日本神話と神々の系譜【3】
日本列島と八百万の神々の誕生
国生みと神生みの神話
男女の交わりにより日本列島が生まれる
伊佐那岐神と伊佐那美神は天津神から、いまだ漂う国土を固める
よう委任された。そして天浮橋という天空に浮かんだ橋の上に立っ
て、天沼矛を海水に入れてかき混ぜると矛の先から落ちた潮が固
まり、淤能碁呂島ができた。
二神はこの島に天降り天の御柱(神聖な柱)と八尋殿(大きな御殿)
を建て、そこで結婚して、国を生もうと考えた。
そのとき、二神は互いの身体を確かめ合って、天の御柱を回り、
出会ったところで、伊佐那美神が先に声をかけ、次に伊佐那岐神が
声をかけて、契りを交わした。ところが、生まれたのは形を成さない
水蛭子神だったので、葦の船に入れて流してしまった。
その後、『女が先に声をかけるのはよくない』という天津神からの
助言で、今度は男のほうから先に声をかけたところ、成功した。
こうして最初に淡道之穂之狭別島(淡路島)が生まれ、次に四国・
隠岐島・九州・壱岐島いきしま)・対馬つしま・佐渡島さどのしま・本州が生まれた(大八嶋国おおやしまくに)。
さらに六つの島が生まれ、日本列島が誕生した。こうした男女の神々
による国生みは、当時の男女の交わりを神聖視していたという背景
がある。また女性から声をかけて国生みを失敗したのは男尊女卑に
よる中国の儒教の影響があるともいわれる。
火の神の出産がもたらした伊佐那美神いさなみのかみの死
二神は国生みを終えると、神生みを始めた。産んだ神の数は三十五柱
に上った。しかし最後に火の神である迦具土神かぐつちのかみを生み落したとき、
伊佐那美神いざなみのかみは女陰ほとを焼かれ、大やけどを負ってしまう。
これが致命傷となり、伊佐那美神いざなみのかみは死者が住む黄泉国よみのくにへと旅立っていった。
トップぺージ 日本の神話 このページの先頭へ