申請坑道なれの果て




積丹半島の西側に位置する神恵内村は、
かつては鰊漁で栄え、
自然の良港としても明媚な港町だ。 神恵内

谷に沿って林道を遡る。
今回はsurvival氏との合調となる。
装備も車両も人員も探索に的した状態でのアタックとなる。 林道

幾度かの分岐の末、
如何にもの「鉱山の沢支線」である。
ダイレクトな名称に期待も深まる。 鉱山の沢

一本の沢から入渓する。
水深は深くないが、11月の沢水は冷たく
ネオプレーンの足元でもそれを感じる。 沢登り

F1、F2と経過して右岸の上部から小滝が落ちる。
この色合いはおかしい。
登ってみよう。 滝

ロープを使用しない登攀に長けたsurvival氏もサクサク登る。
上部は夥しい落ち葉の堆積した湧き出る沢の温床となっている。
まるで底なし沼の様相だ。 坑口


上流部は埋没した坑口だった。
支保工らしき木材が混じる、
0m坑のなれの果てだ。 坑口跡



一見見落としそうな植生の落ちた斜面である。
これはズリ山ではないだろうか・・・。
survival氏は独自に少し上流の右岸をすでに巻いている。 ズリ山


ズリ山らしき上部は平場があり、
その奥には崖に埋まった坑口が出現した。
これは発見も困難だ。鉱床図が語る10m坑だ。


岩場にぽっかり空いた穴に等辺山形鋼の格子。
果たして入坑できるのか・・・。
戻ってきたsurvival氏は高輝度ライトを装備して既に突入準備。 坑口


負けじと先頭きって突入する。
ザックや体を岩盤に擦りつつ、
なんとか坑口を超える。 突入


入坑してすぐは結構な広場となっている。
そしていきなりの坑内分岐である。
Y字に分かれる坑道を左に進む。 坑口


天井は高いが泥沼の水没と、
その水に異臭がある。
鉱水の臭いではなく獣の臭気だ。 坑道


汚泥の中、続く坑道。
支保工は無く、崩れもほとんど無く安定している。
ここでsurvival氏が壁の一部を指差す。 坑道


壁には木製の標板があり、「昭和十六年度」「申請坑道」の文字が・・・
これはその鉱区や地質、稼行現況などを詳しく調査し、
将来有望との判断が下された場合に奨励金が支払われたその証拠だ。


坑内は完全に手彫りで、
足元には黒いコウモリの糞が大量に落ちている。
およそ50mでなお進む。 掘削


右手に脇坑が現れたが、
埋没し数センチの隙間しかない。
しかし奥は続いててそうだ。 脇坑


上部の隙間の向こうは少し風の流れがある。
流石に奥には進めないが、
この終端の謎はやがて解ける事となる。 隙間


その先で本坑は埋没している。
しかし崩れた上部に狭い穴があり、
少し進めそうだ。 埋没


更に上部にはリスキーな穴がある。
その先に水の臭いがあり、体を潜り込ませる。
survival氏からは注意喚起の声が聞こえる。 隙間


小穴の向こうに広がる最奥の風景は、
深く完全水没した、地底のダム湖であった。
更に先は完全埋没し、撤退を余儀なくされる。 最奥


このようなシチュエーションでもsurvival氏は独自の判断で待機し、
周辺に注意を払いつつ、冷静な判断を行う。
撤退を即してもらった事に感謝だ。 入坑


そしてコウモリである。
キクガシラではない種類のようだが、
数羽とも逃げようとさえしない。 蝙蝠


なんとsurvival氏はコウモリを捕獲した。
細菌の温床なので、爪や牙に留意し、
少しばかり触れた後、元の斜面に戻してやった。 コウモリ


再び坑口に向けて進んできた道を折り返す。
入口の広場から右坑を目指す。
足元の埋没に注意しながら歩く。 撤退


坑口まで戻った。
差し込む陽が暖かい。
この付近の異臭が最も激しい。 坑口


坑口から左方向にもう1本の坑道が続く。
位置的にこれが先ほどの隙間をもって埋没していた坑道の終端であろう。
こちらからもほとんど進めない。 第二坑道


その脇には珍しく支保工が囲っている。
これまで本坑道内に支保工は皆無だったのに・・・。
これはもしや・・・ 支保工


支保工の囲む突端に登ると、
底には大穴が。
これは竪抗だ。しかも深い。 竪抗


深さは20m近くある。
付近はアリジゴクの様に崩れる。
非常に危険だ。 竪抗


竪抗から早々に撤退し、
再び下界へ戻る。
由緒ある坑道内で密度の高い探索ができた。 坑口









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