旅の終りに
彗星の如く突如現れ、夜空の彼方に走り去った、童謡詩人・金子みすずの行動範囲は仙崎と下関のほんの狭い範囲に封じ込められています。
しかし、訪ねた20基以上の碑に刻まれた小宇宙は広大で、多くの人々を魅了しています。
彼女は26歳の若さでこの世を去ったためその作品は散逸し、長い間、幻の童謡詩人と語り継がれるばかりでした。「大漁」という詩に激しい衝撃を受けた童謡詩人・矢崎節夫氏の16年間にわたる献身的な努力で、没後50年余に遺稿集が発見され甦りを始めました。
昨今では、映画に、テレビに、合唱会に・・・と様々な形で登場しています。
チャンドラーというハードボイルド作家の言葉に「強くなければ生きて行けない。優しくなければ生きている資格がない」という有名な言葉があります。
「晴れ・曇り・強風雨」三様の日々の旅は生きる資格「優しさ」を学ぶ貴重な旅でした。
いしぶみを探して狭い道ばかり走ってくれたウサギさん、酔狂な旅に付き合ってくれた家内、二人の「優しさ」に触れる旅でした。
優しい詩の幾つかを美しく飾って、金子みすゞへのお礼にしようと思いながら東の空に戻ってきました。 機中で浮んだみすゞへの「報告」を掲げておきます。
「みすゞワールド」は如何でしたか。P.06へ −P07.完− トップページに戻る
魅力ある小宇宙の一端をお見せできればと、久し振りのお便りは長くなってしまいました。
お目にかかれる日まで、お元気で、心豊かな日々を!
(紀行:2006.04.記録:2006.05)