Northern White ~北の絵日記~

 
 2月7日(金) 晴れのち雪 
 
8:45釧路駅前発のバスで鶴居へ。
このバス、ホテル前の停留所に停まるので駅前まで行く必要もなかったんですが、なんかちょっとイヤな予感がして早めに出て駅前バスターミナルへ。
正解でした。
鶴居行きの15番乗り場には外人観光客のグループがそれぞれ大きな荷物を持って…。(^^;
ホテル前からの途中乗車では座れなかったかもしれません。
もう春節は過ぎているので中国人観光客はあまり多くないのですが、欧米からの方はコンスタントに来てますね。
この路線、鶴居にタンチョウを見に行く方が使うのですが、それに加えて湿原展望台に行く人もよく利用します。
釧路駅前から乗った15人ほどの外国人観光客のうち、5人ほどが湿原展望台で下車。残りの10人ちょっとは全員鶴見台で降りました。結局その先まで乗っていたのは私と地元の方1人だけ。(^^;
10:00過ぎ、鶴居中学校前到着。
歩いて1分でTAITOですが、まだこの時間では部屋の掃除が終わってないのでチェックインができません。そりゃそうだ。
しばし和田さんのカフェに落ち着いて小一時間雑談。
11:30近くなってからチェックイン。部屋でちょっと休んだ後昼食。
食休みをした後、サンクチュアリに出向きました。
今日もいいお天気で♪

見たところ、来ていたタンチョウは150羽ちょっと。この下の小川にもいるはずだから総数200羽は超えているでしょうね。いつもの冬の光景です。
12月のことがあったので、ちょっとホッとしました。(^^;
あちこちでケンカ。(^^;

ランディング。

そしてテイク・オフ。

いいお天気だけど、やはり今年の冬は暖かい。空の色が淡いです。ちなみにこの日の最高気温-1℃。2月のこの時期にしてはちょっと高い。例年なら-2~4℃ですから。
ただやっぱり雪が深いですねぇ。
なぜか新雪の上を歩いて登っていく夫婦。(^^;

歩を踏み出すたびにズボッ、ズボッと長い脚が雪の中に。

もちろんタンチョウの脚が雪の下の地面まで届いているわけではありません。彼らの体重から考えてもせいぜい積雪深の1/3程度しか脚はもぐらないはずです。ちなみにタンチョウの体重は成鳥で6~11kgほど。図体大きい割にはけっこう軽い。タンチョウのかかと(脚が曲がっている箇所=アレは膝ではなくかかとです)から足指の付け根までの長さは30cm弱ですから、この場所の積雪深は60cmほどということになります。そう、昨日の鶴居の積雪は気象庁発表で66cmでしたからね。

えっちら、おっちらという感じで坂を登る夫婦。
「ねえ、アンタ、なんでわざわざこんな登りにくいほう行くのよ。皆が歩いてるあっちから行けばよかったのに!」
奥さんが旦那にボヤいているのが聞こえそうな。(^^;

新雪の丘に立つ夫婦。ちょっと絵になります。
14:00の給餌が終わると三々五々と塒に帰る家族や番が出てきます。

かつては給餌時間が15:00でしたが近年は1時間繰り上がったので塒帰りも平均的に早くなりましたね。
15:00頃から空が曇ってきて…。
チラチラと雪が降り出しました。

その中で踊る番。

一時、雪はかなり本降りになって。

番の片割れは飛んでいきましたが…

もう一羽はしばし佇んでモデルしてくれました。(^^;

やがて後を追うように飛び立ちます。

シマエナガ。

多くの人のシマエナガのイメージって羽が膨らんでモフモフになってる姿だと思いますけど、よほど空気が乾燥していて羽が乾いてるときでないとああはなりません。
どちらかというとこのシュっとしてるのがむしろ普通の姿です。
どうも暗くなるのが早そうなので早めに宿に帰って休息。
明日の朝は…どうもやはり気温はあまり下がらないような…。

 

 2月8日(土) 晴れときどき曇り 
 
朝6時半。音羽橋を見下ろす山の上。
橋の上は今日も盛況のようで…。見た感じ50人くらいいそうですね。

気温-14℃。やはり暖かい。霧氷はうっすら着いてはいるけれど…。
こう見ると、塒のタンチョウの数、少ないのがわかると思います。これはタンチョウの数が減ったというわけではなく彼らの多くが塒をさらに下流に移してしまっているからなんですね。川が右岸方向に曲がっている奥を塒とするタンチョウが増えました。橋に近いかつての塒は上流からの土砂の流入で塒に適さなくなってきているのでしょう。
目を手前の上流側に移すと、

