ねこたび日記


第二部「睦月島・怒和島」

2023年5月15日(月) 曇りのち晴れ 
朝起きた時にはまだ空は薄い雲に覆われていました。今日は晴れて暑くなるという予報だったのですが、銀天街のアーケードを歩いているとちょっとシャツ一枚では肌寒いような。まあ、朝だけかな。
松山市6:22発の電車に乗って高浜へ。
今日は睦月島へ。あのチャトラーズと再会です♪
高浜着6:47。
待合所で睦月行きの切符を買って桟橋へ。あれ?手前の駐車場にはこんな子が。

駐車場の係員のおじさんに懐いていました。餌あげてるのかな?(^^;
いつもの高浜7:10発の東線フェリー。この船は高浜を出ると睦月・野忽那・中島の各島を回っていきます。

今日は平日。高校生がかなり乗ります。
「え?本土から島に通う?」と思う方多いでしょうね。
忽那諸島のうち最大の中島には小学校はもとより中学校・高校があります。このうち高校は県立松山北高校の分校で、島の子供たち以外にも松山市内から通ってくる生徒がかなりいます。
おかげでこの時間の船内は高校生の会話で賑やか。船で通学…なんとなく憧れたりしますね。
そして船内スピーカーからはこの唄が流れます。旧中島町のイメージソング。
♪春の瀬戸内 島から島へ♪
♪船を走らせ 巡ってみませんか♪
いい唄ですよね。もう覚えちゃいましたよ。(^^;
この唄聞くと「忽那に来たな~」と思いますね~。
7:40睦月港に入港。

ここで下船したのは私を含めて4名のみ。もちろん私以外はすべて地元の方です。
睦月島は猫の島としてはまだまだ知名度が低く、たぶん一部の猫好き以外は知らないんじゃないかな。
まあ「猫がワンサカいる」という島ではないですからね。だからこそのんびり過ごせるんだけど。
港から歩いて数分。睦月小学校に向かって歩き出すと途中でお出迎え♪

みんな元気だった~?

数分たたないうちに私の足元はこの状態。

松山市立睦月小学校。現在は休校中…もう休校になって10年以上経つんですよね。でも「廃校」じゃない。あくまで休校。
いつかこの校庭に再び子供たちの声が満ちることを夢見て。

松山市がここを廃校とせず、あくまで「休校」のままにしているのは将来に望みを繋いでいると信じたい。

今島に残るのはほとんどが60歳以上の高齢者。でもこのままでは「みかんの島」と言われたこの島も立ち枯れてしまう。みかん栽培を継ぐために少しずつでも若い世代が戻ってきてくれれば。そうでないと瀬戸内のみかんそのものが絶えてしまいます。

ここに集まる猫たちは飼い猫もいれば、野良猫もいます。全ての猫の面倒をこの小学校の前にある数軒のお宅の方々が協力してみてくれています。
おかげで彼らは食べることには困らない。

学校の校庭は彼らのくつろぎの場所。遊び場兼昼寝場所兼トイレ。(^^;

そしてここの猫たちはなぜかみんなおっとりしていて…仲がいい。

覚えてますか?去年来た時に仔猫だったこの子。

私が昨年5月にここで撮ってYoutubeに上げた動画がなぜかバズって26万回再生を記録したことがありましたが、その動画に出て来た子です。オッドアイだったんですね。
なかなかなイケメンになっていました♪
やがて、前のお宅のおばあちゃんが「ほらほら、朝ご飯だよ~」と。

皆大喜びで。

校庭の中に猫専用の「食堂」?が作ってあります。いや食堂兼休憩所かな。屋根付きですよ。

食事はいつもここで与えているそうです。ここなら学校の敷地内だからクルマが入って来ることもない。交通量が極端に少ない島とはいえ、みかんの収穫期などは頻繁に軽トラが通ることもありますからね。もちろん皆さんわかっているからここを通る時は徐行してくれますけど。
だから…もしここを訪れて猫たちにカリカリをあげたいという方へ。餌やりは構わないそうですが、決して道路ではあげないでください。もっともこれはこの島に限ったことではないですが…校庭という安全なスペースがあるのですから。
猫たちがかわいくて仕方がないおばあちゃん。

島に着いたばかりの頃は曇っていた空でしたが、次第に雲が東に退いて陽が差してきました。

猫たちも陽が出るのを待ちかねていたかのよう。

港の方に歩いていくと、ついて来る子が。(^^;

