青いザリガニと赤い坑道



神仙沼展望台から岩内市街地を望む。
雷電山(1211m)、 イワオヌプリ(1116m)ニセコアンヌプリ(1308m) など名だたる尾根が連続するニセコ連峰。
新見鉱床はその南斜面、海抜550m付近にある。 岩内


道々の脇にある新見温泉の廃祉である。
かつては国民宿舎があり、バスの開通もあった。
豪雪地帯であり、年々劣化が激しくなる。 新見温泉


上流には別の旅館跡もある。
夢のお告げから発見されたという逸話もあり、
付近には発見者の石像が建立されている。 新見温泉


沢に向かい 「ツボ足」スノーシューを履かずに登山靴 で下る。
スノーブリッジと遭難を警戒し、
冬の探索はここで中止。あらためて春。 雪原


新見温泉から800m程上流から、
看板のある『紅葉の滝』への下り口。
一応整備はされているが、登山靴等のほうが安全だ。 紅葉の滝


小橋を渡り、少し下ると小さな滝があるが、
これは紅葉の滝ではない。
鉱床はペンケ目国内川まで下る必要がある。 滝




ペンケ目国内川の上流域に達するとテラスのような
少し危うい擦り付けの道がある。
さらに源頭部を目指す。 ユリ道




少し進むと沢の音が一段と大きくなり、
そこが紅葉の滝である。
三段の滝で、滝壺は澄んでいてなお深い。 紅葉の滝


滝の下流の沢右岸には、いかにも人工の坑口が二か所。
6月とはいえ、ニセコは雪解けの季節。
現在の気温7度。坑口に接近するには渡渉の必要がある。 坑口




上流側の坑口は屈んで入れる程度の高さがあり、
しかし水深は膝上まである。
「ネオプレーン」ウエットスーツ素材 素材の靴下は今回着用していないので、冷たさが厳しい。 坑口


下流側の坑口は非常に狭く、
覗き込んでも埋没しているようだ。
上流側の坑道へ入坑してみよう。 坑口


上流側坑道内部である。
坑口部分は多量の雫があり、それを抜けると、
右手に二股分岐となる。 坑道




右分岐は2m程度で掘削中止されている。
これらの軟質土壌は多くの付着水を含んでおり、
試料とする前に十分な乾燥が必要だったそうだ。 分岐


坑内分岐付近から坑口方向を振り返る。
多量の湧水が滴り落ち、ウエアもザックも水没状態だ。
室温乾燥した試料は化学分析に回される。 坑口


足元には二ホンザリガニがいる。
しかも紺色でサイズは100o程度。
ザリガニは交配と発色力により、赤・黄・青・白などに変化するそうだ。 二ホンザリガニ


その先数m、坑口から15mほどで大岩が落下し、
坑道は埋没しかけている。
安全に配慮したうえで更に奥へ進んでみよう。 埋没


ザックを降ろして身軽になったうえで、
身体を坑道の奥に潜り込ませる。
そこは金属鉱床の鍾乳石が垂れ下がり、坑道はさらに奥へ続く。 鍾乳石


数m進むと、坑道は更に100m程度続いているようだが、
足元の汚泥が深く、膝下まである。
底なし沼の様相で、ここで撤退する。 坑道


坑道の表面は多量の鉱物が堆積している。
駒ケ岳・阿寒・新見のそれぞれの鉱物について、科学的、そしてX線、加熱等の試験を
行うと同じマンガン土でも成分が異なることが分かった。 坑道


マンガン土の構成鉱物の違いは、生成条件の相違を意味し、
マンガン鉱の堆積鉱床の成因についての基礎的研究が進むこととなる。
営利を目的としない試掘坑が残存しているのは非常に稀かもしれない。 坑道









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坑口
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