10羽ほどのタンチョウが。その時の天候にもよりますが時折このあたりで寝る番もいます。でも常時いるとは限らない。
橋の上ではなくこの山に登った以上、メインアングルになるのはこちらです。
日が昇り、徐々に光が川の右岸に差し込んできました。

気温が高いのでどうかな、とは思ったけど、思惑通りに川岸の木々の霧氷がピンク色に染まって。
まあ、ちょっと薄いけど、この色になれば御の字でしょう。この気温じゃ。

気温が一番低くなるのは日の出直後の数十分。一番美しい色が見られるのもこの同じ数十分。
光が差し込むと同時に数羽のタンチョウは下流に向かって歩き出し、左岸の蔭に入って視界から消えていきます。
右岸には気嵐が立ち始めたんですが…。

最後まで視界に残ったのは一家族だけでした。

こう見るとやっぱり霧氷は薄いですね。まあこの暖かさじゃ仕方がない。
宿に戻って朝食をとり、サンクへ。

朝の給餌。

この給餌の時間になるとタンチョウたちが鎌首並べたようにして密集して歩き回ります。こうした光景が見られるのは給餌の時だけなんで、いつも楽しんで見てますよ。(^^;
サファリパークのフラミンゴみたいで面白い。

この日は見学者が多かったですね。ご覧の通り。
半分以上が欧米の人。アジア諸国から来られた方はこの日は少数派でした。

数人とお話させていただきましたが、ドイツ、イギリスといったヨーロッパから来た方が多いですね。私は外国語は英語しか話せないのでドイツ語やフランス語となるとさっぱりわからない(一応大学では第二外国語は中国語でしたけど、中国語もカタコト)んですが、幸い英語だけでほとんど通じました。
ただ、困るのは同じ英語圏でもオーストラリアから来られた方との会話。微妙に違うんですよ~。「トゥダイ」とか言われて思わず「は?」と。(^^;
「Today」って言ってるんですよね。オーストラリア英語ってちょっと独特なんです。
朝は晴れていたんですけど、給餌が終わるころから空は曇ってきて…。ちょっと細かい雪も舞ったりして。

ほとんどの人がタンチョウの動き、飛んだりダンスしたりという姿に注目します。それは当たり前なんだけど、よ~く見てるといろんなことやってますよ。
たとえば…

首筋がかゆいんでしょうね。ポリポリかいてます。(^^;
ダンスもいいけど、こんなユーモラスなシーンも見てほしいな♪
午後になると晴れ間が出てきて、

でもこの時期らしくないやわらかい光。これはこれでいいですけど。
亜成鳥と成鳥の番。最近、亜成鳥でも年上の伴侶をみつけて番になってるのをよく見かけますね。
下にいる亜成鳥は見たところ三年生。成鳥一歩手前ということろ。歳の差は…まあ一歳くらいならど~ってことないか。(^^;

飛んでいるタンチョウの足をよく見ると、かかとから下に雪が付いている。テイク・オフする場所の雪が深いのがわかります。普段の年ならこんなに雪つかないんですよ。
ラッセルしながら離陸したんですかね?

私のお気に入りの二本の木。「ツインツリー」と私は呼んでますが、この木を使っての縦アングル、大好きです。
また同じ絵を…と思いながらついつい撮ってしまうんですよね。(^^;

午後の給餌。

そしてダンス。どうもお腹がいっぱいになると踊りたがる番が多いようで。
食後の運動、というわけでもないでしょうが。(^^;

タンチョウのダンスはくるくる周りながら踊るんですが、よく見てるとかなりアクロバティックな動きするときが。
右側のツルの首の曲げ方と反らし方、人間にはできないな~と。

タンチョウは基本的に冬は番もしくは家族単位で行動しますが、時折「はて?」と思う組み合わせも。

上の写真、左側の三羽は番とその幼鳥ということでわかるんですが、幼鳥の隣にいるツルは…?
偶然一緒にいただけかと思いきや、このあと四羽一緒になって飛んで行ったんですよ。果たしてコイツは…?
飛んだ後羽に斑点が見えたので亜成鳥ですね。ということはこの番の前々年生まれの子供かな?
まだ独身のお兄ちゃん(お姉ちゃん)かもしれないですね。
両親からは「早く身を固めなさい!」って言われているのかも。(^^;
この後夕翔を撮りに行ったんですが…。

曇り空になってしまい、色付きの絵は撮れず。早めに宿に引き上げたのでした。
 2月9日(日) 晴れのち曇り 
この日は朝の気温が-7℃という予報でした。
あまりに暖かすぎて霧氷も期待できない。それだけならまだしも朝から風速5~6m/sの風が出るということだったので早朝撮影は中止。
ゆっくり朝寝坊して朝風呂入って。(^^;
まあ、こんな日があってもいいでしょ。
で、この日は鶴見台に行ってみることにしました。
マナヅルが来ているという話を聞いたので…。
朝のバスで行くとちょうど給餌の時間に間に合う。サンクチュアリとほぼ同じ時間に行われます。