この二匹、すごく仲良しなんですよね。見ていてほくほくするほど。

猫はあまり人前でこういう姿は見せないものです。隙を見せることにもなりますから。警戒心を解いている証拠ですね。

交代交代で港バックにモデルさんしてくれました。毎年恒例の絵ですけど、やっぱりこの場所はいいなぁ。

10:00近くなってかなり気温も上がってきました。でも風があるのでさほど暑くは感じない。
ひとまずチャトラーズと別れてちょっと散歩。
チャトラーズがいるエリアを離れると、こんなキジシロの子もいたりします。

犬を飼っているお宅もありますよ。(^^;

東の浜のほうに行ってみます。陽射しが強くなってきましたね。

10:50過ぎ、睦月に入港してくる船。これから野忽那を経て中島に向かいます。この船は高浜ではなく松山観光港を経由してここに来ます。今年からダイヤがちょっと変わったようですね。ですから以前の船のダイヤを鵜吞みにして高浜10:10発と思い込んでいるとエライことになります。(^^;

中島汽船の東線というのは松山の三津浜を起点として睦月・野忽那・中島大浦を結んでいるのですが、実際は一隻の船が三津浜と大浦の間を往復していて、その途中で睦月や野忽那に寄港するという形。時間帯によっては上下どちらかの便が睦月あるいは野忽那に寄港しないことがあります。たとえば時刻表だけを見ると中島大浦11:40発の松山行きの便は野忽那にも睦月にも寄港しません。だから午前中だけしか時間がない人にとっては朝イチの7:40着の便で来たら9:13の便で帰らないとならない…と思いがち。私も以前はそう思っていました。
ところがその野忽那・睦月に寄港しない便というのは睦月10:55発中島大浦行きの折り返しなんですよ。つまり、この10:55発の船に乗れば中島で折り返して松山方面に向かうことができます。12:21に高浜着、12:34に三津浜着です。
もしこれがたとえばJRだったら、睦月→大浦の運賃と大浦→松山(高浜または三津浜)の運賃をプラスした額を払わなきゃならないでしょうが、ここでは途中下船しない限り睦月→松山の運賃だけで折り返し乗船を認めています。今後行かれる方はご参考まで。
ちょっとこの船が野忽那に向かうところを撮りたいな、と思って東の集落からゆるく丘を登っていく道に入っていきます。
15分ほどゆっくり登っていくと海を挟んで野忽那島が見えるポイントに着きます。
ちょうど右側からさっきの船がやってきました。いつ見てもここの風景はいいなぁ。睦月に来るといつもここで写真を撮りたくなるんですよね~。

間に合うんですよね、15分で。というのも、航路は睦月と野忽那の中間点よりもやや南側を迂回するように設定されています。
両島の間には瀬木戸海峡があります。「セノ鼻」と呼ばれる岬が突き出している睦月島側は潮流が早く、ところどころ渦を巻いているところがあるんですよね。こんなふうに。

野忽那の港に寄港した船が再び大浦に向かうところをもう一度撮って…。今日は海がきれいだ。

反時計回りに歩いていきます。
と、道端にこんな標識が。「18番」。

実は睦月島には島の二つの山を囲むように8の字型に農道が作られているのですが、その東側・西側それぞれが野仏巡礼路となっていて、それぞれ「島四国八十八ヶ所」「西国三十三ヶ寺」巡りと呼ばれています。ミニお遍路として歩きに来る方も多いそうですよ。こちらは東側の「三十三ヶ寺」。もっとも実際にお寺があるわけじゃありません。

岬を離れて林の中を抜けると…さっきまでいた東の浜を見下ろす地点に出て、

さらに歩くと路がぐるりと回って睦月の港を見下ろす場所に。ここからの眺めも大好きです。風景写真家としてもたまらない場所ですよ、この島は。

そして目の前には…。

みかん畑が広がる。

♪み~かん~の花が~ 咲いているぅ~~♪
♪思い出の~道ぃ~ 丘の道~♪
♪遥か~に見~える~ 青い海~♪
♪お船が遠く~ かすんでる~♪
思わず唄ってしまいます。(^^;

私もこの唄、大好きなんですよ。亡くなった妻も好きな唄でしたね。
この唄の一番の歌詞、なんでお船が霞んで見えるのかって考えたことありませんか?真っ青な海が見えているいいお天気の日になんで霞むんだろうって。
この唄には三番まで歌詞があるのをご存知でしょうか。
♪いつか来た丘~ 母さんと~♪
♪一緒に眺めた あの島よ~♪
♪今日も一人で~ 見ていると~♪
♪優しい母さん しのばれる~♪
実は亡くなった母親を偲んでいる歌なんです。だから涙で船も霞んで見えるんじゃないかと…。
単に風景を唄にしただけではなかったんですよね。
この唄、モデルになっている場所は作詞者の出身が静岡であることから静岡県のどこか、と言われています。
でもよく考えてみると、静岡県で見える「島」というのは伊豆半島から見る伊豆大島くらい。
イメージ的にはやはり瀬戸内の、しかもこの忽那諸島のほうがピッタリくると思うのは私だけでしょうか?

