奔別炭鉱 東風井跡 探検: 北の細道 奔別炭鉱 東風井跡

奔別炭鉱 東風井で水抜きボーリングの懐古談を知る





北海道三笠市

   ボーリング工事の目的は地面に細い穴を掘り、その地質を調べること。
上部に建物を建てる場合や液状化、地盤沈下など内部で発生する不具合を事前に調査するのが目的だ。

掘った穴に錘を落下させ、300o打ち込むのに必要な回数を調べることでその硬さ(N値)を計測したり、
油圧やガスによる変形や降伏の破壊試験、透水性を計測するのも目的の一つだ。
一般のボーリングは調査目的だが、 地すべり対策 などでポンプの代わりに地下水を排除するのが水抜きボーリングだ。

昭和26年(1951)9月、奔別炭鉱 鳥居沢坑の西で排気立坑の掘削が計画された。
奔別立坑の完成は昭和35年、その9年前の奔別は中央式通気と呼ばれる、
入気坑と排気坑が接近した状況であった。
当時の坑道は奔別坑の-340mまでの斜坑と中央九番斜坑、 そして弥生坑の-175mまでの斜坑と東斜坑で操業していた。
やがて540m下部の採掘を視野に入れ、
対偶式通気法への通気の合理化を図るために東排気竪坑=東風井(ひがしふうせい)が計画された。

しかしながら炭調ボーリングの結果から、その地帯は地下水が多く再三の噴出をみていた。
そこで立坑掘進能率の向上のために、口径100mm/2段式のシンキング(掘り下げ)ポンプで排水するか、
水抜きボーリングによる排水を行うかの決断に迫られる。
目指す坑内深度が355mと比較的浅いことが論拠とされ、 後者、水抜きボーリングによる施工が予定されるに至る。

ボーリングの実作業に当たっては、利根ボーリング(現存の(株)東亜利根ボーリング)から、
指導員を派遣してもらいつつ、困難な作業を遂行した。
当時、オリジナルの「ボルツクラウン」と呼ばれるカーボナイト(ダイヤモンドの一種)を使用した、
強固な掘削器具の先端部に装着するビットを駆使した。

メタルクラウンメタルクラウン ダイヤモンドビットダイヤモンドビット
写真提供 @rukaruka_mokamo
(この金具をボーリングの先端に装着し、円周上に均等に配置されたチップが摩耗したら取り換える)

しかしながら三転する岩盤地層の変化に伴い、水抜きボーリングの成果は一考を要する結果となってしまう。

結果的に昭和29年(1954)9月仕上がり内径4m、全長370mの東風井立坑は完成し、
300馬力ターボ式送風機にて排気を司ることとなる。


奔別立坑は海抜78mの地点に高さ50.52m、
その頂上128mよりはるかに高い標高180mに存在した東風井排気立坑を目指してみよう。  

水抜きボーリング・ボルツクラウン・排気風井・・・



排気立坑
排気風井





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