「右手に沖縄の万葉調歌人・恩納ナベゆかりの恩納岳が・・・」「前方右手に、当地出身で愛馬進軍歌の作曲者・新城正一記念碑が・・・」とガイドが説明するが、いしぶみに取りつかれている私だけしか右手を見なかった。誰もが、左手の海を眺めながら、この先はもっと凄いのでは・・・と胸を弾ませていた。
  名護市から進路を西に変え本部半島の海岸道路に出る。広がる光景はスカイブルーの空の下、 オーシャンブルー、 エージアンブルー、 ターコイズブルー、アクアブルー・・・と見事なグラデーションの海。いくつブルーを並べても到底この青さには追いつかない。勝手に“美ら海ブルー”と名付けてブルーの展覧会を楽しむ。こんなに多彩な青色を一度に見たことがなかっただけに心が躍った。シスレーの青も、フェルメールの青も、到底、この海の青には及ばない・・・とメモに残した。
  海に見とれて居ると、「間もなく蝶々園に着きます」とのアナウンス。海洋博公園に隣接した琉球蝶々園は土産物販売の目的で作られた様子。店内を抜けて網戸を潜ると、まさに、蝶々の楽園。人間様を恐れずに、沖縄特産“オオゴマダラ”が乱舞する。極め付きは、蝶の群がる花束を手にしての記念撮影。蝶は花だけでなく、人の腕に頭に・・・と所構わずやってくる。観光用とは知りつつも一気に蝶の世界に引き込まれる。金色に輝くオオゴマダラの蛹も珍しかった。友人が教えてくれた“旅する蝶・アサギマダラ”が長い旅を終えて、羽根を休めているのでは・・・と期待したが、残念ながら、沖縄までは来ていなかった。
  海洋博公園は1975年沖縄本土復帰記念に開催された国際海洋博の跡地。今は、「美ら(ちゅら)海水族館」「琉球村」「熱帯植物園」「エメラルドビーチ」が広大な園地に散らばる。丁寧に訪ね歩けば丸一日は必要とされる園内を、たった、二時間で見て廻れとのお達し。ガイドさんは「沖縄の海を見たい人は水族館へ」「お花が好きな人は“世界ラン展”の開かれている熱帯植物園へ」と的を絞るようにとのアドバイス。
私達は、昼食時間を犠牲にしても、その両方を・・・と欲張った。先ずは最も人気の“美ら海水族館”へ潜り込む。巨大水槽で悠々と泳ぐ“ジンベイザメ”“マンタ”が人を集めていた。上から、横から、下から・・・と角度を変えて楽しめる仕組み。見る人より大きい魚群には圧倒されるばかりであった。「サンゴの海」「熱帯魚の海」・・・と続く部屋の小さな水槽は色鮮やかな魚たちの競演で人々が群がる。こちらは何種類か眼を奪った魚とその説明板を写真に収めただけで混雑を抜け、夏の日差しの中に戻った。
  熱帯植物園行きの電動カーに乗って、多様な青に輝く海を眺めながら園内南端まで移動し、“ランの展覧会”を覗く。色鮮やかな花々は世界中から出品された逸品らしいが、長い英文名が頭を混乱させる。その色合いを楽しみ、写真に収めただけで歩を進めた。30分ほどでパレットの中の散歩を済ませ、再び、電動カーに乗車し、イルカプールに向う。お目当ては怪我のため「人工の尾びれ」を付けざるを得なかった「ふじちゃん」。真っ青な尾びれで他のイルカと見分けがついたが、その泳ぎは何の変りもなく元気であった。集合時間まで20分。エメラルドビーチを肴に、“サーターアンダギー(沖縄風ドーナツ)”をほおばり、青色に染まった体をバスに運んだ。
  
        (写真:蝶々園のオオゴマダラ:美ら海水族館・ジンベイ鮫:エメラルドビーチ)
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