みかん畑の丘の上でお昼ご飯をいただいて(もちろんおにぎりですけど)、再び睦月の集落に下りてきました。
またチャトラーズがお出迎え。さっきの仲良しさんが先頭で。(^^;

気が付いたらもう13:00を回ってます。帰りの船は14:48発だから滞在時間はあと2時間を切ってる。
残り時間はこの子たちと一緒に過ごそう。

さすがに一番暑い時間帯だけあって涼しいところで過ごしている子が多かったんですが、

私の姿を見てゾロゾロ出てきたりして。ちょっと嬉しかったりする♪

ちょっとお花バックで撮影会♪

でもずっと日向じゃかわいそうだから、私も一緒に日陰に入ってこの子たちとマッタリ。

してたら、前のお宅のおばあちゃんが出て来て「暑かったでしょ。これ、飲みなさい」と缶コーヒーをくれました。ありがとうございます!
と、突然その平和を乱す?闖入者が。見慣れないハチワレ君が一匹。

肩をいからせて、こっちに来ます。
チャトラーズの中から一番体の大きい子が出て来て対峙。

にらみ合いから唸り合い…あらら、ケンカが始まっちゃった。
おばあちゃんの話によると、このハチワレ君は集落の北側の家に飼われている子だそうで。飼い猫なんだ。(^^;
時折家を出て来ては、ここの子たちにチョッカイをかけにくるそうです。家の中がテリトリーなんだろうからわざわざ来なくてもよさそうですけどね。でもそこが雄猫の性なのかな。一方チャトラーズから見れば明らかに「ヨソモノ」。
でも猫同士のケンカって、大抵にらみ合いと唸り合いで終わるんですよね。よほどのことがないと「実力行使」まで行くことはないです。どちらかがゆっくりと引き下がる、という形で幕を下ろすことがほとんど。特に互いに顔見知りの場合はなおさらで。
周りで見ているチャトラーズの他の面々も「またアイツ来たか」程度に落ち着いた態度で見てましたね。
結局この時もハチワレのほうが徐々に引き下がっていって、最後は「今日はこのくらいにしておいてやるよ」と捨て台詞を残して?
あの~、キミ負けてるんですけどね。(^^;
それにしてもケンカの時の猫の唸り声、時として人間語っぽく聞こえたりしません?(^^;

ちょっとひと騒動あったけどまた平和が戻りました。
また猫たちを連れてさっきの港へ。

睦月島はみかん栽培が主な産業で港にいる船の7割は農船つまりみかんの積み込みや輸送に使う船ですが、漁業も行われていて今はタイやメバル等を主に獲っています。
かつてはタコ漁も盛んで港のあちこちにタコつぼが積まれています。

その上で遊ぶ猫たち。というか、ここは普段から猫たちの格好の遊び場になってるみたいですね。

西の岸壁でちょっと撮影会。

最後はまた学校の正門前に戻って…一緒にマッタリ。

14:30。そろそろ帰りの船が来る。カメラバッグを抱えて桟橋に向かって歩きはじめるとお見送りが。
毎度のことですけど後ろ髪引かれますね。

本当に懐っこい睦月の猫たち。
また秋に来るからね!それまで元気で。

14:48発の船で松山に戻ります。
高浜に着いて伊予鉄に乗り換え…まだホテルに入るには早い。大手町で途中下車。
ここには伊予鉄の市内電車と郊外電車(高浜線)が道路上で交わるダイヤモンドクロッシング(平面交差)があります。
路面電車同士の平面交差は現在でも日本の他の都市で見ることができますが、郊外電車と路面電車の平面交差は今はここだけになってしまいました。
ちょっと動画で撮ってみました。
平面交差を通過する時の車輪の音が面白いんですよね。リズミカルで。
この後、市電を数か所で撮影しながらホテルに戻りました。
当然この日も夕方は道後温泉へ♪
夕食は「鯛そうめん」を食べに行きました。(^^;
今回ちょっとゼータクしすぎかな?ま、いいよね♪
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