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労働者派遣法 2012年10月の改正では・・
派遣労働に関する中心的な法律である「労働者派遣法」は、権益者の力関係によって(いわゆる大人の事情によって)、
付け焼刃のように変わってきました。直近では2012年10月に改正しています。
2012年10月の改正ポイントは以下の通りです。
(1)日雇派遣の原則禁止
(2)グループ企業内派遣の8割規制
(3)離職後1年以内の者の派遣受け入れ禁止
(4)マージン率等の情報公開の義務化
(5)派遣労働者に対する雇入れ時の派遣料金の明示
(6)違法派遣への迅速・的確な対処に関して
(7)労災保険上の責任強化の整備
はじめに、法律の名前が「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に変わっています。
法律の名前上は「派遣者の保護」を強調するようになりましたが・・

(1)日雇派遣の原則禁止
(法第35条の3)
 日雇労働〜日々又は30日未満の有機雇用者(雇用保険法)。
 この形態が禁止されると言うことは、派遣労働で30日未満の雇用形態が禁止されると言うことです。
第35条の3 派遣元事業主は、その業務を迅速かつ的確に遂行するために専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務のうち、労働者派遣により日雇労働者(日々又は30日以内の期間を定めて雇用する労働者をいう。以下この項において同じ。)を従事させても当該日雇労働者の適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務として政令で定める業務について労働者派遣をする場合又は雇用の機会の確保が特に困難であると認められる労働者の雇用の継続等を図るために必要であると認められる場合その他の場合で政令で定める場合を除き、その雇用する日雇労働者について労働者派遣を行つてはならない。
ただし、原則禁止ですので、例外の職種があります。
 @政令で定める業務
ソフトウェア開発 機械設計  事務用機器操作  通訳・翻訳・速記  秘書  ファイリング 調査 財務処理 取引文書作成 
デモンストレーション 添乗(員) 受付・案内 研究開発 事業の実施体制の
企画・立案
書籍等の
制作・編集
広告デザイン OAインストラクション  セールスエンジニアの営業、金融商品の営業
 A次に該当する人
60歳以上の人  学生(雇用保険適用外)  副業とする人(本業収入が500万以上の人) 主婦等、主たる生計者以外の者
(世帯収入が500万以上の人)
政令で指定すると、どの業種も例外にできるような・・・

日雇派遣労働は、学生や副業的にお小遣い稼ぎをしたい主婦やサラリーマンにとっては良いシステムかもしれません。
しかし、現実には、安定した仕事がなく、日雇労働だけで食いつないでいる人々が多数存在し、
「雇用の不安定さ」「社会保険の未適用」「安全衛生に関する派遣先会社の無責任さ」「教育訓練が受けれないので技術の向上が
できない」など様々な問題を抱えてきました。要するに会社から見ると、便利な「使い捨て人材」なのです。
果たして、今回の改正で良い方向に向かうのでしょうか? 今までの企業のやり方をみると、運用の逃げ道があって・・・
キーワードは、日々紹介(後日別記する予定)です。・・・ いたちごっこみたいな改正。
(2)グループ企業内派遣の制限(法第23条の2)
大規模の会社では、人件費を抑制するために、会社内で人材派遣会社を作り、企業内での人材派遣を行うという雇用形態が
現れてきました。
第23条の2 派遣元事業主は、当該派遣元事業主の経営を実質的に支配することが可能となる関係にある者その他の当該派遣元事業主と特殊の関係のある者として厚生労働省令で定める者(以下この条において「関係派遣先」という。)に労働者派遣をするときは、関係派遣先への派遣割合(一の事業年度における当該派遣元事業主が雇用する派遣労働者の関係派遣先に係る派遣就業(労働者派遣に係る派遣労働者の就業をいう。以下同じ。)に係る総労働時間を、その事業年度における当該派遣元事業主が雇用する派遣労働者のすべての派遣就業に係る総労働時間で除して得た割合として厚生労働省令で定めるところにより算定した割合をいう。)が100分の80以下となるようにしなければならない。
でも、80%までは企業内派遣は「OK」なのです。何のための法改正なのか・・・妥協の産物という感じです。
派遣労働の形態が「働き方の多様化」ではなく「人件費の削減するための労働強化が目的」と、法律が言っているようなものです。
(3)離職労働者の原則派遣禁止(法第35条の4、第40条の6)
企業によってはリストラのやり方として、必要性の低い正社員を辞めさせて(解雇し)、派遣社員として再雇用する方法をとる方法が
現れました。
第35条の4 派遣元事業主は、労働者派遣をしようとする場合において、派遣先が当該労働者派遣の役務の提供を受けたならば第40条の6第1項の規定に抵触することとなるときは、当該労働者派遣を行つてはならない。 
(離職した労働者についての労働者派遣の役務の提供の受入れの禁止)
第40条の6
 派遣先は、労働者派遣の役務の提供を受けようとする場合において、当該労働者派遣に係る派遣労働者が当該派遣先を離職した者であるときは、当該離職の日から起算して1年を経過する日までの間は、当該派遣労働者(雇用の機会の確保が特に困難であり、その雇用の継続等を図る必要があると認められる者として厚生労働省令で定める者を除く。)に係る労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。
これは、離職後1年以内の者の派遣受け入れを禁止するという事です。
(4)マージン率等の情報公開の義務化
 派遣業者が派遣料から多くを「ピンハネ」して、派遣労働者に渡す・・・長い間、派遣労働が禁じられていた理由のひとつです。
 禁じられていた事が、何の対策も取られずに、権益圧力によって解禁されたのです。
 これまでも、1日当たり派遣先から2万円もらっていても、その中から派遣者には5000円(ピンハネ率75%)というケースも。
 発覚しています。あこぎです。まさに人身売買ビジネスになってしまいました。
第23条 一般派遣元事業主及び特定派遣元事業主(以下「派遣元事業主」という。)は、厚生労働省令で定めるところにより、労働者派遣事業を行う事業所ごとの当該事業に係る事業報告書及び収支決算書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならない。
 前項の事業報告書には、厚生労働省令で定めるところにより、労働者派遣事業を行う事業所ごとの当該事業に係る派遣労働者の数、労働者派遣の役務の提供を受けた者の数、労働者派遣に関する料金の額その他労働者派遣に関する事項を記載しなければならない。
 派遣元事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、次条に規定する関係派遣先への派遣割合を厚生労働大臣に報告しなければならない。
 派遣元事業主は、派遣労働者をこの法律の施行地外の地域に所在する事業所その他の施設において就業させるための労働者派遣(以下「海外派遣」という。)をしようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。
 派遣元事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、労働者派遣事業を行う事業所ごとの当該事業に係る派遣労働者の数、労働者派遣の役務の提供を受けた者の数、労働者派遣に関する料金の額の平均額から派遣労働者の賃金の額の平均額を控除した額を当該労働者派遣に関する料金の額の平均額で除して得た割合として厚生労働省令で定めるところにより算定した割合、教育訓練に関する事項その他当該労働者派遣事業の業務に関しあらかじめ関係者に対して知らせることが適当であるものとして厚生労働省令で定める事項に関し情報の提供を行わなければならない。
 
