『真珠の耳飾りの少女』をめぐって | |
(TAOさん) (タンミノワさん) ヤマ(管理人) |
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No.4965から(2004/10/20)
(TAOさん) ヤマさん、こんにちは。 ヤマ(管理人) ようこそ、TAOさん。 (TAOさん) 『真珠の耳飾りの少女』も拝読しました。 ヤマ(管理人) 早速に、ありがとうございます。 (TAOさん) 私も『アマデウス』と同じジャンルの作品だなあと思ったのです。そうそう、『美しき諍い女』もありましたねえ。あれは、創作の現場をじつにスリリングに描いた作品でした。この2作に比べると『真珠…』がちょっとこじんまりしてるというのも同感です。 ヤマ(管理人) まぁ、別格のような2作品と並べるのもどうかと思ったんですが、ご同意いただいたように、ジャンル的に繋がる気がしたもんですから(笑)。 (TAOさん) 『真珠の耳飾りの少女』のもうひとつのジャンルは、<美少女記録映画>でしょうねえ。 ヤマ(管理人) 確かに(笑)。 (TAOさん) むしろこっちの価値のほうが上かもしれません(笑)。あの白桃のようにけぶる肌とヤマさんも絶賛の唇は、『テス』のナターシャ・キンスキーに匹敵しますもの。 ヤマ(管理人) あぁ、あのときのナスターシャは確かにまだ美少女系でしたよね。うん、それにとっても美しかった覚えがあります。そう言えば、彼女も唇が厚く膨らんでましたね。 僕は、でも、少女系にはそれほど興味が向かわないんですけどね。もそっと濃厚なほうが…(笑)。 (TAOさん) ヤマさんの濃厚趣味は熟知してますとも(笑)。 ヤマ(管理人) あ、やっぱしぃ?(笑) ですから、スカーレットで言えば、僕は『ロスト・イン・トランスレーション』のほうが好み(笑)。でも、映画としては『真珠の耳飾りの少女』のほうが好みだな。 (TAOさん) テスとグリートの完熟前のみずみずしさは別格でしょう? ヤマ(管理人) そーですね。異議な〜し(笑)。大したモンだと思いましたもの、今回。絶妙のキャスティングでしたよ。『テス』も余人では考えにくいキャスティングでしたね。それでも、僕が密かに記録している「女優銘撰(この映画のこの女優リスト)」では、ナスターシャは、『マリアの恋人』なんですよね〜(あは)。 -------映画に表れていたグリートの美的センスについて------- (TAOさん) ヒロインの美的感受性に関しては、少々わかりにくいのですが、冒頭にちょっとした伏線があるんですよ。フェルメールの屋敷に行く朝、実家で彼女が切った野菜を並べているカットがありますよね。 ヤマ(管理人) それまでの色調が暗めだったことで、とりわけ色の鮮やかさが強調されてたように思います。 (TAOさん) その並べ方がうっとりするほど美しくて、ああ この子は繊細でセンスのいい子だなと思えるのです。 ヤマ(管理人) そうですね。 だから、拙日誌にも「フェルメールが妻にそう言うことが方便としても有効な程度に、グリートには絵画的センスがあることが強調されて描かれていた」と綴っているわけですが、それでも僕は、センス的な部分で色調バランスや構図への物言いができたにしても、「アトリエの光が変わる」と躊躇うのは、やっぱり不自然だと思ったのでした。対象物としての可視的な絵画そのものへの物言いとは違いますからね〜。 (TAOさん) たしかに(笑)。フェルメールの妻をドキリとさせる台詞としては有効ですけどね。 ヤマ(管理人) あの場面があったから、後でフェルメールが妻に「絵画を理解していないからだ。」と言い放つ台詞に力が宿っているんですよね。 (TAOさん) そういえば、原作では、グリートが雇われるに至った理由がきちんと書かれてあって、それは、部屋の掃除をしたあとに物の位置を寸分違わず元通りにできるという特技で、おとうさんの仕事場をいつもそうやって掃除していたからなんです。映画でもそのことにふれてほしかったなと思いました。 