Novel

後日談1 - 裏話

「なーんか呆気ない終わりやったな。騒動がでかかったわりには」
『ほうじょなあ』
 騒動の後、平穏が訪れた自室で、私はあさみと話していた。
本当に、あっさりとした幕引きだった。謝ってお終い、それだけ。
 まあ、Dr.は騒動の原因として一年間の出入り禁止を食らったけど。自業自得だ。
アーサのアバターはあの後、Dr.が何らかの(多分非合法な)手段で、また使えるようにしてくれた。
「けど、Dr.って別にアバター必要ないんやろ」
『まあなあ。てきゃも”覚醒者”やし、ちゅうかほやさけこの騒動そうろうよー』
 アーサはそこで一息ついて、言った。
『Dr.の気持ち分からんでもないよー。らえにも理解されん、特異な体質でみょうヘンに見られる。みょうな検査受けたことも一回やないっちゅうか今も受けとるし」
「ちょ……」
 自分過去どんだけ暗いねん。そう突っ込もうとして、代わりに茶化すように言う。
「まあ、よう分かったわ……。あんたとDr.がどんだけ通じあってるか」
『なっ……』
 携帯の向こうで絶句した声が聞こえる。おやおや? あながち間違っていなかったと言うことか。
念のため、私は耳から携帯を少し離した。
『何言うとんねん。これはあくまで同族を思いやっとるだけであり別にアレなどなく。って何言うとるんあがぁああ!
 ち、違うさけ、断じて違う!」
違う違うとまくし立てるあさみの声を聞きながら、ああ携帯を離しておいてよかったとほっとし、内心どこが違うんだと思う。
「あれは小学生男子やろ。いやよいやよもす」
『みなまで言うな、そして違う!』
 言い終わらないうちに断固たる口調で遮られてしまった。
――これは重症やなあ。
空笑いをしながら、このケンカップルをどうにかしてください。と誰にでもなく無責任に祈った。