今一人、当地で訪ねたい人が残っていた。竹田出身で、横浜二中(現:翆嵐高校)から早稲田に学び、童謡・童話の作家として活躍し、晩年を神奈川県逗子市で過ごした、童謡・童話作家・佐藤義美である。
  竹田駅から少し離れた小山の陰に、お洒落な大正ロマン風の木造の家が記念館として建つ。逗子の旧居を再現したものと聞く。滝廉太郎記念館の人気には遥かに及ばす、緑に囲まれた真っ白な家には人の気配もなかったので入場は遠慮した。
  詩碑のある竹田保育所と生誕地・「佐藤義美記念公園」に向かう。
  竹田保育所は新開地の市役所の隣にあった。何時もなら元気な子供の声が満ち溢れているのだろうが、今日は日曜日とて静まり返っている。閉ざされた正門の左脇に、子猫と犬のお巡りさんのオブジェ。そのお巡りさんに抱きかかえられて代表作「いぬのおまわりさん(まいごの まいごの こねこちゃん あなたの おうちは どこですか・・)」の詩が、大きな活字で刻まれていた。
  保育所から500m走ったトンネル脇の空地が佐藤義美の生誕地で、記念碑と初期の代表作「月の中(月の中には菜の花が いっぱい 菜の花 菜の花…)」を刻み、胸像の銅板を乗せた詩碑が木陰で憩っていた。山陰の陰気な公園であった。
               
                   (竹田市:・滝廉太郎記念館:同左・旧竹田小学校滝記念像:同左・佐藤義美詩碑)


(この後、旅は、久住高原、九重高原、阿蘇山へと続くが、長くなるので、休憩を挟みたい)


竹田岡城跡秋色:軽井沢高原文庫に移設された野上弥生子書斎
              

                                
                                            −0.6完−