『細雪』('50)をめぐって | |
「Mandiargues」:みみを@unica=zurnさん TAOさん 「my jazz life in Hong Kong」:Kaoriさん ヤマ(管理人) |
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(みみを@unica=zurnさん) 皆様こんばんは。レビュー拝読しました。 いやー、深いですね。「細雪」 (管理人ヤマ) ありがとうございます。今回、阿部監督作品を観て一番驚いたのは、実は '83年の市川監督作品が思ってた以上に自分のなかに残っているなーってことでした(笑)。 それぞれの作られた時代の影というものがきちんと宿っていて、やっぱり大したものだと思います。 (みみを@unica=zurnさん) 半世紀も前から作られていたという、時代背景を充分に取り込んだ、また女性のとらえ方など、実に興味深く読ませて頂きました。 公開希少となってしまった映画のお話を伺うと、「観たい」欲求が助長されます。あー、なんとか観る機会、ないかなー? (管理人ヤマ) 阿部作品は、ビデオにもなってないらしいですよ。 フィルムセンターにはあるのかなぁ。 (みみを@unica=zurnさん) 最近、こんな事ばっかり言ってて、全然観れていない自分が口惜しいです。観たいものは増えて行くし、けど観る事が稀になってしまった作品も同じ様に増えていって、うぎゃ~~~。と頭を掻きむしってしまいそうですわー。なんとかならんのきゃなも… (管理人ヤマ) ま、焦らずに、焦らずに(笑)。念掛けていれば、いずれどこかで観ることができるとしたもんですよ。僕なんか『2001年:宇宙の旅』、二十年待ちましたよ(笑)。 (TAOさん) やまりん(←えへへ、お許しをいただいたのでさっそく)、こんにちは! (管理人ヤマ) お茶目ですねー、ホントに呼んでら(笑)。 中年オヤヂつかまえてアイドルみたいな呼称もないもんですが、折も折、だれもがムネオのほうを連想しちゃいますね。 しかし、さんづけでなくてよかった。「ヤマリンさん」などと呼ばれるといかにも業者間での呼び名だわ。ミポリンを誰もミポリンさんなんて呼ばなかったですもんね(笑)。 (TAOさん) 阿部版「細雪」、興味深く拝見しました。 (管理人ヤマ) 毎度御贔屓に、ありがとうございます(揉み手揉み手、無断伐採手心おひとつ、ハイ)。 (TAOさん) なるほど、幸子の印象は変わらないのに、雪子と妙子が変化して見えるのって、面白いですね。 (管理人ヤマ) そうなんですよ。二十年近く前の記憶だから、あやしかったりもするんですけど。もっとも佐久間良子と轟夕起子の体躯、貫禄が似通ってるって話かもしれないんですけどね。 でもねー、本家を背負う負荷はなく、一家の奥方として、でんと腰を据えた状態の女の押し出しの強さとでも言いましょうか、永遠不滅、悠久の存在感みたいなものですね(笑)。 (TAOさん) たしかに市川版雪子(吉永小百合)は、じれったいほどの古風さと隠れた芯の強さ、したたかさで、モダンガールだけどもろさもある妙子を、存在感の点で凌駕していた印象を受けました。 (管理人ヤマ) それは阿部版でもニュアンス的にはあるんですよね。でも、やはり批判的視線で描かれているように思いました。吉永小百合にそういう視線は向けられませんよね(笑)。 (TAOさん) 妙子役の高峰秀子はこの映画をきっかけとして、谷崎から家族同然にかわいがられたようですから、きっと谷崎自身も阿部版の妙子を気に入っていたのだと思います。 (管理人ヤマ) ちょっと可哀想でね、哀れ誘うんですよね。 (TAOさん) 戦時中にかくも贅沢な風俗小説は不届きだと雑誌連載も中止となり、刊行の見通しも立たぬまま、秘かに決然と書き綴ったわけですから、著者にとっても特別な作品だったことでしょう。 (管理人ヤマ) なんでも自費出版を200部限定でしたらしいですよ(上巻)。でもって、中巻は、印刷頒布の禁止処分になったとか。 (TAOさん) モデルとなった松子夫人とその姉妹を嘗めるように観察し、なんとしてもこの世界を作品に残そうとした谷崎の執念が私は好きですねえ。 (管理人ヤマ) これがまた松子夫人が馥郁たる貫禄のある方ですねー、写真で観た限りでは。いかにもって感じなんですよ。 (TAOさん) 市川版でいちばん印象に残ったのは、二人の婿さん、とくに幸子の夫(石坂浩二)でしたが、阿部版ではいかがでしたか? (管理人ヤマ) 影薄かったです(笑)。で、むしろ鶴子の居直り婿さんのほうが出番少ないけど、印象強かったですね。 (TAOさん) それにしても、華やかなシーン抜きで、かえって4人の女性像を掘り下げているなどと聞くと、見たくてしようがなくなりました。 (管理人ヤマ) いやぁ、掘り下げているとまでは言えないのかも知れませんが、華に気を取られる度合いが少ない分、そちらに目が向きました。'59年の第二回目の映画化作品(島耕二監督)とも見比べてみたいですね。ところが、阿部バージョンは、滅多なことでは観られないって聞きましたよ。僕の『2001年:宇宙の旅』と同じく、20年クラスのヴィンテージものかも(笑)。 (TAOさん) 20年? いいでしょう(笑)。死ぬまでにいちど、くらいの気構えで、のんびり機会を待つことにします。 (管理人ヤマ) 東京にお住まいの方にこう言われると、地方在住者にとっては、たまにはこういうことがあってもいいじゃないかぁ~って、ニヤってしてしまうとこが我ながらさもしいですね(たは)。 (Kaoriさん) ところで、「細雪」読みました。私も原作の大ファンで。 (管理人ヤマ) ありがとうございます。あ、でも、僕は原作は読んでないですよ。Kaoriさんは、感心だなー。 (Kaoriさん) 市川バージョンはもちろん見ていて、VCDも持っているので、何度も繰り返して見るぐらい好きですが、 (管理人ヤマ) あ、じゃあ、僕が日誌に綴った怪しい記憶「花見に始まり、花見で終わっていたような気がするのだが」ってのは、どうなんでしょう。教えてくださいよ。 (TAOさん) ヤマさん(やっぱりこっちのほうが落ち着くなー)、こんにちは。 (管理人ヤマ) ようこそ、TAOりん(笑)。TAOさんは、僕と違ってムネオ連想させないからいいなー(笑)。 (TAOさん) オープニングは京都・嵐山の花見でしたよね。 おしまいは、早春の細雪ではなかったでしょうか。 (管理人ヤマ) おおー、やっぱ、二十年前の記憶なんてのは怪しいもんだな(苦笑)。花見と風花か、なるほどね。 (TAOさん) 東京に旅立つ鶴子一家を駅で見送るシーンがあり、そこに婚約者(江本でしたよねー)と雪子も来ていて、ねばってねばってとうとう玉の輿に乗った雪子のことを、鶴子がこっそり幸子に「それにしても、雪子はん、えらい気ばりなはったなー」と耳打ちするんですよねー。 雪子も大げさにうなずいて見せて。ここ、実感がこもってて面白いなあと思いました。 (管理人ヤマ) 妙子の件も新しい道に踏み出す感じで、肯定的でしたよね。 どちらの女性に対しても、いや、四人姉妹みなに対して、女の強さというものに敬服するような眼差しだったように思います。そこが阿部版と大きく違うとこですよ。 (TAOさん) 一方、雪子に対し、義兄として以上に執心していた石坂浩二は、ひとり料亭で杯を傾けながら、海に溶け込むように降りしきる雪を見て、男泣き。これがラストだったように思います。 (管理人ヤマ) ありがとうございました。 阿部版では、雪子と義兄のいきさつ自体がありませんからね。だから、影も薄いんですよ、義兄。 TAOさんの記憶力は、いつもながら大したものですね(感心)。 (Kaoriさん) 私もその阿部バージョンは、機会があれば見てみたいです。 「花見に始まり、花見で終わっていたような気がする」の件は、そうです、花見に始まり花見に終わってます。 (管理人ヤマ) おおー、やはりそうでしたか~! なんか怪しいながらも、そんな記憶あったんですよ。 (Kaoriさん) ゆっこちゃんの結婚がほぼ決まって、石坂浩二が一人、場末の料亭(ってなんじゃ?)みたいな所で飲んでいるのです。「あいつが嫁に行く」って、しんみりと。 そこで回想するのが最初の花見シーンでそこで終わるんです。あの頃はよかったなー、みたいな。 (管理人ヤマ) なぁ~るほどねー。実は、僕はラストが石坂浩二のシーンだって記憶は、とんでたんですよね。だから、こちらでTAOさんにラストは浩二だよって教えてもらって、そう言えばそうだったようなーって気になってました。でも、やはりそれはそれで正しかったんですね。 そうか、しまいにそういう回想の形で花見に返して来てたのか。なんかね、技掛けて締めくくったというか、花見で始まり花見で終わる意匠だったのねってな観終わっての感想が、あんな形の記憶になってたんでしょうね。 ありがとうございました。 (TAOさん) ヤマさん、自信たっぷりにウソを教えてしまって、ごめんなさい! (管理人ヤマ) とんでもありません。場面としては間違ってないじゃないですか。 (TAOさん) 最後は花見に戻っていたんですねー。 (管理人ヤマ) これは回想部分なんでしょ。 (TAOさん) うーん、その記憶、とんでます。 ビデオやTV放映でも見たのに、待てずにトイレに立ったんでしょうか(笑) (管理人ヤマ) 僕なんか場面的にはもっと重要なとこがとんでて、そんな些末なとこだけ残ってるんですから、お恥ずかしい限りです(笑)。 (Kaoriさん) ところで、市川バージョンでは、私の印象が強いのは岸恵子です。 (管理人ヤマ) お、鶴子ですか。こいつは意表を突かれました。 (Kaoriさん) 多分、私が岸恵子好きだから、かもしれませんけど。関西弁も意外にも彼女が一番うまかったし。あ、もちろん伊丹十三は別格ですが。 (管理人ヤマ) かなりなツワモノ夫婦ですよね、個性って点では(笑)。 (Kaoriさん) 原作ではほとんど色気のないような、単なる本家で監視役、という風にしか描かれてないので、岸恵子とああいった演出でより4姉妹、という強調がなされたような気がしました。 (管理人ヤマ) 四姉妹の強調ですか、なるほど。確かにそうでしたよね、ポスターにしても何にしても。四大女優、華の共演!って感じでしたもん、市川版。 |
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by ヤマ(編集採録) | |
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