ねこたび日記

2023年5月16日(火) 快晴 
朝7:30。昨日と同じ高浜港。
今日は怒和島に行きます。
怒和島に行くには中島汽船の西線航路を使わなければなりません、
中島汽船は忽那諸島の7つの島を結んでいるのですが、7つの島すべてを繋ぐ一本の航路というのはありません。東線と西線に分かれています。
それというのも7つの島全てを一本の航路にまとめてしまうと航路が長大になって往復に時間がかかるため、一日あたりの運航便が少なくなってしまい利便性が悪くなってしまうからです。島と松山を往復する人たちにとっては時としてそれは死活問題になりますから。

(中島汽船ホームページより転載)
東線は昨日乗った航路で三津浜・高浜(or松山観光港)→睦月島→野忽那島→中島大浦港と巡ります。これに対して西線は三津浜・高浜→釣島→中島神浦(こうのうら)港→二神島→津和地島→怒和島元怒和港→怒和島上怒和港→中島西中港を結んでいます。
諸島中最大の中島には三つの港があるのですが東線と西線では寄港する港が違います。もっとも中島内には路線バスがあって三つの港を結んでいるのですが。
実はこの七つの島の手前に興居島(ごごしま)という大きな島があるのですが、ここへは興居島フェリーという別会社の船が就航していて一時間数本という密なダイヤで高浜との間を結んでいます。高浜港から見るとすぐ対岸、人口も多い島なので乗客も多いですね。下の写真はその興居島行きの高速船。

さて私が乗る西線。
怒和島に行くにはフェリーだと三津浜9:10の便になります。が、それだと怒和島に着くのは11:30近くになってしまいます。ちょっと遅い…。
高速船ならば高浜7:40発の便があり、怒和島には8:30前に着く。
ゆったりしたフェリーの旅をしたいんだけど、やっぱり時間のほうが貴重。9:10のフェリーで行って帰りは16:00過ぎに怒和島を出る高速船で帰ってくるという手もあります。ちなみにフェリーの帰りの便は怒和島を14:00過ぎに出ます。島で充分な時間をとろうと思えば行きか帰りかどちらか(あるいは両方)に高速船を使うしかありません。
やはりこの季節、午前中早い時間に着きたい。ということで行きは高速船・帰りをフェリーとすることに決めました。
怒和島は津和地島と並んで忽那諸島のもっとも北に位置します。海を隔ててすぐ広島県。
フェリーだと2時間余りかかる航路をわずか50分で駆け抜けて8:23、上怒和港に到着。高速船だとちょっとあっけないですね。船旅は。(^^;

怒和島。かなり古い時代からその名は知られており、すぐ南にあるクダコ島という小島(上の地図で右下にある)はかつては水軍の根城でした。
ちなみにこの島を含めてこのあたりを「忽那諸島」と呼びますが、その「忽那」というのはかつてこのあたりに勢力を張った水軍の姓です。「忽那水軍」と呼ばれていました。多くの人が「伊予水軍」と混同していますが、伊予水軍というのはその本拠はもっと東の今治付近になります。
ここも柑橘類の栽培が盛んな島ですが、近年では「レモンの島」として有名で忽那諸島の中でもレモンの木が一番多いのがこの島。
漁業も盛んでヒラメの養殖等も行われています。
この島に来るのは5年ぶりですかね。初めて来たのは6年前。
その時は風景写真をメインに撮っている仲間に「海の写真を撮るなら怒和島がいいぞ」と言われて足を運んだのでした。
そう、同じ風景が二つとない。さまざまな海風景の写真が撮れる場所です。それと同時に…驚いたのは決して多くはないけれどあちこちで猫たちが顔を見せてくれる。
最初は「猫がいる島」というイメージがなかっただけに、ちょっと新鮮に感じたんですよね。
桟橋から左に歩いていくとやがて海べりの道へ。
心地良い海風を頬に受けながらあるいていくと、左前方にクダコ島が見えます。

と、足元に目を移すと…。

いつの間にか猫が出て来て。(^^;

そう、このあたりにはよく猫が出てきます。

この辺、いくつか道から浜に下りる石段があるんですが、なぜかそこに入り込んでいく子が多い。なんだろうと思っていたら…。

この日の忽那諸島の満潮時刻は6;41と19:14。干潮時刻は0:21と12:57。
現在時刻8:45。ちょうど潮が引き始めてから2時間。海岸に積まれたテトラポッドの上部の水が引いて中は涼しい空間になってる。しかもときどき海藻やら小動物やらが運ばれてテトラポッドの合間に残っていることもある。しかも中は涼しい。だから猫たちがこの時間を狙って寄って来るのでは??とは私の推論。(^^;

島猫ってあまり水を怖がらないんですよね。多少肉球を濡らしても平気みたいで。テトラポッドの間を行ったり来たり。時折フナムシなんかが現れると追いかけまわしたりしてます。

どうもこのテトラポッドは彼らの遊び場でもあるようです。

この子の後に見える丸い山のような半島。これは「丸子鼻」と呼ばれています。
昔、ある年の大晦日の夜。西国大名を乗せた船がこの沖合で嵐に合い、乗っていた丸子姫という美しい姫が船もろとも海に沈んだそうです。それ以来、毎年大晦日の晩になると丸子鼻の沖合に怪しい灯が点るようになったという伝説があります。ちょっと怖い話。(^^;
この丸子鼻というのが見る方角によって趣が変わり、この島の風景写真の肝になっているんですよね。今日はこのあと、ゆっくりこの丸子鼻を含めて海の写真を撮ろうと思っています。

