広範囲のローラー作戦
ウトロ港はオホーツク海に面する、
サケ・マスその他漁場で、断崖と岩礁に囲まれた観光拠点でもある。
昭和39年に国立公園に指定された。
ウトロ温泉の源泉付近から山に入る。
昭和37年に深さ318mのボーリングが掘られ、
35℃の温泉が得られた。
当初は開けた森を歩く。
知床半島には斜里岳・海別岳・遠音別岳・羅臼岳・
知床硫黄山
など
「第四期火山」約90万年前から現在までの陸上の火山活動で形成された火山
が連なる。
ここ標高100mから目指す鉱山跡は230m附近だ。
当然、道はなく廃道とも言えない藪を漕ぐ。
知床半島は火山活動で形成されたようにも見えるが、
半島の大部分は海成層と言われる海底が隆起して出来たものだ。
地図に載らない枯れ沢をGPSに従って登る。
半島の両側から圧縮の力が加わり、中軸部に断層が発生、
後にそこを伝ったマグマが上昇し火山が連続したのだ。
地形図通りのピークを越えて下り斜面をトラバースする。
この先が鉱山跡の沢のようだが、
入手した資料の黒丸マークは直径4o、地形図上では直径200mとなる。
崖の下には大きな平場がある。
小鉱山のヒントは平場と石垣。
下ってみよう。
人工的な窪地のように見えるすり鉢状の部分がある。
坑道の崩れた慣れの果ての可能性もあるが、
どうも確証は得られない。
これは倒木に空いた鳥の仕業の穴だ。
半径150m範囲をローラー作戦でひたすら探索する。
ここからは経験と勘で探すしかない。
それらしい沢や平場を探して歩く。
鉛は耐腐食性が良く融点が低く加工しやすい。
よってケーブル被覆材や電極、はんだや合金にも利用される。
沢沿いにズリが散らばっていないか、よくよく確認する。
亜鉛は100〜150℃で延性が良くなり線や薄板に加工しやすくなる。
メッキや乾電池原料、合金材料として用いられる。
等高線の間隔の広い場所を探す。
1時間以上探索したが、もう痕跡がないのかもしれない。
最後の疑定の沢を確認しながら下る。
暫く下ると何やら人工的な雰囲気。
植生が疎らでズリ山のようだ。
周囲を注意しながら確認してみよう。
これは紛れもなくズリ山だ。
ズリとは採掘した鉱石の不要部分だ。
鉱山跡に到達だ。
そしてズリに埋もれるレールの発見だ。
非常にか細い6s級のレールだ。
恐らくここが坑口の近くだと思われる。
他にもレールは残存する。
かつては坑内分岐の坑口が残り、
そこにはレールが敷設されていたという。
付近には輪車路のような小路も残る。
この鉱床までのアクセス道かもしれない。
ここからは坑口の探索だ。
そして坑口らしき付近に残る謎のコンクリート片だ。
残念ながら坑口自体は埋没したのか、
その姿は発見できなかった。
今回は小鉱山にありがちなレールとズリ山のみの小発見に終わってしまったが、
推論した鉱山跡に辛うじて到達できたことは、
大きな成果だと思う。
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