徒然草「ある人弓習ふに」(第九十二段) 問題

 ある人、弓 a射る事を習ふに、もろ矢をたばさみて的に向ふ。師のいはく、「初心の人、二つの矢を持つ事なかれ。後の矢をたのみて、始めの矢に等閑の心あり。毎度ただ b得失なく、この一矢に定む cべしと思へ」といふ。わづかに二つの矢、師の前にて、一つをおろかにせんと思はんや。懈怠の心、みづから知らずといへども、師これを知る。この戒め、万事にわたる dべし
 道を学する人、夕には朝あらんことを思ひ、朝には夕あらんことを思ひて、重ねてねんごろに修せんことを期す。いはんや一刹那のうちにおいて、懈怠の心ある事を知らんや。なんぞ、ただ今の一念において、直ちにする事のはなはだかたき。 (第九十二段)

問1 a「射る」の活用の行と種類、活用形を答えなさい。

問2 b「得失」の意味を記しなさい。

問3 c、dの「べし」の文法上の意味が同じものとなるものを次の例文から選びなさい。
 イ 長くとも四十に足らぬほどにて死なむこそ、めやすかるべけれ
 ロ 人、死を憎まば、生を愛すべし
 ハ 家の作りやうは夏をむねとすべし
 ニ (形見の品を)ゆめゆめ疎略を存ずまじう候ふ。御疑ひあるべからず。
 ホ 羽なければ空をも飛ぶべからず。
 へ 宮仕へに出だし立てなば死ぬべしと申す

問4 @「おろかにせむと思はむや」を口語訳しなさい。

問5 A「ただちにすることのはなはだ難き」とは、誰が何をどうするというのか説明しなさい。



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徒然草「ある人弓習ふに」 解答/解説

徒然草「ある人弓習ふに」 現代語訳




徒然草「ある人弓習ふに」(第九十二段) exercise

スタンダード
 ある人、弓射ることを習ふに、諸矢をたばさみて的に向かふ。師(a)いはく、初心の人、二つの矢を持つことなかれ。のちの矢を頼みて、初めの矢になほざりの心あり。毎度ただ@得失なく、この一矢に定む(b)べしと思へと言ふ。わづかに二つの矢、師の前にて一つをAおろかにせむと思はむや。懈怠の心、みづから知らずといへども、師Bこれを知る。この戒め、万事にわたる(c)べし
 C道を学する人、夕べには朝あら(d)ことを思ひ、朝には夕べあらむことを思ひて、かさねてねんごろに修せむことを期す。Dいはむや一刹那のうちにおいて、懈怠の心あることを知らむや。なんぞ、ただいまのE一念において、ただちにすることのはなはだ難き。

問一 (a)「」の用法と同じものを次から選び、記号で答えなさい。(4点)

   (ア) すずめの子を犬君(いぬき)が逃がしつる。   (イ) 草の花は撫子(なでしこ)、唐のはさらなり。
   (ウ) 山の端に日のかかるほど、住吉の浦を過ぐ。  (エ) 白き鳥の、はしと脚と赤き、水の上に遊びつつ魚を食ふ。

問二 @ADEを現代語に訳しなさい。

問三 (b)(c)「べし」の意味を、それぞれ答えなさい。

問四 Bは何をさしているか、答えなさい。

問五 Cは、具体的にはどのような人か、答えなさい。

問六 (d)の助動詞「む」の意味として最も適当なものを次から選び、記号で答えなさい。

    (ア) 推量  (イ) 意思  (ウ) 勧誘  (エ) 婉曲

問七 本文中から会話の部分を抜き出し、初めと終わりの五字を記しなさい(句読点・記号も1字に数える)。


アドバンス
 ある人、弓 a射ることを習ふに、諸矢をたばさみて的に向かふ。師のいはく、「初心の人、二つの矢を持つこと なかれ。のちの矢を頼みて、初めの矢に bなほざりの心あり。毎度ただ @得失なく、この一矢に定むべしと思へ。」と言ふ。わづかに二つの矢、師の前にて一つを おろかにせ cと思は dや。懈怠の心、みづから知らずといへども、師これを知る。この戒め、万事にわたるべし。
 道を学する人、夕べには朝あらむことを思ひ、朝には夕べあらむことを思ひて、Aかさねてねんごろに修せむことを期す。 Bいはむや一刹那のうちにおいて、懈怠の心あることを知らむや。なんぞ、ただいまの一念において、Bただちにすることのはなはだ難し。 (第九二段)

問1 傍線部「なかれ」の品詞名・基本形・活用の種類・活用形の名を順に記しなさい。

問2 本文中で文法上誤用の語を抜き出し、正したものを記しなさい。

問3 a「射る」の活用の種類と活用形の名を答えなさい。

   b「なほざり」とほぼ同意義となる語を本文中から抜き出しなさい。

   cとdの「」の文法上の名をそれぞれ答えなさい。

問4 @「得失なく」、A「かさねてねんごろに修せむことを期す」、B「いはむや一刹那のうちにおいて、懈怠の心あることを知らむや」を現代語訳しなさい。

問5 B「ただちにすることのはなはだ難き」とは、誰が何をどうするというのか説明しなさい。

問6 「弓射ることを習ふ」人の話(前半)と「道を学する人」の話(後半)は、どのようにかかわっているか、簡潔に説明しなさい。

問7 「徒然草」は古典三大随筆の一つだが、他の二つは何か、作品名・作者名・成立した時代をそれぞれ答えなさい(時代の古い順に記すこと)。

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