鯉釣りを紹介するサイトLightBlue

鯉釣りを紹介するサイトLightBlue

鯉を仕掛けまで誘導する

鯉釣りにおける寄せ餌、ダンゴ餌

寄せ餌で鯉を振り向かせる

釣り場は、単純に「広い」です。他にも餌や場所があるのに、その中に置かれた鈎を鯉に吸い込ませるというのは、難しい話です。仕掛けを鯉は素通りしていくかもしれません。あるいは、そもそも仕掛けの近くに鯉がいないかもしれません。

そこで、鯉釣りでは寄せ餌を使用します。寄せ餌は、遠くから鯉を寄せるだけではありません。鯉に餌を探させ、仕掛け付近に居座ってもらう役割もあります。寄せ餌は、鯉が仕掛けへ到達する確率を上げてくれる餌なのです。

よって、闇雲に餌を配合しても寄せ餌にはなりません。配合する餌に何の役割を持たせるのか、そこを押さえておく必要があります。ここでは、配合する餌と役割を紐付けしながら、寄せ餌の作り方をご紹介します。

釣り上げた鯉
寄せ餌を食べて鯉にスイッチが入れば、アタリが出るのも早いです。写真の鯉は、着底と同時にヒットしました。
釣り場の風景
鯉が回遊してくるタイミング、ポイントなどが全て合えば、鈎に付いた餌だけで釣れますが、そう狙い通りにいかないのが普通です。寄せ餌の力を借りましょう。

鯉へ寄せ餌をどう提供するか

寄せ餌の提供の仕方によって、後述する配合が異なってきます。

提供の仕方は、2パターンあります。「仕掛けと寄せ餌は別々に投入する」、もしくは「仕掛けと寄せ餌を一緒に投入する」です。まず前者は、ポイントへ寄せ餌を撒き、その付近へ仕掛けを投入する方法です。寄せ餌を撒くのには、ベイトロケット(※1)や柄杓を使います。一方で後者は、ラセン(※2)や糸で寄せ餌を仕掛けに固定し、仕掛けと一緒に投入する方法です。仕掛けへ固定する際、ダンゴ状に丸めるので、この場合はダンゴ餌とも言います(PVAバッグ(※3)を使用する場合は除く。)。

ここで重要になってくるのが、「繋ぐ餌」です。ダンゴ餌はまとまりがないと、キャスト時に空中分解を起こしたり、仕掛けから外れてしまいます。繋ぐ役割を担う餌を配合して、まとまりを持たせる必要があります。一方で、ベイトロケットや柄杓を使用する場合、寄せ餌を何かに固定する必要はなく、そのまま投げ入れることができます。つまり、寄せ餌にまとまりがなくても良く、繋ぐ餌は少量か不要です。

どちらの方法も一長一短ですが、寄せ餌の提供の仕方によって、主に繋ぐ餌の割合が異なってくるのだと、思ってください。

※1:寄せ餌を目的のポイントへ投げ入れる道具。ロケット型をしたケースで、中に寄せ餌を入れ、キャストし、着水と同時にケースが開くことで寄せ餌がバラまかれます。

※2:釣鐘状に巻いた針金で、ダンゴ餌を固定するための道具。

※3:水溶性の袋。見た目は小さいビニール袋ですが、数秒で水に溶けます。寄せ餌をPVAバッグの中に入れ、鈎に固定し、投げ入れるので、仕掛けと寄せ餌を一緒に投入できます。繋ぐ餌は不要です。

PVAバッグ
PVAバッグは、消耗品なのでコストは掛かりますが、あると便利です。繋ぐ餌や水の分量を気にする必要もありません。デメリットは、キャスト時に空気抵抗で飛距離が落ちること、数秒で溶けるので投入点を外すとそこに餌がバラ撒かれてしまうこと。
餌盗りのオイカワ
粒の細かい餌は、オイカワやフナなどの餌盗りに食べられてしまいます。粒の大きい餌も入れましょう。

繋ぐ餌+寄せる餌+底に残る餌(+α)

寄せ餌は、仕掛けまで鯉を導くように設計しなければいけません。まず寄せ餌は、遠くの鯉に餌があることを知らせ、寄せる餌を配合する必要があります。また、仕掛けの近くへ鯉が来たものの、そこに餌がなければ、鯉は違う場所へ餌を探しに行ってしまうか、そのまま仕掛けを通り過ぎてしまうかもしれません。鯉に仕掛けの近くで餌を探させ、足止めさせるための底に残る餌も配合する必要があります。また、上記で述べたように、特にダンゴ餌の場合は、まとまりがないと仕掛けと一緒にキャストできませんので、配合した餌を繋ぐ餌も必要です。以上のことから、寄せ餌には、「繋ぐ餌」+「寄せる餌」+「底に残る餌」を配合します。

まず、繋ぐ餌です。ダンゴ餌には必須です。一方で、柄杓等で寄せ餌を投げ入れる場合にも入れたほうが餌としては扱いやすくなります。特に私のような粒の細かい寄せ餌を使用する場合は、まとまりがないと粒子が拡散しすぎるので、入れたほうが良いです。逆に、粒が大きければ(ボイリーやコーン等)自重があるので、繋ぐ餌は不要です(寄せる餌として集魚剤をコーティングする。)。繋ぐ餌には市販の鯉釣り餌(ウキ釣り用等)、蒸かしたサツマイモ、小麦粉などが使用されます。注意点としては、入れすぎないことです。入れすぎると、着水後も全くバラけず、寄せ餌が拡散しないため、鯉が寄りません。