ヤマ(管理人) 映画では、フェルメールの机の上に置いてある紙だか布だかを片方の端を押さえつけてはぐるようにして机を拭き、さらに反対側の端を押さえつけてもう一度はぐるようにして机を拭いている場面がありましたよ。 (TAOさん) ええ、あれを見て、どうしてたまたま雇った女中がこんなに優秀なのだ?といぶかしく思ったんでした。チェック細かすぎですねー(笑)。 ヤマ(管理人) チェックが細かすぎとは思いませんよ(笑)。ただ僕は原作を知らずにいたもんだから、入ってはいけないと言われていたアトリエを掃除する以上、彼女が細心の注意を払ったんだと思い、特技というんじゃないですが、繊細で気の利いた利発な娘だってことで納得してましたね。原作で特技とされてたのを承知してれば、それをこんなにあっさりと流しちゃっていいのかなって訝しく思うのは道理かもしれませんね。 (TAOさん) あ、私も映画を見たときは原作をまだ読んでいなかったんですよ。あとから原作を読んで、ようやく納得したんです。 ヤマ(管理人) そうでしたか。 -------映画よりも意志的な女性だった原作のグリート------- (TAOさん) それと、原作では、グリートがまえもって自分でピアスの穴を開けておくんですよ。 ヤマ(管理人) ほ、それは明らかに違ってましたね。 (TAOさん) 映画の貫通シーンはちょっとストレートすぎるよと思っていたので、安心しました。 ヤマ(管理人) 確かにストレートでしたよね、映画では。前もって自分で開けておくとなれば、グリート自身の選択と意志が際立ちますが、映画では、もっと「こじ開けられた」ような感じで描いてましたね。 (TAOさん) 全般的に、原作のほうがフェルメールの芸術至上主義でどこか酷薄なところが出ていて、映画はやはりちょっとロマンス風に仕上げているようです。まあそれはしかたないのでしょうね。 ヤマ(管理人) それこそ最後にとってつけたようなプレゼントでロマンス風を装ってはいたものの、映画もかなりその線が出てたように僕は思ってます。だから、拙日誌で「こじ開けられた」とか「させられた」との受動態でグリートを語ってるんでしょうね(笑)。 日誌には綴らなかった、ラストを“とってつけた印象が先に立つようなとまどい”と共に受け取ったことにも、そのあたりが影響しているみたいです。 (TAOさん) そうそう、あれはないですよねー。 ヤマ(管理人) ですよねー、あらら、そう仕舞いをつけちゃうの?って(笑) (TAOさん) フェルメールらしくないし、グリートだってそんな甘っちょろい女じゃないのに。 ヤマ(管理人) グリートはともかく、フェルメールのキャラが随分と変質しちゃいますよね。でも、TAOさんじゃありませんが、そうするのも「まあそれはしかたないのでしょう」(笑)。 -------フェルメールの絵が静謐で閉じている理由------- (TAOさん) そういえば、ヤマさんの、身分違いな耳飾りが娼婦をイメージさせるという指摘はなるほどと思わされました。 ヤマ(管理人) ありがとうございます。当時の風俗についての知見が及ばないので、「手前味噌な妄想だけれども」とエクスキューズ入れてるんですが(笑)。 (TAOさん) グリートが髪を見せることを極端にためらったのも、きっと同じ理由からでしょうね。 ヤマ(管理人) おおー、なるほど。確かに、ちょっと特別なことのように描いてましたもんね。 (TAOさん) 私は、中国の<てん足>を想像しちゃいました。労働者階級の女は、髪を夫にしか見せちゃいけないのかなって(笑)。 ヤマ(管理人) なるほど、なるほど。ありそうな気がしますね。ブルカみたいなことって、イスラムだけの話じゃないですよね。日本もかつてそうでしたし。 (TAOさん) 映画では、フェルメールの義母が巧いなと思いましたよ。一見、遣り手ばばあのようでいて、自分の娘よりも婿の画才に惚れてるパトロンヌ魂がよかった。グリートをライバル視する小さい娘も巧い。なんだか女系家族の中の男のしんどさが体感的によくわかって、だから、フェルメールの絵はあんなにも静謐で閉じているんだなあと納得しました(笑)。 