幌内炭鉱 坑内冷房装置跡 探検: 北の細道 幌内炭鉱

幌内炭鉱で3年間の檜扇を見る



北海道三笠市

 幌内炭鉱では昭和41年(1966)の 立坑建設以降、 深部化が加速し、
それに伴い自然条件的な2つの問題が発生していた。

一つは切羽傾斜の増加である。
切羽は坑内採掘現場の最先端のこと、その部分の炭層が急な角度で下って(上がって)いるのである。

切羽傾斜 切羽傾斜

この垂直に近い炭層の傾斜角度は機械化を阻み、
入坑や坑内の移動一つにも危険が伴うこととなる。

もう一つの問題が坑内高温環境だ。
坑内気象改善への効果的な対策は通気改善である。
昭和49年(1974)に完成した排気立坑(内径φ6.5m/深度-1,000m)には、
1,800kwの主要扇風機を配備し、排気系統の単純化と共に切羽の有効風量の増加を計った。

しかしながら地下の増温勾配は100mで3℃と、通気改善をもってしてもその高温環境は変わらなかった。
5片と呼ばれる深度-915m付近の地層温度が37℃、8片(-1,125m)に至っては44℃と、
作業環境に大きな問題があった。
そこで新たに対策されたのが、坑内の冷房設備配置である。

深度と温度

         4片    5片    6片    7片    8片 
 稼行期間  昭和44〜47年  昭和46〜50年  昭和49〜55年  昭和55〜58年  昭和58年〜
 切羽深度  -845m  -915m  -985m  -1,055m  -1,125m
 切羽温度  36℃  37℃  39℃  41℃  44℃

深部での生産性向上のために、大型機械(ドラムカッター)を導入することで、
設備容量が300kwから1,000kwへと3倍にも増加したことが、
坑内温度を加速させる要因ともなった。

そこで坑内温度減少のためにとられた措置が、日本初となる坑内冷房であった。
坑道内に循環式の冷房装置を直接設置するBC方式(Basic cooling system)に始まり、
切羽全体を冷房する面内冷房SC方式(Sectional cooling system)、
冷却器を坑外地上に設置して、冷水を1,055mの坑内まで送水し、
坑道内で熱交換を行う中央集中冷房CC方式(Central cooling system)と、
深部移行、機械化に伴う高温対策が昭和49年(1974)7月から着工された。

冷房方式

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今回はこの冷却機構の地上部、中央集中冷房方式の冷却器や再冷凍器の施設跡の探索だ。
炭鉱施設でも稀な装置、冷房施設を探索してみよう。

スプレーチャンバー・熱交換器・切羽温度・・・




熱交換器
ゲートバルブ





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