埋もれた巨大シックナー
夕張市真谷地地区を進む。
かつては運炭用の馬車鉄道があり、その馬の中継所が地内にあったと言う。
現在は閑散としてしまっている。
北炭真谷地炭鉱専用鉄道跡は沼ノ沢から4駅、4.4kmと非常に短い運炭線だった。
六区 真栄駅跡は築堤が残り、廃線跡の風景は色濃い。
あと数キロで炭鉱跡地だ。
やがて道路がグラベルとなると炭鉱跡地となる。
貨車積みポケットの跡は現在は無く、
かつては北炭の社章が掲げられた上屋部分も存在した。
過去に存在したホッパー部分である。
原炭を選別する選炭所と共に併設されていたが、
今はもうその面影も少ない。
選炭場付近も荒涼としている。
原炭は85mm以下に粉砕後、30mmを境に重液選炭とバウム水選に分離される。
5mm以下はサイクロン、0.4mm以下は浮選機で余すところなく選別していた。
下の沢坑付近だがもう痕跡は少ない。
所々にRC製の廃祉が残る。
桂副立坑方面へ下る。
かつての繰込み所の裏に当たる場所だ。
少し廃墟が増えてきた。
いよいよ立坑が近い。
斜面の段差に建つ廃墟。
これは原炭ポケットから並ぶ、
ローラースクリーンやブラッドブレーカーなどの粉砕設備であろう。
その下部には密封された竪坑の廃墟が現れた。
これは桂副立坑であり、入気立坑の一部だと思われる。
桂坑は更に北部だが今回は発見に至らなかった。
運炭設備と選炭設備の間には、
未選瓶からの運搬に関わる設備がある。
更に下部の設備まで下ってみよう。
廃墟にはペンダントスイッチが残る。
何かを上昇下降させていたのだろう。
工業的な施設の雰囲気がある。
その下部には連絡坑道のような坑口があった。
風の通りはないようで坑道独特の臭気も無い。
内部を確認する。
内部は気温が低く、しかし15mほどで閉塞している。
劣化が通常の隧道より激しく、
土圧が非常に高いようだ。
坑口付近には木造の建屋の跡があった。
この付近に点在していた安全灯室や浴場、坑務所などを集約したのだ。
廃墟の中をさらに進む。
再び密封された立坑である。
入気側か排気側かは不明だが、
坑口と接近した中央式通気方式であったのは間違いない。
斜面には煉瓦製の遺構がある。
恐らくガスなどを抽出するコークス炉の廃墟であろう。
内部は完全に崩れている。
道なき斜面を下り、谷向こうの
榊坑を目指す。
4月のこの時期は植生が無く遠くまで見渡せる。
榊坑付近の廃墟群である。
ここには主扇風機が鎮座し、
対偶式通気方式で吸気していたと思われる。
ガス抜きの配管が接続された密封竪抗である。
ここから地下450mまで坑道が続くはずだ。
もう少し奥へ進んでみよう。
その奥には半ば埋もれたシックナーが残存した。
かつては比重液の製造か浮選に使用されたのだろう。
相当に崩れたようだ。
かつては1万人が在籍し、
年間44万tの出炭があった。
エネルギー資源の安定供給のための投資も今は廃墟となる。
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