『亡国のイージス』をめぐって
眺めのいい部屋」:ムーマさん
チネチッタ高知」:お茶屋さん
ヤマ(管理人)


  No.5827から(2005/08/30 15:45)

(ムーマさん)
 『亡国のイージス』拝読しました。

ヤマ(管理人)
 ありがとうございます。

(ムーマさん)
 私はいつも、どういう点について何を感じているのか、自分にとっての問題点そのものが整理しきれないヒトなので、ヤマさんの文章に毎回、感嘆!します。

ヤマ(管理人)
 恐れ入ります。拙日誌が、その整理に少しでも役立つようなら、思わぬ果報で、とても嬉しいです。

(ムーマさん)
 特に、最後のほうで、中途半端な境遇を解消するためには、正規軍化か武器を捨てるか、いずれかを選ばなければならない。むろん僕は後者に立っていて、自衛隊は内外にわたる救助活動専門部隊になっていくべきだと思っているのだが…とあるのを見て、「わ〜、同じこと考えてる人に会った〜〜。」(笑)。

ヤマ(管理人)
 ムーマさんもそうでしたか(嬉)。
 むろん我々は多数派ではなさそうですが、かといって絶対数としては決して少なからぬものがあるように感じてるんですけどね。

(ムーマさん)
 わが家でも、9条改正?や自衛隊の海外派遣が話題になるたび、「国際救助隊トカナントカにできないのかな〜。」という話になります。

ヤマ(管理人)
 おうちの中でね〜、そりゃとてもいいことですねー。

(ムーマさん)
 大地震や豪雨のニュース映像を見たりしてもそうなのですが、私自身もこども時代、住んでいた山の中の小さな町が豪雪で孤立したとき、ブルドーザーで道を開け、二階建ての家の屋根が埋まるほどになって、ほとんど土砂か岩と化してしまった雪の始末をしてくれた自衛隊の「救助活動」の力量を、こどもながらに実感して以来、ずっとそういう気持ちがあります。「社会貢献」というのはあれをいうのだ…という、正直な気持ちです。これが「国際」でも、本質的には同じという気がします。

ヤマ(管理人)
 僕には幼き頃からの実感体験というのはないのですが、実感の強みって、そこですよねー。“社会貢献”というのはあれをいうのだ…、実感のこもった確信に満ちてて、とてもいいです(賛)。

(ムーマさん)
 最近、岩波のブックレットで、『憲法を変えて戦争に行こう、という世の中にしないための18人の発言』というのを読みました。
 その最初に、この20年ほどアフガニスタンで診療(最近は「軍隊に守られずに」灌漑事業まで)しているお医者さんが、「軍隊に守られるのは危険」で、現地で実際に活動していると「丸腰の強さを痛感する」と書いておられ、現実を知っている人の説得力を非常に強く感じました。

ヤマ(管理人)
 そのお医者さん、名前は忘れましたが、新聞等で見た覚えがあるように思います。たしかイラク派兵問題かれこれで国会での証言にも立ったことがあるような気がするのですが…(朧)。
 “現実を知っている人の説得力”というのは、ホントにそーですねー。「軍隊に守られるのは危険」とか「丸腰の強さ」の当否自体は、少し想像力を備えていれば容易に掴めることなのですが、いかんせん、説得力を持ち得ないんですよね(とほ)。ところが、そこんとこに「現場で携わっている人」という説得力が備われば、まさしくそうに違いないと思われるのですが、それでも、そうは受け取らない人々も数多くいるのが現実で…(とほほ)。

(ムーマさん)
 というわけで、自衛隊のサンダーバード化をもし果たし得たら、それに携わることで、自衛官の傷ついた“誇り”も大きく回復されるはずだと思う。彼らの誇りが傷ついているのは、欺瞞と矛盾を放置した今の制度のなかで、その欺瞞と矛盾の解消よりむしろ助長に勤しむ状況に押し流されるままに、いつまでも中途半端さに晒されている自分たちの位置づけが一向に変わらないからだろうと思うというヤマさんに、賛成です。

ヤマ(管理人)
 ありがとうございます。先ほどの「軍隊に守られるのは危険」とも同じ武装化によるリスクのほうを加速度的に増大させながら、なおかつ武器使用を禁じてリスクだけ重くするのは彼らの命を軽んじていることに他なりませんよね。それって、思いっきり誇りを傷つけますよ。
 もっとも昔から兵卒というのは、組織的には消耗品扱いですよねー。そこんとこを士気の鼓舞と論功行賞という形でカモフラージュするのが手管なんですが。

(ムーマさん)
 もちろん、実際の自衛官の方たちがどう感じておられるのかは、もっと聞いてみないと分からないことなのですが。

ヤマ(管理人)
 そうですね。
 それについては、僕も忌憚のないところを耳にする機会を得てはおりません。でも、現役自衛官の方が、宮津たちの考え方に同調しがちな者が職場に少なからずいるとお書きになっているのを見かけたりしましたよ(憂)。その方は、それを批判的に捉えているわけですから、自衛隊のなかにも両方の側の方々がいるということですよね。

(ムーマさん)
 それにしてもサンダーバード化なんて言葉が浮かぶ、ヤマさんって凄い!!(笑)。私はそこまでカッコイイ言葉は浮かびませんでした。

ヤマ(管理人)
 そーですか?(恐縮) さほど独創性はないように思うんですが(たは)。僕らの世代には最も判りやすいイメージでして、ね(笑)。それについ最近、映画公開もされたとこでしたもんでね〜。

(ムーマさん)
 実は、一時期、派遣で話題になった「イージス艦」とはどんな代物なのかを見てみたい…というごく単純な理由で、わたしは『亡国のイージス』を観にいきました。