ここも給餌の時間になるとツルがごちゃっと…。

サンクチュアリに比べると縦深がないので余計にゴチャゴチャ感がありますね。(^^;
食べ終わるとあちこちでダンスが始まるのはここも同じ。

ダンスの動きというのは、不思議なものでちょっと戦闘的?なポーズを取ることが多いんですよね。突く真似をしたりキックする真似をしたり。あるいは相手にイチャモンつけるような顔つきをしたり。(^^;
上の写真はまさにソレ。
「アンタ、この間一緒にいたオンナ誰よ?」
「それは…」
言葉に詰まってそうな。(^^;
それと、ときどきこんなポーズも混じります。

おじぎ。
これ、フォークダンスのときによくやるおじぎと同じ…ではなくて、もともとは威嚇の姿勢なんです。自分の真っ赤になった頭を相手に見せて「俺は怒ってるんだぞ!」と脅すためのポーズ。
それにしても、突きにしろ、飛び蹴りにしろ、あるいはおじきにしろ、なんで愛するパートナーと踊るときにこういうアブナイ?仕草をするのか。
確かなことはわかってないですが、大方の研究者の見解では「自分がいかに敵をやっつける力があるか」を誇示したり「いざという時はこうやってキミを守る」と言ったりしてるんではないかと。雄だけでなく雌もやりますけどね。

タンチョウの翼開長(翼を左右に広げた時の端から端までの長さ)は230~240cmほど。飛べる鳥(ダチョウなどは除く)としては最大級の部類に入ります。こうやって間近で大きく翼を広げた姿を見ると改めて実感しますね。
ここ鶴見台は背後に建物が入るので、多くの撮影者には不人気ですね。こんな感じで。

でもそれはそれでいいじゃないかと私は思うんですよ。
現実のタンチョウの姿なんだから…。・
「人工物がファインダーに入るのは嫌だ」って気持ちもわからないじゃないけど、自分の写真の出来栄えばかり気にして肝心の写ってるタンチョウに生気がないような写真撮ってる人多いよね。そういう人は場所にこだわるんだよね~。キミは「タンチョウ」が好きなの?それとも「タンチョウの写真」が好きなの?と問いたい人いっぱいいる。
私は舞台設定なんかどうでもいい。というか、どんな場所でも作品をまとめる自信があるしね。人工物があろうとなかろうと。そういう自信がない人ほど場所探しにご熱心なようで。(^^;
まあ、これは猫写真も同じだけど。
さて、マナヅル、ここにいました。

確か去年はサンクチュアリにいたはずですが…今年はなんでこっちにいるんだろ?
去年サンクでイジられて?肩身の狭い思いでもしたんでしょうかね?(^^;

去年の夏はどこで過ごしたんだろうか。たぶん南には帰らずに道内のどこかで過ごしたんでしょうね。北海道に居ついたんでしょう。
昼近くなっても風が収まらず、気温は高いけど体感的にはかなり寒い。ときどき陽が翳るとなおさら。

「背眠姿勢」を取って嘴を羽の中に突っ込んでいるツルも多かったですね。
さて、こちらのタンチョウ。

一生懸命に踊ってますが…私が縦位置で撮ってるのをみればわかる通り、「一人ダンス」。相手がいません。

羽を見ればわかる通り純白で斑点も黒い縁取りもないので立派な成鳥なんですが…かわいそうに、まだ独身みたいです。(^^;
「誰かボクと踊っていただけませんか~?」
首を上げ下げして一生懸命アピールしてますけど、誰も相手になってくれない…。

頑張れ!若者よ!(^^;
午後はサンクへ。
昨日がウソのように今日は見学者少なかった…。

タンチョウの数はやっぱりこっちのほうがいくらか少ないのかな。それとも早々と塒に戻ったのもいるのかな。ここはすぐ下に小川があってそっちに下りているツルもいるので正確な数が把握できないんですが…。

午後はまたちょっと雲が出てきて。

幼鳥と親鳥。
わが子の顔を見て、今親は何を思うのか…間もなく別れの時が来ることをまだ幼鳥は知る由もありません。

こうやって家族で飛び立つこともあと何回あるか…。
この夜、常連宿泊者が集まってレストランでささやかな??パーティー。

このお酒の本数は…。(^^;
寝たのは何時だったのか…記憶が飛んでました。。


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