杜の神殿


アプローチは標高370m付近からのアクセスとなる。
鉱山道路の存在を予想していたが、
既に道はない。
アプローチ


ここからはGPSに従っての入山だ。
道なき道を進む探索、
シルバコンパスの併用と緊急時の対策としての『ココヘリ』への登録だ。 (マウスon ココヘリ)


選鉱所はカスケードと呼ばれる、
山の斜面に沿って建設されるのが一般的だ。
そろそろ中腹付近まで登った。 廃道


木々の向こうに選鉱施設の一部が見える。
金鉱山の 青化製錬工程 前に鉱石の粉砕と粒度分けを行う施設跡に到達だ。
掘り出した原石を砕き、磨り潰し、ふるいに掛け、鉱物の密度を高め、
その後の化学反応による金の抽出が効率的に行えるようにする工程だ。 精錬所


山の斜面に石垣が重なる。
恐らく8段から9段だと思われる。
幅は約100m、巨大な体躯だ。 石垣


石垣の積み方には、大きく分けて三種ある。
『野面積(のづらづみ)』、『打込接(うちこみはぎ)』、『切込接(きりこみはぎ)』があり、 
これは打込接のようだ 石垣


『野面積』は自然の石のまま、加工をせずに積む方法だ。
石垣の初期の頃に行われた技法で、
必然的に隙間は多くなる。 切込接


対して『打込接』は石を加工して隙間を少なくしたものだが、
石の大きさはマチマチで、
姫路城や熊本城などでみられる施工方法だ。 打込接


『切込接』は近代の石垣でほぼそろった大きさの石を加工し、
隙間なく接合されたものだ。
鉱山の製錬所では付近の石を流用して簡易に施工するのが一般的だ。 野面積


クラッシャーで砕いた鉱石の排出口がある。
選鉱/製錬のコストは過去においては鉱石価格の約 25%を占めていたが、
技術的な合理化が進んだ今、約 5%の取り分しかない。 クラッシャー


製錬が化学変化を用いて鉱物を抽出するのに対し、
選鉱は鉱物の物理的性状の差を利用してより分ける。
つまり、色/硬さ/比重/磁性/帯電性/表面の濡れやすさなどを用いるのである。 選鉱


表面の濡れやすさとは、ワックスを塗った車のように水滴が丸くなり弾くものを濡れにくいと判断し、
水滴が平たく馴染むものを濡れやすいとイメージする。
このように濡れにくいものを『疎水性』と呼び、濡れやすいものを『親水性』という。 廃墟


選鉱施設には鉱石の通り道が多数ある。
これら濡れやすさを利用した選鉱法が浮遊選鉱であり、
一般に岩石は疎水性(濡れにくい)で鉱物は親水性(濡れやすい)であることが多い。 穴


石垣を割って育つ木々、凄い生命力だ。
粉砕して細かくなった鉱石を水槽に入れて撹拌する。
その状態で界面活性剤や油を添加し下から空気(泡)を吹き込む。 石垣


水槽の中で掻き混ぜられた鉱物と岩石。
疎水性の物質が泡と結びついて浮き上がり、 逆に親水性の物資は底に沈むことで分離できる、
これが浮遊選鉱だ。 浮遊選鉱


これは略して『浮選』と呼ばれ、
かつては破棄されていた低品位鉱からの再回収率も高く、
鉱山の採算性、ひいては金属価格の下落にも貢献した選鉱法である。 浮選


対して比重選鉱は同じ大きさで重さの異なる粒子を、
重力や遠心力によって作用の仕方が異なることを利用した選鉱法である。
通常は浮選などと組み合わせて施行される。 比重選鉱


高比重の液体中で浮くものと沈むものをより分けたり、
穏やかに傾斜した平板(テーブル)上を水流で流し、
手前で沈降するものと奥まで浮遊するものに選別する方法もある。 配管


大きな動力装置などを据え付けた基台も残る。
選鉱方法は鉱区や施工企業、時代によって様々に変わり、
それらはすべて、先人の知恵が結集された結果なのである。 基台






戻る

選鉱所跡
選鉱所跡

トップページへ