ヤマ(管理人)
 元々観に行こうとは思っていたんですが、加えて決め手になったのは、四十年前に作られた海底軍艦を観たことでしたね。『海底軍艦』の神宮司大佐と『亡国のイージス』の宮津海佐の描かれ方がどう異なっているのだろうかという興味が湧いてきたのでした。
 そしたら、なかなかの曲者作品でして(笑)、当初の思い以上にいろいろ触発されて、大いに楽しむことができましたよ。

(ムーマさん)
 どうせ長編小説の映画化だから、ストーリーは説明不足でも仕方がないし、とにかく大好きな俳優さんたちが何人も出ていて、しかも護衛艦なるモノの実物も見せて貰えるんだから…と、それほど期待していなかったのが、良かったのでしょう。映画自体は(特に、俳優さんたちの好演が大きくて)、観に行って良かったと思いました。

ヤマ(管理人)
 そういう意味では、僕もいつものように原作未読ですし(苦笑)、それどころか、ま、ある種の嫌な予感をも想定しつつ観に行きましたから、想外に楽しめて儲けものというか、思っていた以上の作品でしたね。

(ムーマさん)
 おまけに、ヤマさんの「サンダーバード」も、親しく読ませて貰えたし…(笑)。

ヤマ(管理人)
 あ、この「親しく読む」っていうの、いい言葉ですね。ありがとうございます。
 そうなんですよ、自分自身がその映画を観てるか観てないかで、この「親しみ」ってのが天地ほどにも違うんですよね〜。ですから、僕は自分が未見のものはほとんど読むことがありませんよ。どうせ読むのなら「親しく」読みたいですモンねー。

(ムーマさん)
 それにしても、憲法も自衛隊も、この先どういうことになるのか…。選挙の宣伝カーの声が聞こえる中で、やっぱり考え込んでしまいます。

ヤマ(管理人)
 そこんとこを最も鮮明に出しているのは社民党ですが、いかにも小党埋没感が強いですし、まぁ、せめて民主党のマニフェストにある「イラク派兵の撤退」くらいは実現させてもらいたいところですね。



(お茶屋さん)
 ヤマちゃん、こんばんは。(ムーマさん、どうも〜。

ヤマ(管理人)
 ようこそ、お茶屋さん、こんにちは。
 珍しいねー、ここへの書き込みは何年振り?(笑)

(お茶屋さん)
 ヤマちゃん、Fさん、すみよさんの感想3本立てで、入場料金の元を取っておつりがたまりましたよ(笑)。いや〜、『イージス』見た甲斐がありました。

ヤマ(管理人)
 おぉ、拙日誌もおつりに一役買いましたか、それは光栄だなぁ(嬉)。
 お茶屋さんとこの勝手口に私には『亡国のイージス』は、ぜんぜん面白くなかったですが、他人のレビューを読む楽しみが残っています。これで1,300円の前売料金の元をとらなくちゃ(笑)。って書いてましたモンね〜(笑)。元どころか、おつりが出てよろしかったねー。

(お茶屋さん)
 私は、この映画、セリフや人物の行動がうそ臭くってたまらず(お好きな方、ごめんなさい)、人間関係も行動の目的も全然わからんと思っていましたが、ちょっとはわかっていたことが、ヤマちゃんの日誌でわかりました(笑)。

ヤマ(管理人)
 そりゃあ、よかった(光栄、光栄)。
 拙日誌を読んでわかったというのは、まさしくムーマさんも書いてくださっていたように、上手く整理できてなかったところを自分のなかで整理するのに役立ったということであって、元々御自身のなかにあったことなんでしょうね。

(お茶屋さん)
 端から純粋娯楽(フィクション)として見ていたし、映画を見ている間も現実を想起させられるところはなかったので、ヤマちゃんが感じたリアリティを興味深く読ませてもらいました。

ヤマ(管理人)
 僕ももちろん娯楽フィクションとして観ていたけど、そういうことだったら、お茶屋さんにとっては、拙日誌はちょっと意表を突かれたようなところがあって、さぞかし面白かったことでしょうねぇ(嬉)。でもまぁ、『海底軍艦』もそうだったように、娯楽フィクションのなかに込められている作り手の想いや志みたいなもののほうが、ある意味、最初から観客を選んでしまっているような作家性の強い作品より影響力があるだろうし、重要なんじゃないかなぁ。

(お茶屋さん)
 また、国防する人が国を憂えるとロクなことはないですね。(←これを映画を見た時点で感じたかったな〜。

ヤマ(管理人)
 そーだよねー(ツクヅク)。
 「(←これを映画を見た時点で感じたかったな〜。)」とも添えてあることについて僕の場合を言えば、映画を観た時点ではなく観る前からってとこもあるけど(笑)。
 なんせ「改めて見せつけられたように思う」って書いているくらいで、まぁ、色眼鏡っちゃ色眼鏡ってことにはなるかもね(苦笑)。

(お茶屋さん)
 生活に困っている人や将来に不安を感じている人が、憂えるべきだと思います。

ヤマ(管理人)
 ほんとにそーだよね。
 でも、そういう人たちほど無力感にも囚われていて、何もしないし、出来ないようにしむけられてるから、システムとしては相当に巧妙な仕組みなんだよね、残念ながら。

(お茶屋さん)
 そんないろんなことを感じさせてくれた日誌でした。

ヤマ(管理人)
 ありがとー、ありがとー。
 ここに拙日誌の感想を書き込んでくれることは滅多になかったので、ちょっと驚きつつ、とても嬉しく思いました。またの御来室を(笑)。
by ヤマ(編集採録)



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