ねこたび日記

2023年5月12日(金) 続き 
千光寺山頂に着くとそこには大きな展望台ができていました。らせん型に歩いて登るかっこうになっていて、一番上からは尾道市内と向島、そしてその間の尾道水道を望むことができます。足の不自由な方にはエレベーターで登ることができるようにもなっていますね。確か8年前に来た時はこんな展望台はありませんでした。木々の間から望むような感じになっていた記憶があります。

上は東側。しまなみ海道に通じる尾道大橋が見えます。下は西側。尾道市街の中心部ですね。あのあたりから歩いてきたわけで。

不思議なことに尾道水道には東端の尾道大橋を除いて本土と向島の間に橋が架かっていません。もっとも狭いところではもし陸続きならば歩いても5分かからないような幅の狭い水道なんですが。ですから向島と尾道市街の間には渡し舟がいくつか運行していて、頻繁に行き来しています。15分おきくらいに。もちろん自動車の搬送も行われていて市民や島の方はもっぱらこれを利用しているようですね。

さて、この山頂からちょっと坂を下りたところにあるのが千光寺。
そこまでの間の坂道には「文学の小道」というのがあります。
尾道ゆかりの作品を書いた文学者の小説の一節や俳句・短歌が石に刻まれていて、尾道という町のもう一つの顔、「文学の町」を偲ばせてくれます。
志賀直哉の「暗夜行路」の一節。

林芙美子の「放浪記」。ちょっと初めが影になってるけど。(^^;

ちなみに私は尾道という町を初めて知ったのはやはり林芙美子の「風琴と魚の町」という短編小説でした。たしか中学の時に教科書で読んだんだったかな。

のどかさや 小山つづきに 塔二つ   子規
正岡子規もこの尾道に立ち寄ったことがあります。子規らしい写生の句ですね。
この「文学の小道」を下りていくと千光寺。

たぶん日本で一番眺めのいいお寺じゃないでしょうか。宗派は真言宗。本尊は千手観音です。

お詣りをしてまたちょっと坂を登って…途中の駐車場にはこんなのが。

確か8年前は展望台のあった場所に置かれていたんですが。移設されたんですね。
時刻は10:30。休み休みの撮影だったけど、それでもさすがにちょっと疲れた。「瀬戸内みかん」のソフトクリームを食べて小休止。(^^;

してたら、そこにF君が。
さすがに若いなぁ。あの左回りの急坂登って撮影しながらもうここまで来たの?
「いや~、キツイです。グロッキーですわ」
でもある程度思うようなカットは撮れているということでお互い一安心。
「でもこれだけ登ったり下りたりしてると今夜のブツ撮りがキツそうですね~」
そう、今夜は尾道ラーメンやお好み焼き(尾道焼き)の撮影をしなきゃならない。我々の業界用語で「ブツ撮り」というんですが…。閉店後にやることが多いのでけっこう夜は遅くなる(もっともラーメンのほうは閉店時間が早い店だからいいんだけど)。それって座ってやるわけじゃないですからね。足がガクガクだとちょとつらい。(^^;
F君はこの後また歩きで撮影しながら下に下り東側の麓の撮影をした後、午後は尾道のアーケードに入って夜のブツ撮りの下打ち合わせとお店への挨拶をしておいてくれるとのこと。ありがとうね~。
私はこれから西側へ…さて行こうか。
「お互い、頑張りましょうね~」
ちょっと暑いからね。水分補給に気をつけながら。
さて、山頂からちょっと下りたところにあるのが尾道市立美術館。

ここは猫好きな方だとご存じかもしれませんが、美術館の警備員さんと近くの飼い猫の「ケンちゃん」との攻防戦?で有名。
美術館の中に入ろうとするケンちゃんとそれを必死で?阻止する警備員さんの見ていて心温まるやりとりがSNS上などで拡散されて、それを見に来る人も多いんですよね。で、この警備員さんも大変な猫好きでケンちゃんも実は懐いているんだそうで。
私も見たいと思っていたんですが、残念ながら5/8から6/22までの間展示内容変更のための内部模様替え中ということで今日は休館でした。
残念…と思いながら入り口横のウィンドウを見ると、え?猫?

まるで本物と見まごうような猫のオブジェが。よくできてるな~。
そこからちょっと歩くとこんな表示。猫がいる??

自販機の向こうはなにやら小さなお店…いや違うな。

「さくら耳ようちえん」???
あ、一匹猫が出て来た。

しばらくすると一人の女性がやってきたのでお話を聞いてみると、ここはこの方が保護猫を世話している家なんだそうです。ご自身はすぐ近くにお住まいで、市内で保護した猫を避妊去勢の上ここで世話しているそうで。ここには全部で6匹いるそうで、そのほかにご自宅でも8匹の猫を世話しているとか。

なんでも特に市からは補助などはもらっていないそうです。まったくのボランティアだそうで。
「尾道市って避妊去勢の補助金出ないんですよ。だから隣の三原まで連れて行って手術してるんです」
それはちょっと驚きだなぁ。一応尾道って「猫の町」とも言われてるのに。
市内では同じようなボランティアの方が他にもおられるそうですが、皆さん同様だそうで。

