選鉱実収率 93%
留辺蘂町の西端、武利岳(1,876m)、武華岳(1,758m)、
三国山(1,541m)に連なる山峰の麓にあり、
鉱山も海抜1,000mの原始林に囲まれた場所にある。
今回は稼行中の施設であり、
坑内立ち入り禁止のため、
あくまでも構外からのアクセスと言うことで十分配慮する。
峠上から山道を下る。
途中には大岩が多数転がっている。
如何にもの原生林で人の手は全く入っていない。
このような崖を超えて山中を進む。
山肌は激しく、
GPSとコンパスを併用して進む。
そして残雪に残るヒグマの足跡だ。
かなり時間は経っているようだが、
やはり石北峠の麓ということを実感する。
しばらく進むと突然視界が開け、
そこには眼下に見下ろすプラントと
旧選鉱所の全貌が見えた。
接近した選鉱所上には大きな水路があり、
足元には要注意だ。
今回は上部から見下ろすだけの探索とする。
選鉱所最上部から見下ろす。
本坑の特異な点は、洗滌・摩鉱の際にそれぞれ鉱石中に含まれる、
自然水銀を補集する装置があったこと。
選鉱所は朽ちたRCで覆われている。
ボールミルとクラッシャーの間の、
捕集器により、得られる粗製水銀の選鉱回収率は約93%である。
配管が埋まる最上部。
品位が一定に近かったので、連続操業可能なヘレスホッフ炉2基による、
直接焙焼法が用いられた。
白鉄鋼中に硫黄分40%を含有するため、
ヘレスホッフ炉で一定温度に達した後は、
熱分解が起こり水銀蒸気となる。
選鉱所を探索した後は、
再び上部を通過して、
帰路についた。
少し違うルートで、
折り返したところ、
木々にはヒグマのテリトリーを示す爪痕が・・・。
そして白樺の木には、
縦に一本の割れた筋があった。
これが「凍裂」で、冬季に内部の水分が凍結し破壊した珍しいものだ。
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