石段から再び道に戻ると、バタバタバタ…と大きな音を立てて通り過ぎていく車。

軽トラをさらに小型化したような。運転台に屋根ありません。
これはそのものズバリ「バタバタ」と呼ばれている車で主にみかん畑と港の間の運搬に使われています。今の時期は収穫期ではないので機材や農薬等の運搬に使われているようですね。
ちょっと上怒和集落を歩きます。
怒和島には元怒和と上怒和の二つの集落があって島の東側が上怒和、西側が元怒和。人口は元怒和のほうが多いですが、船はどちらにも寄港します。

瀬戸内らしい落ち着いた家並み。

立派な造りの家も。
瀬戸内というと、ここに限らず黒い板壁の家が多いことに気づくと思います。これは「杉焼き板」と呼ばれる板を用いた壁。杉の板の表面を焼いて炭化させたもので塩害に強いと言われます。海に面して家を建てることの多い瀬戸内によく見られるのはそのせいでしょうね。
公園。もう何年も使われていないような遊具。草も生え放題…この島には今、子供はほとんどいません。

そんな公園の片隅からこちらに寄ってきた子。

なかなか人懐こい子でしたが…ちょっとカリカリをあげたら、それを食べるとまた片隅にあるフェンスの中へ。
ゆっくり後をつけるとフェンスの手前で「この先には入らないでね」とまるで通せんぼをするような別の子が。

なんだろう…とその場に足を止めてよく見ると…。

あれ?

さっきの子の後ろにいるのは…。

仔猫?
そうか。それであの茶白の子は通せんぼしてたんだね。あの子が父親で、一緒にいたのが母親か。
それにしても、仔猫を抱えた親猫って普通近づくと威嚇するか連れて逃げるかのどちらかなんだけど、まるで私を誘うようにフェンスのところまで行ったというのは???
それだけ信用されていたのかな?初対面なのに。
親子を怖がらせないように、そっとその場を離れました。
ありがとうね、大事な仔猫を見せてくれて。
上怒和漁港。正面に丸子鼻が見えます。

手前の道にはバタバタが停めてある。

農協の集積所にも猫たちが。(^^;

この時期、種類は少ないながら収穫される柑橘類もあるそうです。
収穫したみかんやレモンを入れるためのカゴ。今の時期は港の一角に重ね積みにされて置かれています。

港のすぐそばにある砂浜。こんなきれいなビーチがあるんですよね…。丸子鼻の手前に見えるのは養殖の筏です。

さて、これからは風景写真のお時間。(^^;
集落の北側にあるトンネル。

それを抜けると…。

青い海。怒和島北海岸の景色です。また違った風景が広がる。水の色がきれいですね。沖縄の海に劣らないかもしれない。

このまま北海岸を歩いて行っても元怒和に抜けるのですが、それだと山の上からの風景が撮れない。再びトンネルを抜けて戻り、分岐点から山道へ。

道の両側にみかん畑を見てちょっと汗をかきながら登っていくと…。

絶景が広がります。丸子鼻の向こうに中島。この絵はここまで登らないと撮れません。

右手を見れば上怒和漁港の向こうにクダコ島。そして二神島、横島…瀬戸内の多島美が味わえる場所です。
少し歩くと丸子鼻も見える角度が変わってきて…ちょっと望遠で。

松山からのフェリーが到着。現在時刻11:20。三津浜9:10のフェリーで来るとこの時間なんですよね。

やがて道は右に巻くように下って行き、元怒和集落が見えてきます。すぐ向こうに見えるのは津和地島。

集落に下る手前の広い場所には…。

何だろうと思ったら、野仏でした。

こんなにたくさんの野仏が集められているのはちょっと壮観ですね。まるで港を見下ろすような感じで置かれています。
元怒和集落。ちょうどお昼時ということもあってか人の行き来はあまりなく、静かでした。

人は見なかったけど、猫は見た。(^^;

港の西側を見れば、ここにも趣のある家並みが。

しばし海辺で休んでから、今度は広い道を通って上怒和集落に戻ります。ちょうど反時計回りに一周する形になりますね。
その途中にある小学校。今は休校となっています。

上怒和集落の手前で見える海岸風景。これも一味違いますよね。こんな岩場もあるんですよ。向こうは中島。

上怒和集落に戻ってきました。猫たちは家並みの日陰で休憩中。ゴハンをもらったばかりかな?

さっきの場所に行ったら…。

やっぱりまだ何匹かいました。

干潮時刻を過ぎたばかりだから浜まで下りられるんだけど、さすがに日が当たった砂浜は肉球には熱いかな??
しばらくまたモデルさんをしてもらって…。

気が付いたらもう14:00近い。
まもなく帰りの船の時間。
ちょっと名残り惜しいけど桟橋へ。三毛の子がついてきちゃった。(^^;

ごめんね。もうバイバイだよ。

帰りはフェリー。2時間ちょっとの船旅を楽しみましょう。

三津浜着16:25。三津浜港から伊予鉄三津駅までは徒歩15分。伊予鉄で大手町に出て、そこから歩いてJR松山駅へ。
松山17:37発の特急「しおかぜ28号・いしづち28号」に乗ります。

今日は丸亀泊り。
明日からは佐柳島です。お天気は徐々に下り坂なようだけど、あの島ならどんなお天気でも楽しめる。
今日はよく歩いたし、ちょっと疲れた。(^^;
今夜は早く寝なきゃね。

第三部「佐柳島」に続く

Back Home Next