31分の3箇所




寛永20年(1643)に「パラピッツ」の名称で幌別が地図に記載された。
これが登別の370年の歴史の始まりということになる。
標高550m付近の弁景から鷲別岳方面を望む。 弁景

来馬岳に向かい山道を歩く。
目的は弁景川上流の排気坑口だ。
付近にも坑口が点在していたはずだ。 来馬岳


大規模な治山の跡を見る。
この近辺にも「そつく立坑」(坑口レベル50m/標高582m)があったはずだが、
その痕跡は発見できない。 治山


弁景川に架かるエキスパンドの橋梁を渡る。
水量は少なく清流に見える。
先の激藪に入山する。 弁景川


登山道にもエキスパンドの橋が続くが、
これら橋梁は2階建てで、
間に150A程度の太いラバーホースが這い、導水しているようだ。。 登山道


やがて山中に忽然と廃墟が現れた。
これは「第三排気坑」(102/634)だ。
治山による閉鎖を免れたようだ。 廃墟


坑口はRCで密閉されているが、
斜面に続く斜坑は想像できる。
坑門近辺には木製の支保工も残存する。 坑口


付近にはアンカーボルトの残る架台や石垣、
土留めなど遺構が残存する。
排気坑とは言え、坑口の一つに到達した。 排気坑"


再び弁景川に沿って下流へ向かう。
元山方向だが目立った痕跡は、
ほとんど無い。 弁景川


「40米坑」(40/572)と思われる付近だが、
治山の上、埋没したと見えて、
辛うじて植生の無い土手が見えるだけだ。 11坑


いよいよ精錬所に近づいた一区付近。
しかし「35米坑」(35/567)付近を隈なく探索するが、
目ぼしい痕跡には会えない。 配管


精錬所の廃祉に到達した。
焼取法が採用され、「丸釜」と呼ばれた鋳鉄製のレルトに、
装入した鉱石を約440℃で焼結し、蒸気を加えたのち、
コンデンサーで電解する。 精錬所


精錬所から切替河川方向へ、
道なき斜面を下る。
沢の音が大きくなる。 切替河川


人工的な河床に到着した。
精錬所からの排水を導水していたのか、
完全な鉱業的な水路だ。


水路には崩れた廃祉が横たわり、
その河床は夥しい緑色の藻で覆われている。
これを遡ってみよう。 藻


荒れた河床に沿って遡上すると、
そこには水路隧道が現れた。
この付近にも「零番坑」(20/552)があるはずだが未発見だ。 水路隧道


隧道にはすでに水は無く、
但し酷く荒れている。
潜り抜けてみよう。 隧道


近づくと結構な高さの隧道である。
細長く底は抉れている。
かつては鉱水を導いていたのだろう。 隧道


水路とは言えどうして隧道の必要があったのだろう。
上部に施設があったのか、
謎が深まるばかりだ。 坑門


そして河床にはトロッコのアクスルである。
腐食激しいがフランジや圧入の跡も残る。
ということは付近に軌道があったはずだ。 トロッコ


その左岸には「25米坑」(25/557)と思しき坑口跡だ。
ようやく木製の支保工らしき坑門が見えた。
上部に施設があり隧道で水路を交わしていたのだろう。 坑口


しかも坑口は二連だ。
ほとんど崩れて埋没しているが、
支保工も残る。 坑口


その上流には砂防ダムがあり、
遺構と共に水流は北へ導かれている。
その先には・・・。 砂防ダム


「第一通洞坑」(0/532)に向かう切替河川の隧道だ。
先ほどの水路隧道より断面は遥かに大きい。
しかも延長は地図上でも1kmはある。 切替河川


隧道内は水流激しく、河床はツルツルだ。
フェルトの沢靴でもなければ
ウオータースライダーよろしく一気に滑ってしまうだろう。
おまけにすぐ右に滝壺のような流れがあり、入渓は諦める。 隧道跡


更に下ると今度は煉瓦とRCに埋没した鉄材の絡んだ遺構があった。
これも精錬の関係だろう。
こちらではコンデンサーに液化された硫黄を扱っていたようだ。


刻印の打たれた耐熱煉瓦である。
溜釜に溶けた硫黄を流し、
凝結点(約120℃)近くになってから型込し製品となる。 耐熱煉瓦


脇道から南に向かい「東盛坑」(28/560)付近を探索する。
斜面から赤い鉱水の流れる部分があり、
近くを探索する。 東盛坑


坑口らしき赤い鉱水の鉛直方向には、
アンカーボルト埋められた基台があった。
これは東盛坑で間違いないだろう。 架台


「大正坑」(30/562)付近にもコンクリートの廃祉が残るが、
目的の坑口には出会えなかった。
やはり徹底した治山が行われたようだ。 6坑  


昭和42年、国内硫黄消費量のうち鉱山硫黄が26万tに対して、回収硫黄が6.5万t。
ところがわずか2年後の昭和44年には16万tずつの同量となり、
48年にはコスト安の回収硫黄にその座を奪われ、鉱山硫黄は全シェアの1割を切ることとなる。

その規模は小さくても、このことは日本鉱業史の縮図であったと言える。 保管庫







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隧道跡
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