと思いますよ。

(人魚さん)
 まだ、シューテツさんのは読んでないですが…

ヤマ(管理人)
 シューテツさんとこの談義でも、トロイの死因が自殺か否かには触れてなかったように思いますよ。

(人魚さん)
 いろいろな見方をありがとうございます。私は、結構ラストの若い死が気になり考えました。

ヤマ(管理人)
 触発されたってことですよね〜。

(人魚さん)
 シューテツさんのところにも読みに行きましたが、死因の件についてはなかったので、ここで話せて良かったです。

ヤマ(管理人)
 いろいろな受け止め方が出てきて面白かったですよね。掲示板管理者として嬉しい限りのコメントです(礼)。

(人魚さん)
 いつか再見する時、ラストのトロイのヘア、国旗、彼らの表情などを見直したいです。

ヤマ(管理人)
 こんなふうに後にまた楽しみを与えて貰える作品っていいですよね。

(人魚さん)
 ああいう戦争へ行った彼らの心は、帰還後、どういう方向へ流れたか…その辺りでラストがひっかかりました。

ヤマ(管理人)
 ここんとこが作り手の最も投げ掛けたかった部分でしょうから、きちんとそれが届いた人魚さんは、作り手にとって上客でしたねー。

(タンミノワさん)
 ヤマさん こんばんわ。春ボケのタンミノワです。

ヤマ(管理人)
 ようこそ、春うららのタンミノワさん(笑)。

(タンミノワさん)
 『ジャーヘッド』も、『クラッシュ』も見てないまま春休み…。今『ジャーヘッド』のケイケイさんとの往復書簡を拝読してたら、「ど〜せ私にはもうこれ、劇場で見れないんや!」と突如哀しくなり、途中で読むのをやめてしまいました。

ヤマ(管理人)
 あらあら、それは残念なことでした。まぁでも、拙日誌や談義は巷で顰蹙のタネらしい「ネタバレ」とかいう憚りものへの配慮が全くされてませんので、観る前に読むのは危ないですよ(笑)。
 だいたいネタバレって何を指してそう言うのか僕には不得要領なもんで、どうも配慮しにくくってハナから投げることにしちゃってます(たは)。

(タンミノワさん)
 小さい子供のいる私も、期間限定ではありますが、文化難民なんですよね…。

ヤマ(管理人)
 これはもう、宿命っちゃ宿命ですよねー。

(人魚さん)
 私は子供は大きいのですが、少しのバイトや家族の雑用などで映画はそうそう見られません。でも週に1本は目標です。その代わりツタヤが近いので、週4本は借りてます。

(タンミノワさん)
 でもじゃあDVDでいいかというと、今日の夜子供と『モンスターズ・インク』を見ながら「これじゃあダメだなあ」と思っちゃいました。というわけでかなりすねている夜であります(笑)。

ヤマ(管理人)
 僕も年経る毎にますます家で観る気は起こらなくなってきてますよ。

(人魚さん)
 DVDでも大画面TVにすれば、かなりいいいです。W杯の時に42インチにしたので、DVDで楽しめてます。意外と公開されない映画でもいいのあったりして、掘り出し物にも出会えますよ。

(タンミノワさん)
 今はなんとしてでも見たい『ナルニア国物語』を、どうやったら子供と鑑賞出来るかを戦略練ってます。

ヤマ(管理人)
 次回更新では、これの日誌をアップしますよ〜。

(人魚さん)
 まぁでも、お子さんが小さいうちは我慢もし方がないかな…。あと、映画ばかりでなく本も読みたいCDも聞きたい、他の趣味の時間などいろいろありますから、幾つになっても時間作るのって大変かなと思います。PCもそれほど時間を使わないように、意識してしてます。
 独身なら何でも可能なのかな…でも親の介護のこともでてきたり、それぞれですね。
by ヤマ(編集採録)



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