Northern White ~北の絵日記~

 
 7月5日(火) 曇り 
 
朝5時。
TAITO玄関前に停まっているのはマイクロバス。
今日はこの宿で定例的に実施されている早朝湿原ガイドに参加させていただきます。もう何度目かな。(^^ゞ
釧路湿原の西北端、キラコタン岬へのツアー。
特別保護区となっている岬入口から徒歩で約40分の早朝散歩。湿原のみずみずしい空気を吸ってきます。
朝5時出発、9時帰着。帰着してから朝食になります。これが本当にグリーンエネルギーを体に充満させてくれるんで、写真なんか撮らなくてもただ歩いてるだけでも参加する価値あり。
まあ一応カメラは持って行きますけど。(^^;
参加者は6名。
保護区入り口で和田さんから注意事項を聞き、長靴に履き替えて歩きだします。釧路湿原特別保護区は外部からのいかなる生物の持ち込みも禁止。履いてきたままの靴では外から持ってきた微生物を持ち込んでしまう危険性があるからです。それでけ湿原の生態系はデリケートなんですよね。

この一帯は国立公園区域内ではあるんですが私有地です。
国立公園内だから環境に手を付けてはならない…と考えがちですが、日本の法律というのはあちこちに抜け道があって形式上の大義名分さえ立てば開発行為が可能なケースがあるんですよね。
ここも一部の二次林の伐採と再植林の話が道から出され、地権者も了解を出しかけたんですが、もしそうなれば湿原周辺の貴重な植生と生態系が破壊されてしまう。それを聞いた和田さんが4年前にこの一帯の土地を買い取って現状保全に務めました。したがってこの周辺の一部の土地は今はTAITOが所有する形になっています。

野の花を眺めながらゆっくりと歩きます。

途中、トリカブトやギョウジャニンニクなども目にすることができ、ユーモアたっぷりの和田さんの解説を聞きながら歩を進めて行くと、
やがて風景が開けて来て、

目前に湿原が開けます。

よく見るとエゾシカもいたりする。

木々の合間から望むチルワツナイ川。以前はもっと展望が開けていたんですが、だいぶ樹が伸びてきました。運がいいとあの川をタンチョウやエゾシカが渡るシーンが見られるんですが、今日はいませんでした。

でも釧路湿原の広がりは堪能できます。北斗にある湿原展望台よりはよほど湿原の広さを実感できますね。
はるか遠くに見えるのは釧路市街です。

往復1時間半。心地良い汗を流した後は、帰りがてら鶴居村内をグルグル回っていきます。途中で目にしたタンチョウの親子。

ヒナの毛色というのはまさに神が与えた保護色。こうやって草や木々を背景にすると見事な迷彩になりますね。

まだ飛ぶことのできないヒナにとっては、この忍術が生き残りのために重要な手段。人呼んで「葉遁の術」。
いったん大人になれば湿原の生態系のトップに君臨し恐れるものがないタンチョウも幼い時期は天敵に狙われますから。
9時前、TAITOに帰着。
朝食をゆっくり摂ったあと、少し自室で休憩してから村民スポーツセンターへ。TAITOから徒歩5分。
今日は半日のんびりと鶴居村内をグルグル自転車で回ってみようかと。
一口に「鶴居村」と言っても広いんですよ。
とりあえず今日は下久著呂あたりまで行って戻って来るかな。自転車でも片道40分はかかる。
市街を出て、今日は北側のチップ工場のほうから南下。しばらく走ると道の両側は牧草地になり、やがて林に分け入っていきます。アップダウンの多い道だけど電動アシスト付きだから楽♪

とはいうものの、今日は暑い。予想最高気温27℃だって。(^^;
Tシャツ一枚で走ってるんだけど、それでも日向で自転車停めてると汗が…。でもまあ、関東みたいに湿気はなくてカラッとした暑さだから不快ではないですけどね。

下久著呂一帯は牧場と牧草地。そこここにタンチョウの姿が見えます。このあたり一帯で5~6番は縄張りを構えているんじゃないかな。
ただ、一羽だけポツンといるのも…これは独身の亜成鳥でしょうね。

もう三年目くらいになるのかな。まだ相方は見つからないようで…。頑張れ!

この川は夜はタンチョウたちの塒になります。もうこの時間になると水に入っているヤツはいませんが。(^^;

はるか草地の奥にいるのも若鳥の群れ。ここは番たちのテリトリーの狭間のようで若鳥たちのコミュニティができているようですね。

鶴居村は道東の他の自治体と同様に酪農が主産業。人間の数より牛の数の方が多い。

でも今日は牛さんも暑そうで。(^^;

広大な斜面の牧草地。そこをゆっくり登っていくタンチョウ。ヒナを二羽連れていますね。

デントコーン畑にキガラシの花。

デントコーンは牛の飼料にするためのもので人間が食べるスイートコーンとは別物です。10月初旬になると刈り込んで葉・茎・実を一緒くたにして粉砕して牛の飼料とします。そのおこぼれを狙って秋はデントコーンの狩り跡にタンチョウが集まるんですが…。
キガラシはデントコーンの肥料として植えられているものです。
鶴居の村営牧場。向こうにうっすら見えるのは雄阿寒岳。柵の中に集まっていた牛たちですが…。

私の姿を認めると柵からゾロゾロと出て来て…。

「何しに来た?」てな顔を。(^^;

いや別にアヤシイ者ではないんですけど…。
音羽橋。
厳冬期とはまた違った表情の風景です。さすがにこの時期はここでカメラを構えている人はいません。

とある牧場の猫。3月の時も会った子ですね。

私のことを覚えていてくれたのかな?

「モデル料くれ~」と言わんばかりの表情。(^^;
自転車のレンタル時間は4時間までなので(バッテリーの関係らしい)14:30には返さなければいけません。
自転車を返して少し早めにTAITOに戻ります。昨日一昨日と一日中動き回りましたから、今日はちょっと体を休めましょうか。
15:00過ぎに部屋に戻ってしばしTVを見て小休止。
早目に入浴。思い切り長湯を決め込みました♪
そして夕食。

その後は…和田さんのパブでののんびり談笑しながらワインを♪
「今日はどこ行って来たの?」
「下久グルグル回ってましたよ」
「タンチョウいた?ヒナついてるのがいるはずだけど…」
「いましたよ~♪」

目の前のこれ、阿寒ポークです。
今日はこれで生ハムをいただきました♪

明日は雨の予報。それもかなりな降りになるらしい。ちょっと朝の撮影は無理かな。
まあ、一日くらい朝寝坊する日があってもいいよね。

Back Home Next