   マージン率 = A−B    A:労働者派遣に関する料金額の平均額
               A     B:派遣労働者の賃金額の平均額

(5)派遣労働者に対する雇用時の派遣料金の明示等(法第31条、第34条)
 派遣会社(派遣元受)に対し、派遣労働者として雇用しようとする労働者へ説明するよう義務化された項目ができました。
 (ア)賃金額の見込みその他の待遇の関する事項
 (イ)事業運営に関する事項
 (ウ)労働者派遣に関する制度の概要
 (エ)労働者派遣に関する料金の額 
 
派遣会社は、派遣労働者を新規で受け入れる時、派遣料金を変更する時、
料金の額 については次のいずれかの額を表示しなければなりません。
@該当する派遣労働者に対する派遣料金の額
A派遣先事業所における派遣料金平均額
 
(6)違法派遣への迅速・的確な対処に関しての措置
 
違法派遣とみなされる状態
@労働者派遣の禁止業務に従事させた場合
A無許可・無届の派遣元からの派遣受入
B派遣可能期間を超えての派遣受入
C偽装請負
(7)労災保険上の責任強化の整備(労働者災害補償保険法第46条)
 派遣労働者の労災保険は、雇用契約を結んでいる派遣会社が加入する事になっています。そのため、派遣労働者が派遣先で
けがをした場合も派遣先ではなく、派遣会社(雇用契約元)の労災保険を使う事になります。複雑な雇用関係なために起こりうる事象です。 この場合、派遣先の会社は労災責任を負わないため、派遣労働者に対する危険防止対策が疎かになります。
今回の改正では、派遣労働者が労災に遭わないよう、危険を防止する義務は派遣先が負うべきとし、労働基準監督署等への
報告義務を派遣先が行なう事となりました。
労働者災害補償保険法>
第46条 行政庁は、厚生労働省令で定めるところにより、労働者を使用する者、労働保険事務組合、第35条第1項に規定する団体、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号。第48条第1項において「労働者派遣法」という。)第44条第1項に規定する派遣先の事業主(以下「派遣先の事業主」という。)又は船員職業安定法(昭和23年法律第130号)第6条第11項に規定する船員派遣(以下「船員派遣」という。)の役務の提供を受ける者に対して、この法律の施行に関し必要な報告、文書の提出又は出頭を命ずることができる。

●派遣労働者の「無期雇用化」や待遇の改善について
  専門職の強い派遣労働者に比べ、製造業派遣のような雇用期間の定めがある派遣労働者は、熟練した技術を身につける
ための訓練や長期的な教育を受けたりする機会が少ないのが実情です。また、使用者の都合による有機派遣を繰り返していても、
(やむを得ず派遣を繰り返しているにも関わらず)就業経験が評価されにくく、安定した無期雇用への就労に付くことが困難な事も
実情です。この事を解消する為に、有期雇用派遣労働者の「無期雇用の転換推進措置」の努力義務化が追加されました。
あくまで「努力義務化」です。
果たして・・(追記中)


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