『プレイス・イン・ザ・ハート』(Place In The Heart)
監督 ロバート・ベントン


 ある目的に向かって、なりふり構わず一所懸命頑張る姿は、その動機や目的が不純でさえなければ、やはり感動的である。まして、そのことを通じてバラバラだった人間が緊密で暖かい繋りを獲得していくプロセスにもなっている場合、つくづく人間に目的と仲間があるということの素晴らしさを知らされる。

 本作品は、家事のことしか知らなかった主婦が、ある日突然保安官である亭主を酔った黒人の誤射で失って、たちまち一家の主として二人の幼児と借金と共に亭主の残していった広大な土地と家とを守って行かなくてはならなくなるところから始まる。突然収入の途が絶え、一家離散も止むなきかといったところで、サリー・フィールド扮する母親が藁にもすがる思いで流れ者の黒人モーゼスの勧めにより、彼を雇い、綿花の栽培を始める。黒人に亭主を殺された彼女が黒人の助けを借りて、父を失くした二人の子供の父親役も務めながら、懸命になって頑張る。彼女は、どんな困難にぶち当たっても決してくじけることなく、やけくそに頑張る。その姿に、流れ者の黒人も偏屈なところのあった盲人の間借り人も次第に経済的な繋り以上の人間的な、家族的とすら言える繋りを持つようになる。人の心を動かし、人を感化し得る人間のパーソナリティーって何なのだろうという点で、彼女のキャラクターは興味深い。それは、知力でも財力でもなく、人にラベリングしない人間性と自分が先頭に立って励むガッツである。

 『ノーマ・レイ』でもそうだったが、今回もまた、サリー・フィールドは、逞しく力強い魅力に溢れている。ストーリー的には都合の良すぎる部分が多々あるが、それを割り引いても今時こんな素朴でまっとうなテーマで作品が作られていることをもって是としたい。アメリカ南部の景色が美しく力強く撮られていて、また、KKK団の登場など社会問題的背景を絡めることも抜かりなく、比較的スケールの大きな映画になっている。
by ヤマ

'85. 6.28. 名画座



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