蒸留

水とアルコールは沸点が違うのでそれを利用してアルコールを凝縮する工程をいいます。この蒸留技術は紀元前4世紀頃に
錬金術師が純度の高いアルコールを求めて発明したと言われています。蒸留はポットスチルによって行われます。
ポットスチルは、銅が使われます。これはイオウ化合物と反応 モロミを熱する事で発生する不快臭を取り除く科学反応を
起こさせる為です。そんな大昔からそんな科学反応を利用したなんてびっくりですね。だれが最初に発見したのでしょうね。
        

単式蒸留式
ポットスティルの形でもウィスキーの味が変わります。

ノーマルネック型と言われます。蒸留釜の肩口からネックが真っ直ぐ伸びている事により外気に触れる面積が小さく、釜に戻る
蒸気が少ない。この為、アルコール以外の成分が残った、複雑な風味を持つウィスキーが出来る。


バルジ型はネックに膨らみがあり 蒸気の流れが複雑になり釜に戻る蒸気も多い。釜に戻った蒸気は香味成分と再び上昇
それを繰り返す事によりアルコール成分が凝縮 洗練された味になる。
写真は左がランタンネック型、右がボールネック型

ポットスチルでは、一度上昇した蒸気がそのまま冷却された場合 それまでの工程で添加された様々な成分の損失が少ない
ノーマルネック 一方で蒸気がネックと釜の間を何度も往来しアルコール成分が凝縮されピュアな原酒となるバルジ型がある。
これら単式上蒸留器と呼ぶがネック部分の違いによりる味の制御をもしています。又加熱方法でも質に影響し直火型なら
香ばしく 間接加熱ならすっきりとした味わいになります。

単式蒸留では、1回で得られるアルコールは度数的には約20度前後になります。この初留で出来上がった液体は、ローワイン
と呼びます。よって更にアルコール度数を上げる為 複数回これを繰り返します。2回目 再留とも言いますが出来上がった
スピリッツの内 使用するのは中間部分です。最初に流れのはアルコールが高い 最後に流れるのはアルコールが低いので
熟成には回さずにローワインと共に再留釜に入れられ再び蒸留されます。
ここまでで美味しいウィスキー作りはなんとまあ手間がかかる事かと思ってしまうほどです。感謝ですね。
こうして蒸留を繰り返しアルコール成分を凝縮させ雑味の少ない原酒を造っていきます。中には3回蒸留を行う所もあります。
このプロセスを図で表すと以下の様になります。


連続蒸留式

連続式蒸留型は、1820年 イギリス人のロバートスタインにより発明された。特徴は2〜3の塔で形成される。塔の内部は、
穴あき式のトレイ構造で何段かに仕切られ棚の様になっています。塔の上部よりモロミを投入し下から蒸気を当てます。蒸気は
トレイの穴より吹き出し棚の一段毎にアルコール成分を分離していきます。棚一段が単式蒸留器と同じ働きをします。
味の特徴は、すっきりとクリアで雑味が少なくアルコール度数は90%まで凝縮される。この為、グレーンウィスキー等の蒸留にも
使われる事が多いです。当然連続式の特徴である稼働中にモロミを連続で投入できる事から大量生産が可能となりました。

連続蒸留塔の構成は、上部よりモロミ成分の沸点の高い物を分離し余分な物を排出するモロミ塔 モロミに含まれる成分の
沸点が低く、水と混ざりにくい疎水性成分を分離する抽出塔 モロミに含まれる中沸点成分を分離 アルコールを凝縮する
精留塔 メタノール・低沸点成分を分離しスピリッツを造るメチル塔となっている。

以上の蒸留を行ったウィスキーは、アルコール度数の高い無色透明でありスピリッツに分類されてしまう。

スピリットセーフという事

この写真の物は、蒸留されたスピリットをカット、セーフするために使われる物です。
上記で再蒸留されるスピリットですが蒸留して流れ出る順にファッション、ミドルカット、フェインツの3つに大別される。
ファッションはアルコール度数が高く、フェインツは、低くまた水になじまず固形化して白濁した液になり味もダメである。
スチルマンは、これを見極めてミドルカットのみ見極めて後行程に送る大事な役割をもっている。
このミドルカットだがキルホーマン等のハウスモルトでは、さらに上質な物を切り取ってウィスキーにしている。
これにより5年短期熟成においても10年以上もまたずに十年以上の熟成と同じような香りや味等をだしているのだ。
そのかわり歩留まりがものすごく悪い。

backnext