鯉釣りを紹介するサイトLightBlue

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釣り場の性質がわかれば大物が釣りやすい

汽水域における鯉釣り

汽水域でも鯉釣り可

鯉は淡水魚ですが、淡水と海水が混ざり合う汽水域にも生息しており、鯉釣り場の一つになっています。しかし、汽水域は潮汐の影響を受けるので、淡水域とはまた違う難しさがあります。ここでは、汽水域で鯉釣りをするにあたり、押さえておくべき点をご紹介します。

汽水域で釣った鯉
汽水域は潮汐の影響を受けるので、そのことを考慮して釣りをしなければなりません。しかし、大型の出る釣り場です。
多摩川の汽水域
汽水域のどこまでが鯉釣り可能なのか、鯉の泳いでいる姿が見えても釣り場として成立するかは竿を出してみないとわかりません。

汽水域とは?

汽水域とは、淡水と海水が混ざり合う範囲を言います。汽水域で鯉釣りをするには、その性質を知っておく必要があります。

まず、潮汐があります。水位が変動し、河川の汽水域では流れが逆流することもあります。これにより、鯉釣りのポイントが目まぐるしく変わります。次に、淡水は上層にある、ということです。海水は塩が溶けているので、比重が淡水より重いです。そのため、汽水域では海水が淡水の下に潜り込むような形になるので、上層部ほど淡水で、下層部ほど海水になっています。淡水と海水は、すぐさま均一に混ざり合うわけではないのです。このため、河川によっては河口部まで上層が淡水化して鯉が生息していたり、極端な例では、海である運河に鯉が泳いでいることもあります。

以上の、汽水域の性質に注意しつつ、汽水域での鯉釣りを攻略しましょう。

淡水魚であることには変わりない

鯉釣りの話をする前に、そもそも鯉はどの程度の海水にまで耐えることができるのでしょうか?

論文(※1)によれば、鯉の耐えられる塩分濃度は10.5‰で(海水は約34‰)、最も成長する塩濃度は0〜2.5‰だったそうです。この実験では幼魚を使用していますが、鯉はそれほど海水には耐えられないですし、生活圏は淡水と考えてよいでしょう。実際に、汽水域の場所にもよりますが、私の汽水域における鯉釣りの釣果は浅場です。なぜなら、上記で述べたように、汽水域では下層は海水の影響を強く受けるので、塩濃度が高すぎるためだと思われます。

汽水域の上流か下流かで海水の影響を受ける程度が異なるので、一概には言えませんが、淡水になっている上層部が鯉の生活圏であり、浅場が餌場になっているようです。

※1:Ji-Qiao Wang, Huanliang Lui,Hongyu Po, Lina Fan Influence of salinity on food consumption, growth and energy conversion efficiencyof common carp(Cyprinus carpio) fingerlings

潮汐の影響を考える

上記の汽水域における背景により、淡水での鯉釣りとは大きく異なる点があります。

まず、潮汐によってポイントが変わる、ということです。浅場が鯉の餌場になっているので、基本的には浅場がポイントになります。しかし、汽水域は海と同様に、潮汐によって水位が変動しますので、常に望ましい水深というわけではありません。例えば、満潮時にポイントになっていたところが干潮時には露出してしまったり、一方で干潮時にポイントだったところが満潮時には海水が入り込んでしまう、ということが起こります。さらに、潮汐の水位変動も一定ではありません。大潮のときもあれば、小潮のときもあります。その時々で、ポイントが目まぐるしく変わるのです。

このように汽水域では水位変動によってポイントが変わるため、明確な時合があります。時合は、各々ポイントによって異なるので、こればかりは場数を踏んで釣り場の傾向を掴んでいくしかありません。しかし、基本的には浅場になる間が時合です。どれくらいを浅場と指すのか、これも淡水の流入量や地形によって一概には言えませんが、私の経験上では水深1〜2m以内の範囲が大半です。そのポイントの時合を見極めるまで多少苦労しますが、わかってしまえば時合は味方になってくれます。時合の間だけ釣りをすればよいので、短時間釣行で結果を出すことができるからです。

はっきりとした答えをお示しすることができませんが、潮汐によるポイントの変化を掴み、釣果に繋げましょう。

大物が釣りやすい?

わざわざ潮汐も勘案しなければならない汽水域を紹介したのは、大物が釣りやすいからです。アベレージサイズも明らかに淡水域より大きいです。

なぜ大物が釣りやすいのか、ここからは私の推測です。まず、汽水域で生息するには、体が大きいほうが塩濃度のホメオスタシス(恒常性)を保ちやすいということです。魚は人間と同様、体内の塩濃度を一定に保っています。しかし、周囲の塩濃度が上がると、体内の水分が奪われるストレスが掛かります。何かの理由で周囲の塩濃度が上昇しても、大型であるほど体積あたりの表面積は減少するので、このストレスが小さく済むのではないでしょうか。結果的に、大型が残りやすい環境になっているのでしょう。では、なぜそのようなリスクと隣り合わせの汽水域に留まるのか、これは餌が豊富だからだと思います。汽水域には鯉の餌となるゴカイや貝類等が多く生息しています。淡水魚の鯉だけでなく、シーバス(スズキ)等の海水魚もそれらを求めて汽水域へ侵入してくることから、明らかです。また、警戒心の高い大型が接岸しやすいこともあると思います。淡水域ならば釣り人の届かない範囲を生活圏とすることもできますが、汽水域では下層に海水があるため浅場で餌を食べるほかありません。必然的に岸よりが餌場となり、大型でも釣り人の射程圏内に入らざるを得ないのでしょう。

旧淀川、三方五湖、八郎潟、霞ケ浦(今は淡水化)等、巨鯉が釣れる汽水域の釣り場は多くあります。汽水域は大物が釣りやすい環境であるか定かではありませんが、何か関連はありそうです。