千葉県成田市長沼
長沼村と諭吉との結びつきは明治５年に印旛県長沼村（現千葉県成田市長沼）で起きた「長沼事件」が関係している。江戸時代には、年貢を納めて長沼（ひょうたん型の大きな沼）での漁業権を得ていた長沼村であったが、周辺の村の申請で沼が国有化されそうになった。村の代表たちは漁業を続けていけるように県に訴えたが状況は思わしく無かった。福沢諭吉の「学問のすすめ」に感銘を受けた村民は諭吉に直接あって窮状を相談したところ、諭吉は請願書の起草や直接の働きかけなどを行なって、官有地ではあったが、村の借地権が認められた。その後さらに活動を続け、明治30年には村に無償で払い下げられた。地元の人達は、これにより、福沢諭吉への感謝を忘れず、大正７年に「長沼下戻記念碑」を建立している。