次に、寄せる餌です。遠くの鯉に餌があることを知らせるため、粒が細かく拡散するか、もしくは成分が溶け出す(匂いがする)ような餌です。例えば、ヌカ、魚粉、集魚剤等が寄せる餌になります。

最後に、底に残る餌です。寄せる餌は、鯉に餌があることを気付かせ、仕掛け付近へ誘導しますが、粒が細かく拡散するか、もしくは成分が溶け出すので、その場に長くは留まりません。流れの影響も受けますし、オイカワやフナなどの餌盗りに食べられます。そのため、底に残る餌が必要になります。底に残る餌にはコーン(アッペンコーンを含む)、押し麦等が挙げられます。これらの餌は粒が大きいため流されにくく、また餌盗りの口よりも大きくあまり食べられず、底に残ります。寄せる餌によって仕掛けへ近づいてきた鯉が底に残る餌を食べた先に、もしくは一緒に鈎の付いた餌を吸い込み、掛かるというシナリオです。

他にも、寄せ餌に方向性を持たせるために茶葉や煎った麦等を入れて香りを付けたり、養殖ペレットを入れて集魚効果を上げることがあります。この「+α」は、必須ではありませんが、そういうアレンジの仕方で、寄せ餌を作るのも楽しいものです。

それぞれ役割を意識しながら繋ぐ餌、寄せる餌、そして底に残る餌(+α)を配合しましょう。

市販の鯉釣り餌を使用する

繋ぐ餌、寄せる餌、そして底に残る餌(+α)をどんな割合で配合すればよいのか、課題が残ります。しかし、配合する餌の種類によって割合は変わるので、一概には言えません。また、アッペンコーンやヌカ等の材料から一つ一つ揃えていては、揃えるのも大変ですし、保管する場所も取ります。

そこでお勧めなのが、市販の鯉釣り餌です。市販の鯉釣り餌は、すでにバランス良く餌が配合されていますから、単品で釣れる餌になっています。特に鯉釣り初心者は、まずは単品で使用してみて、寄せ餌の感覚を掴むと良いでしょう。使い慣れてきたら、釣り場の状況を見て、そこへアッペンコーンや砕いたボイリーを入れて底に残るようにしたり、アレンジすることもできます。

水を加えたダンゴ餌
ダンゴ餌は水を加えて握ります。水を加える量は、市販の鯉釣り餌であればパッケージに記載されているので、それに従います。また、水を加えて混ぜるときは、練り込まず、水気を行き渡らせるだけにし、写真のようなパラパラの状態にします。練り込むとバラけないダンゴ餌になってしまいます。
仕掛けに固定したダンゴ餌
餌の割合、水を加えた後の混ぜ方が正しければ、ダンゴ餌は握るとかなり固くなります。そして、水中ではパラパラと崩れ始め、10〜30分で崩れ切るのが理想です。軽く投げてもバラバラに空中分解を起こすようであれば、水が足りない、しっかり混ざり切ってないなど何か問題があります。

アレンジの一例(私の場合)

私の寄せ餌は「チヌベスト」:「大ごい」:「チヌパワーV10白チヌ」=5:3:2で配合したものを使用しています。状況を見て、砕いたボイリーを入れることもあります。私は柄杓で寄せ餌を撒きますが、ダンゴ餌に使用できるほど十分まとまりを持たせてあります(投げやすいから)。

3つとも単品使用でも十分ですが、しっかり意味を持たせて配合しています。まず、チヌベスト(※4)は養殖ペレットが入っており、タンパク質が高いため入れています。つまり、成分的に集魚効果の高い餌です。私はとにかく寄せて掛ける釣りが好きなので、選んでいます。また、アッペンコーンも入っており、底にしっかり残ります。また、チヌパワーV10白チヌ(※5)は、白い濁りによる視覚的な集魚効果があるため、入れています。そして、大ごい(※6)はタンパク質が高く、こちらも集魚効果がありますが、ウキ釣りの餌に使用できるほどまとまりが良いので、繋ぐ餌としての役割が大きいです。

この寄せ餌が良いのか、悪いのかはわかりませんが、これで鯉はちゃんと釣れます。チヌベストとチヌパワーV10白チヌはクロダイ釣りの餌ですが、配合してある餌の意味を読み取ることができれば、こういった自由な組み合わせでも構わないのです。

※4:チヌベスト / マルキユー株式会社 https://www.marukyu.com/product/988/

※5:チヌパワーV10(ブイテン)白チヌ / マルキユー株式会社 https://www.marukyu.com/product/979/

※6:大ごい / マルキユー株式会社 https://www.marukyu.com/product/935/

終わりに

何の役割を持たせて配合するのか、そこさえ押さえていただければ、寄せ餌を作ることは簡単です。市販の鯉釣り餌を単品使用でも、全く問題ありません。しかし、季節やフィールドによって、配合を変えたり、寄せ餌を撒く量やタイミングを調整することのほうがずっと難しいです。ただ、まずは使ってみましょう。使い慣れるには、経験値も必要です。そして、きっとあなたの鯉釣りの味方になってくれるはずです。