ヤマ(管理人) うんうん、“女系家族の中の男のしんどさ”というのは全くそうで、入り婿的沈黙がよく出てましたよね(笑)。 「だから、フェルメールの絵はあんなにも静謐で閉じている」というのは、興味深いところですね。なるほど、そういうふうに影響していたのか、成程成程(笑)。 -------母親にはふさわしくない役とは、いかなる役なのか(笑)------- (タンミノワさん) 引き続き、タンミノワです。 ヤマ(管理人) ようこそ、タンミノワさん。 (タンミノワさん) こないだ美容院で雑誌をめくっていたら「あのセレブの二代目」的な特集がありまして(笑)、なんとナスキンの今が載っているではありませんか。しかし、最初見た時、私は「リンダ・ハミルトン」だと思って見ていたのです。ああ歳月って・・ ヤマ(管理人) 『ターミネーター』の?(笑) (タンミノワさん) その代わりといっちゃなんですが、彼女の16歳の娘がイスラム系とのハーフの美少女で、ナスキンとは別のタイプなんですけど、これまたスクリーンに出てきそうでしたよ。 ヤマ(管理人) それは楽しみですね。 (タンミノワさん) ナスキンは母親になってからというもの、母親にあるまじき行為は全て排除して、母親としての人生を真っ当しているそうです。 ヤマ(管理人) ふーむ、あるまじきとは何を想定してるのかな? むろん虐待とかを言ってるんではないんでしょうが(笑)。 (タンミノワさん) 母親にふさわしくない役もしないとか。以上、芸能情報でした。 ヤマ(管理人) 今ちょこっと調べてみたら『セックスダイアリー』とか『エクスタシー・ワンス・モア 愛をもう一度…』とかに出てるから、少なくとも性的なことを言ってるんではなさそうですね。 (タンミノワさん) そ、そうなんですか(笑)。十分出てるやん・・と突っ込みを入れてしまいそうになりますが。 ヤマ(管理人) 母親にふさわしくない役……ふーむ、殺人鬼とかですかね(笑)。 (タンミノワさん) 母親になってからは、母親にふさわしくない役はしないように とありましたから、きっと性的な表現とか、シャブ中の役とかはしないで、マジメな役柄を選んだってことなんでしょうかね。もったいないような・・ ヤマ(管理人) でも、『セックスダイアリー』も『エクスタシー・ワンス・モア 愛をもう一度…』も、ともに2001年の作品で、主演っぽいですから、やはり性的なことで母親にふさわしくないとかは、思ってないんじゃないでしょうか。 というわけで、タンミノワさんの「もったいないような・・」との懸念には及ばないようです(笑)。 (TAOさん) タンミノワさん、おひさしぶりです。リンダ・ハミルトンと間違えた〜?! 4,5年前の『フォルテ』では美しかったのにー。恋人がいるのにウオーレン・ビーティを易々と手玉にとってさんざん脅かすという、とても母親にふわさしい役でしたよー(笑)。 ヤマ(管理人) あ、これもそういう系統の作品だったんですか(笑)。 (TAOさん) やっぱりジョディとはずいぶんちがう価値観の持ち主だ。 ヤマ(管理人) ジョディは、堅物そうですもんね(笑)。 (TAOさん) タンミノワさんもナスターシャを見習って、素敵なおかあさんになってね(笑)。 ヤマさん、その女優銘選とやら、こんど一挙に公開しません?(笑) みなさんそれぞれ一家言ありそうだし、盛り上がりそう。 ヤマ(管理人) そーですか(苦笑)。 なんか僕、突っ込まれ放題に突っ込まれて、立つ瀬なくなりそうなんですが(笑)、他ならぬTAOさんのご要請とあらば、明日にでも、掲示板に書き込みますから、どの映画の誰が出てくるか、ちょいと予想してみてくださいな。んで、その当否具合で先の御発言の「熟知度」というのを検証してみようじゃありませんか(笑)。 |
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by ヤマ(編集採録) | |
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