里親が見つかれば譲渡しているそうです(もちろん身元審査があります)。保護猫募金の箱があったので少額ですが寄付させていただきました。

猫たちには名前がついています。この日出てきたのは茶トラの「チャースケ」と三毛の「チビ」。
この二匹はすごく仲良しで、避妊去勢はしてあるものの「おしどり夫婦」のようだとか。
さっきの三毛ちゃんは…名前きくの忘れた。(^^;

他の子たちは中でお昼寝中。朝や夕方だと全員そろったところを見られることもあるそうな。
しばらくここでこの二匹の写真を撮らせていただきました。
さてそこからちょっと坂を下りると

「猫の小道」というのがあります。この小道、けっこう急な坂道で。(^^;
その途中で見た景色。尾道大橋が望めます。

坂を下りて路地と合流。ちょっと歩くとこじんまりとしたお店が。気を付けて歩いていないと見過ごしてしまいそうな小さなお店。

「ネコノテパン工場」。古民家をリノベーションしたお店。おそらく世界一小さなパン工場でしょうね。(^^;
入り口は人一人がやっと入れるほどの狭い間口。一人入れば店内は満員。先客がいるときはお店の前に並んだ椅子に座って待つことになります。

実は今日のお昼ご飯はここでパンを買って食べようと決めていました。ちなみにこのお店、火曜水曜はお休みですから行かれる方はご注意を。

ここからちょっと下ると先程の光明寺に出ます。そこから少し駅側に戻ると小さな公園があるので、そこで買ったパンを食べながら休憩。
金曜日。けっこう観光客も歩いてますがやはり平日のせいか歩く人は少ないですね。
このあと西土堂から三軒屋の町並みを撮影して一段落したところで坂を下りて港へ。どうやら一通りお仕事の撮影の方はクリアできたような。やれやれ。
向島との間を行き来する渡し船。中央はクルマが載るスペースで人間は船体横の細いスペースにある座席に腰掛けるようになってます。

もう14:30ですね。光の向きが変わってきています。
尾道商店街のアーケード。昔ながらの商店街ですが、ここもシャッターを下ろしてるお店が8年前と比べて増えているような気がしました。

このお店は元銭湯。外側はそのままにレストランとして営業してます。

F君に電話して様子を聞くと、彼の方もほぼ押さえるべき場所の撮影は終えたとのこと。じゃあ後はしばらくお互いフリーということで夕方ホテルで合流することにしました。
それまでの数時間…どうしよう。
もう一度「猫の細道」を歩いてみることにしました。午前中は上から下りてきたけど、今度は下から登ってみることに。

夕方になって日陰が多くなったからかな。さっきよりも頻繁に猫が姿を現すようになってきました。

この黒猫さんは人馴れしているようで。けっこうモデルさんしてくれてました。

一匹だけかと思ったら、そっくりな子がもう一匹。

兄弟(姉妹?)なんでしょうかね。

天寧寺の三重塔を見下ろすさっきの場所。ここも光の角度が変わると印象がちょっと違いますね。

さっきのガイド猫さんは…と探してみたのですが、その場所にはおらず。
でも、ちょっと千光寺通の石段を登ったら…。

いました。こっちに寄って来てくれて、

中村憲吉の文学碑の前でまたガイドしてくれるようです。(^^;
明治・大正期の歌人ですね。この奥が旧居となっています。
しばらくこの千光寺通の石段でモデルさんしてくれました。

ここから石畳を下りて、朝来た宝土寺へ。
ここにも猫さん。

どうやら陽が傾いてきました。ホテルに戻ってちょっと体を休めましょうか。

ホテルで1時間ほど休み、写真を整理してから18:00過ぎにF君と連れ立っていくつかのお店に「ブツ撮り」に。やっぱり足がちょっとガクガクしていて多少きつかった。
尾道ラーメンのお店は特に観光客相手のところは17:00で閉店というところが多い。今回のお店もそうで撮影はゆっくりできたんですが、さすがに一筋縄ではいかない。ブツ撮りならではの難しさというのがあって…。そのあと尾道焼きのお店へ。こちらは営業中だったけど特別に撮影スペースを設けていてくれました。21時前に全ての撮影が終了。
ラーメンと尾道焼きを両方ご馳走になったので、お腹の方がかなり膨れましたが。(^^;
明日は雨の予報。
ホテルに戻り夕方セレクトしておいた写真とさっきのブツ撮りのカットを大阪のクライアントへ転送。向こうは「夜遅くてもいいからその日のうちに送って」と言ってるので…これは私のPCじゃ危なくってできないのでセキュリティ万全なF君のPCを使って。私はいつも東京へ持ち帰り提出だもんね。我ながらアナログ人間だなぁと。
これでOKとなれば無事終了なんですが…。
なんと22時半にかかって来た電話。
「せっかく雨が降るんなら雨の日の情緒の写真も撮っておいてくださいよ、竹原の」
え~~!!?
まあ、わかりますけどね。
雨の町撮影かぁ。嫌いじゃないけど…。
まあ、光気にしないでいいから朝はゆっくりでいいでしょ。
「疲れましたね~」
「疲れたよ(笑)」
F君の部屋で軽く乾杯して自分の部屋に戻り、速攻で眠りについたのでした。(^^;
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