坑口 2兄弟




札幌近郊にもかかわらず、
金鉱床として資料がほとんど無い中、
「survival氏」の発見は特筆するものがある。

遅い雪解けを何日も待ちわびた、
ある快晴の日に入山した。







札幌市内の鉱山・・・街の喧騒がギリギリ聞こえる中、
砕石所跡を進む。
廃車がある。 林道

これはレオーネではないか!、
しかもスイングバックが売れた二代目のセダンのようだ。
シャシーこそ先代を踏襲しているが外観は別物。 スバル

トランスファーの4WDレバーがすごい。
スピードメーターも100km以上に赤ラインがある。
80年代初頭のスバルだ。 レオーネ

当初は林道を進む。
昼食も山中で取ることになりそうだ。 登山

やばい廃橋がある。
survival氏はスタスタと渡る。 廃橋

続いて渡る。
雪融け水が轟音を立てて流れる。

大きな倒木がある。
くぐって歩くが、まだまだ登山道。 倒木

やがて登山道は沢を跨ぐ。
渡るしかないが、濁流が激しい。 川

オーバーハングした斜面から、
冷たい湧き水が大量に噴出している。 湧き水

橋なき道の川を渡る。
かつては橋が架かっている箇所もあったようだ。 渡渉

結局、右岸/左岸と何度も渡渉することとなる。
秋ならいいが、雪融け時は1m近い深さの部分もある。 川

せっかく右岸に渡っても、
気づけばルートは左岸にある。
数度渡渉を強いられる。 アプローチ

廃橋から1時間を越え、
宮城の沢川はようやく狭くなる。
上流に達しても相変わらず水量は多い。 宮城の沢川

付近にはギョウジャニンニクが群生している。
他の山菜も多く、
山の植物にも堪能なsurvival氏に色々教わる。 アイヌねぎ

近くの茂みの中には、
鳥の巣があり、中には卵が・・・。
今は使われていないようだ。 鳥の巣

川原には石垣が・・・。
これは人工のようにも見える。 石垣

そして左岸の茂みの中に、
コンクリート製の建造物が見えた。
(カーソル画像上でハイライト表示)

RC構造の壁に向かって、
最後の坂を登る。
これは何なのか。 貯水槽

幅は数十m有りデカイ!
RCは粗悪ながらよく残存したものだ。
ホッパーではなく貯水槽のようだ。 廃墟

更に登って内側を覗く。
高さは3m以上あるようだ。
工業用水を貯水していたのだろうか。 内部

雪融け水が溜まる底部。
D9程度の細い鉄筋がむき出しだ。 貯水施設

更に上流には、
巨大精錬所跡が現れた。
深い山中に残る5段以上の石垣。 精錬所

石垣へ進む。
製錬施設は徳星鉱山にも似た形状だ。 石垣

石垣は非常に緻密に組まれている。
内部は砂利が盛られ強度を保っている。 石垣

穴 精錬所につき物の穴に入ってみる。
すぐに埋没している。

上部の穴まで石垣をへつる。
苔むした石垣は滑りやすい。
森の中の神殿のようだ 製錬施設

一段上部にはRCの基台がある。
よく残ったものだ。 基台

閉山後60年。
木々は大きく育ち、
石垣さえも森に還ろうとしている。 石垣と巨木

付近に坑口らしき穴無いか探索する。
雪崩も発生しており、
どこも足元が危険だ。 雪崩

付近の沢には鉱石が落ちている。
石英のようなチャートを含んでいる。 鉱石

精錬所の遥か上部には、
巨大な露頭がある。
1時間以上の探索によっても坑口は発見できなかった。 巨石

今度は別の名も無い沢に分け入る。
水量は少ないがまったくの廃道だ。
オニゼンマイが生えている。 沢登り

エゾエンゴサクの群生する沢。
雪融けのこの時期の森にはいつもある。 エゾエンゴサク

沢はいよいよ狭くなり、
角度も急になる。 沢

廃道を登る。
鉱山までのかつての道さえも無い。
survival氏は水没しつつも、サクサク登る。 廃道

少し谷が開けて明るくなる。
残雪が増えてきた。 谷

平場には石垣があった。
いよいよ鉱山跡か。
石垣は低いがしっかりとしている。 石垣

崩れた倒木を越えて、
更に高度を稼ぐ。 倒木


いよいよ坑口に到達した。
分岐から1時間。 縦に2箇所ある!
(カーソル画像上でハイライト表示)

上部の坑道は乾燥しており、
自然の洞窟にも見える。 内部はどの程度続いているのか・・・
上部坑

survival氏の積年の謎を解くために、
さぁ、入坑してみよう。
ヘッドランプ等の装備を固めて入る。 入坑

坑内はいかにも手彫りの様子で自然のものではない。
緑色なのはコケで、白いのはカビの一種だ。
まずは突き進んでみよう。 坑内

坑道は身長ほどの高さで、
所々崩れている。
一気に気温が下がる。 坑道

コウモリが数羽いた。
微動だにしない。
そっと、安住を妨げないように奥へ進む。 コウモリ

坑内面には木製の楔が打ってある。
坑道にはよくある。 試掘

岩盤面はキラキラしている。
鉱石とそれ以上にカビが生えている。
しばらくで慣れるが、カビ臭い。 坑道

坑道は20m程度で閉塞している。
埋没は無く、
ここで掘削がストップしたようだ。 閉塞

探索を終了し、陽の元へ。
外が眩しい。
下って下部坑も見てみよう。 外界

下部坑はよりコケむしていて、
坑口の埋没も激しい。
羽虫も多い。 下部坑

いよいよ入洞する。
上部坑に引き続き、
こちらも坑道で間違いない。 入坑

こちらは一転して水没している。
しかし入り口付近だけで、
奥は地面が出ているようだ。 水没

水深は深いところでも膝下で、
底の泥が深い。
おそらく何十年も人は入坑していない。 渡渉

水から上がって、奥へ進むと
あれっ、もしや・・・
分岐? 分岐

出た!坑内分岐!
右か左か迷ってしまう。
あの東金山鉱山を髣髴させる分岐だ。 分岐

左側はまもなく掘削が終わっている。
ほんの十数m。
何らかの理由で中止した試掘坑だろうか。 左股

代わって右側はどんどん続く。
少し湾曲しながら、奥へ。
こちらが本坑なのだろう。 右股

楔(くさび)の続く坑道を先へ進む。
意外と深い。
上部坑との竪坑での連絡は無い。 坑道

分岐奥の壁に木が掲げてある。
よく見ると先に鋼製の爪が付いている。
これは工具だ!手製のツルハシだ。 つるはし

先には鍛錬した小さな爪が付いている。
これで、この岩盤を誰かが掘削したのだ。 つるはし

坑道内には色々な資材が落ちている。
危険なものかもしれないので、
注意して歩く。 箱

岩盤に埋められた配管から鉱水が流れ出る。
掘削当時から、
ここで導水していたようだ。 鉱水

その先十数mで掘削は完了している。
この坑が一番深く、
50m程度だと思われる。 閉塞

戻りながら坑口を望む。
かつての鉱員達も、
この風景を見たのだろうか。 坑口

survival氏の謎も解け、
かつての金鉱の坑口に入坑できたことが
新鮮だったようだ。 坑道

survival氏が坑口前でコーヒーを入れてくれた。
2人ともが共通した充実感を持ち、
合同探索の醍醐味を満喫できた。 コーヒー






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