「巡航速度」とは?
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12月17日は「飛行機の日」です。 アメリカのライト兄弟が初飛行に成功したのが、(1903年)12月17日であることに因んでいます。 ・・・というわけで、昨年に引き続き、この時期は、飛行機に関する話。 ![]() 日本には、全日空(ANA)や日本航空(JAL)をはじめ、18の航空会社があり、 それぞれの航空会社が、色々な種類の機体を保有しています。 例えば、写真にある「A350−1000」は、 昨年に初就航を迎えたばかりの、JALの中では最も新しい機種ですが、 そのJALは、この機種をはじめ、15種の機体を保有しています。 “日本を代表する航空会社2強”と言っても良いであろう、もう1つはANAですが、 そのANAに至っては、更に多様で、21種の機体を保有しています。 これら“2強”以外も含めて、様々な航空会社の、色々な機種を詳しく紹介している雑誌がいくつかあり、 それらの雑誌では、各機種の仕様(スペック)として、全幅、全長、全高、最大離陸重量、・・・など、 いくつかの項目が掲載されています。 それらの項目の中で、今回は「巡航速度」を取り上げたいと思います。 旅客機の基本的な飛行状態は、離陸・巡航・着陸の3つです。 この中で、飛行の大部分を占める巡航飛行(水平飛行)は、最も効率良い飛び方を工夫する必要があります。 巡航飛行している時の速度が「巡航速度」であり、 私たちが“飛行機の速さ”としてイメージするのは、恐らく、この巡航速度ではないでしょうか? 大型機ですと、 A350−900(JAL):時速916キロメートル、 A350−1000(JAL):時速903キロメートル、 B777−300(ANA):時速890キロメートル、 B777−200(ANA):時速890キロメートル、・・・など、 時速900キロメートル前後が多いでしょうか。 小型機ですと、 A320−200(ANA):時速840キロメートル、 B737−800(ANA):時速830キロメートル、 B737−800(JAL):時速840キロメートル、 E170(JAL):時速800キロメートル、・・・など、 時速800キロメートル台前半が多いでしょうか。 飛行機が飛ぶには、機体を浮かび上がらせる「揚力(上向きの力)」が必要であり、 揚力を発生させ、維持するには、前に進む速度を保つ必要があります。 前に進む速度が高くなるほど、大きな揚力を得て、浮かび上がりやすくなるのですが、 ただ、前に進もうとする限り、後ろ向きに働く抗力(空気抵抗)も発生するので、 飛行においては、「揚力」だけでなく、「抗力」も考えなければなりません。 巡航飛行の条件は、 @揚力(上向きの力)= 重力(下向きの力) A推力(前向きの力)= 抗力(後ろ向きの力) です。 「抗力を最小にすれば、推力が最小で済み、エンジンにあまり負担をかけなくて済むから、安定飛行」 という連想から、抗力を最小にする飛行速度が「巡航速度」なのでは?・・・と思いたくなるところですが、 実は、そうではありません。 「エンジンにかける負担が少なくなれば、同じ燃料で、より遠くまで飛べるだろう。」 「ということは、抗力を最小にする飛行をすれば、航続距離が最大になるだろう。」 と思いがちですが、航続距離をより伸ばそうと思うなら、 抗力が多少増えることを承知の上で、敢えて、少し速度を上げて飛行する方が良いのです。 飛行機のスペックとして紹介されている「巡航速度」は、こちらの速度です。 同じ飛行機でも、飛行方法を変えるだけで、飛距離を12%伸ばせることが、理論的に分かっています。 さて、この「12%」という値は、どこから出てきたのでしょうか? |
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