発酵


いよいよ発酵工程です。お酒も納豆も味噌も酵母の力を使って作る加工食品ですね。このしくみを発見し食べ物の
加工に取り入れた人に感謝ですね。発酵工程は大きく3段階に分けられます。
その1酵母が増えます。この時液体は白濁色へ
その2発酵が進み液温は30度〜40度へ 炭酸ガスなどがぽこぽこと湧き上がってきます。
その3モロミが生成 酵母が死滅 代わりに乳酸菌が酵母の残した糖やアミノ酸 脂肪酸を餌に乳酸を生成します。
ウィスキーでは、サッカロミセス属 ディスティラリー酵母を乳酸菌が増えすぎないように大量に投入します。
糖化を行った麦汁は、ウォッシュバックと呼ばれる槽へ移します。ここで酵母が糖を食べる事によりアルコール成分と
同時に香味成分を作ります。酵母が糖を食べアルコール成分や香味成分を作り出した麦汁はモロミ(発酵液)とよばれます。
この時発酵槽が使われますが ステンレス槽と木槽の2種類があります。
ステンレス槽の特徴は、温度管理・微生物管理が容易にでき外部からの影響も受けにくく安定して発酵を行え清掃も
容易なので衛生面でも安心できます。 但し発酵に望ましくない振動が伝わりやすいという欠点があります。

一方木槽は、材質:オレゴン松、ダグラスもみ などで作られており昔ながらの伝統的な発酵槽です。保湿性に富み
乳酸菌などの微生物も活発に繁殖し独特の風味を与えます。また木材に染み込んだ成分も添加され
発酵モロミに移り使い込むほどに深みが増すといわれています。但し衛生面ではステンレス製には劣ります。

ウィスキーの味においては、発酵が与える影響として酵母の種類による味の違いもでます。発酵時間の違いによる
味の変化もある。発酵時間が短ければ酸味の少ない重厚なウィスキーに 長ければ酸味のあるモロミができ
軽快なウィスキーになります。活動条件・組み合わせなどでも味は変わっていきます。もっともデリケートな工程でもあります。
酵母が増えるにつれてアルコール・香味成分も増え 又炭酸ガス・エステールが発生していきます。
香味成分もたくさんの種類がありこれも複雑な味わいの一つになります。
酵母が死滅するときも様々な成分を放出、発酵後期に発生する乳酸菌も香味成分をうみます。